神奈川歯科大学大学院特任教授で医学博士の川嶋朗さんは、漢方や鍼灸をはじめとするさまざまな代替医療と西洋医学を統合した医療に取り組んでいます。私たちが持っている自然治癒力を高める漢方医学と、その活用法を伺いました。
聞き手/関根香里
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年5月号(4/18発売)より抜粋して紹介しています。


旬の食事も漢方の一つ

――漢方を生活に取り入れるのは、難しそうに感じます。

川嶋 例えば朝、白湯を飲むとか、寒いときに湯たんぽを使うなど、体を温めるのも漢方の知恵。意外と身近なものなんです。

――体調を崩したときだけにお世話になるもの、ではないのですね。

川嶋 はい。いちばん身近なのは日々の食事ですね。漢方には人間の体も自然界の一部であるという概念があり、旬の食材を食べることが体を育てると考えます。日本には四季があり、それぞれの季節に収穫されるものを食べますよね。これも生活に漢方の知恵を取り入れていることになるんです。

春は芽吹きの時期、人間の体も活発になって「気」、つまりエネルギーが満ちてきます。そういうときにはえぐ味のある食べ物、山菜やたけのこ・春菊・菜の花などを食べることで過剰な気をうまく発散できる。

また大量に汗をかく夏は、水分が失われて血液が濃縮するので、血管が詰まりやすくなります。だから水分の多いトマト・きゅうり・なすなどの夏野菜や、緑茶をとる。

そして、秋になると気温が下がり乾燥し始めるので、発汗を少し抑えて体を潤す食べ物として、りんご・ぶどう・ぎんなん・さんまなど。

1年で最も寒くなる冬には、体を温めてむくみを解消する食べ物、ねぎ・小松菜などの冬野菜をとる。エネルギーを補える山芋や、大根・栗・牡蠣かきなどもいいですね。旬のものを食べることは、全て理にかなっているのです。

日本では、西洋医学が導入される前は漢方医学が主流でした。中国から伝わった中医学が、江戸時代の鎖国によって日本の風土や気候、日本人の体質に合わせて独自に発達したのが漢方医学。日本の季節に合った食べ物で健康維持を図ることを勧めているのです。
※この記事は2024年1月17・24・31日放送「毎日取り入れたい!漢方の知恵」を再構成したものです。


「日常で実践漢方の知恵」川嶋朗さんのお話の続きは月刊誌『ラジオ深夜便』5月号をご覧ください。自分の体質を知るためのチェック表、さらに体質別の養生法も紹介しています。

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