まだ暑さが残る9月の終わり、工藤三郎アンカーと、長崎県諫早市の「ラジオ深夜便のつどい」に行ってきました。「長崎県の形って複雑で、説明するのが難しいよね」と工藤さん。確かにそのとおり。私が地図を見ながら諫早の位置を、「羽根の形がいびつな扇風機のちょうつがいの部分にあるのが諫早市」と言うと、工藤さんは「風車の真ん中……かなあ」と。工藤さんの比喩の方がずっとすてきで、なるほどと思いました。

つどい前日に諫早に入り、地元の方に市内を案内していただきました。諫早公園にある眼鏡橋は、石橋としては日本で最初に国の重要文化財に指定された日本最大級の二連のアーチ橋。江戸時代、暴れ川で知られた本明ほんみょう川に架けられていた橋を移築したものです。移築にあたってかなり試行錯誤を繰り返したそうで、橋の歴史一つにも水との戦いを乗り越えてきた諫早の人々の頑張りを感じました。

会場の小長井文化ホールは諫早市の東側にあり、目の前に有明海が広がっています。付近には、待合所がいちごやすいかの形をしている、とてもかわいい〝フルーツバス停〞がありました。ただ時刻表を見ると本数は本当に少なくて……。写真を撮りに車で来る方もいて、バス停というよりバス停の形の名所なのだと知りました。有明海を背景に、ナイスショットが撮れるのです!

海辺にひっそりとある長戸鬼塚ながとおにづか古墳は、直径約15メートル、高さ約5メートルの円墳で、石室内に入れました。案内してくださった方は子どものころ、ここでよく遊んだそうです。現代のお墓が並ぶなかに立ち、なんでここに古墳が? と不思議でしたが、古墳だってお墓ですものね。勝手に納得しました。

新しい場所を知る喜びはもちろん、工藤さんともおしゃべりが弾み、リスナーの皆さんの笑顔に会うことができた諫早でのつどい。出発前は想像してワクワク、帰ってからも思い出してニコニコ。旅って三度楽しめていいですね! 私の思い出ボックスに、また一つ宝物が増えました。

(すま・かつえ 第2・4火曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年12月号に掲載されたものです。
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