最後の○○ ~日本のレッドデータ~
放送予定:4/15(金)午後10:00~10:59 (BSプレミアム・BS4K同時放送)
※3/30(水)午後6:00~6:59 (BS4K放送)

世界で唯一無二の職人の技、「最後の○○」に光を当て、不屈の信念や生きざま、知られざる価値に迫る知的探求ドキュメンタリー。
番組MCの草彅剛さんに、収録を終えた直後の心境や印象をお聞きしました。

——「最後の〇〇」は今回で3回目ですね。草彅さんから見てこの番組の魅力とは?

草彅 原点に返らせてくれるところですね。少し生き方を正してくれる番組だと思っています。今失われつつあるものの中に、生きる道しるべのようなヒントがある。もう一度、振り返ってみるといいものがあるのではないかと思います。

——登場した職人の方へ、熱心に質問をされている姿が印象的でした。特にひきつけられたところは?

草彅 ハリケーンランプの質感と古めかしい加工にあたたかみがあり、そういうものが好きなので「あっ、欲しいな」と思い、次々と質問してしまいました。素直な気持ちが出てしまいましたね。髪を結う職人さんも本当にすばらしかったです。

——お二人とも「好き」という気持ちがものづくりの中心にある方々でした。とても熱中している様子でしたが、草彅さんが時間を忘れて夢中になってしまうのはどんなときですか?

草彅 デニムとブーツを見ているときがいちばん好きですね。手入れをしているときは夢中になっています。ちょっと汚れたブーツが大好きなので、あえて磨かないんです(笑)。シワや泥がついていると、さすがに拭ったりしながら「これくらいの汚れ感がいいな」と眺めています。デニムも年代別に並べてみたり、履いていないものもあるので「このデニムはそろそろ下ろそうかな」とか考えているとき、頭の中が無になってリラックスできています。

——草彅さんにとって大切な時間なんですね。

草彅 そうですね。強がって「僕はもう、ものはいらない」と言ってしまいますが、実はやっぱり好きなんでしょうね。新しいものも好きですが、昔のものも好きです。頭を空っぽにしてくれるので心にメリハリが生まれて、切り替えになりますね。

——さまざまな職人の方がつながり合って、ものが完成する様子を見ていかがでしたか。

草彅 一つのものを作るためにつながっているんですね。買ったものが手元にあるのが当たり前の状況ですが、それまでにはたくさんの人が手をかけて、いろいろな工程を経て一つのものができ上がっている。それが手作りであればあるほど大変です。そういうことを改めて考えると「やっぱりものって大切にしないと」と思う。自分の基本を正してくれる感じがありますね。
失われてしまうものや途絶えてしまうものもありますが、またいつかよみがえるかもしれない。一方で、失われてしまったことさえわからないときもあれば、失われる寸前で知ることもある。そういった、失われつつあるものの中に大切なもの、忘れちゃいけないものはあるんじゃないかと、いつも思います。「最後の〇〇」では職人さんの熱意や情熱がわかりやすく伝わってきて、すごく楽しかったですね。

——年齢にとらわれず前向きに頑張る方々の姿に、何を感じられましたか?

草彅 あんなにもエネルギッシュに情熱をもって楽しんで仕事をしている姿には、やっぱり憧れます。すごく刺激をもらいました。何よりも説得力がありますね。僕もこういう仕事をしているので、できる限り長く頑張りたいと思います。この番組は、僕にとっても今後の仕事においてもいいことがあるなと思っています。

——草彅さんが仕事を長く続けてこられた中で大切にしていることは?

草彅 早く寝ることですかね。寝ればなんとかなる。早く寝て、起きてから考えよう! と(笑)。それがいちばん大事にしていることです。煮詰まってくると考えても進まないのでいったん寝て、起きると「あれ? なんであんなに夜中に考えてたのかな(笑)」となりますね。

——これから挑戦したいこと、現在の目標を教えてください。

草彅 今、入っている撮影をちゃんとやる。それ以外は何も考えてないですね(笑)。コロナ禍になり、そんなに先のことを考えなくなりました。目の前に仕事があるならそれでいいと思っています。それを集中してやっているうちに次のこと、次の方向に向かえるんじゃないかなと。計画を立てて先のことを考えるのはもちろん大事なことですが、そればかり考えてもどうにもならないことがたくさんある。月並みですが、今日を生きる。それがすごくシンプルで難しいです。じゃ明日はどうするんだって感じですが(笑)。でもここ何年かはそういう気持ち。「今日がOKだったらOKでしょう!」と。
だから次に向かうのは明日ですね。今ある仕事に全力しかない。そうしているうちに次のことが見つかるんじゃないかな。目の前のことをしていきたいと思います。