この原稿を書いているのはやっと夏が過ぎようとしている10月です。今年の夏は暑すぎましたね! 私はよく濡れました。
まず、「にわか雨事件」からお話しします。天気予報などでは「大気の状態が不安定でところによっては雷雨に注意」と呼びかけています。分かっていても用事を済ませたい気持ちが先行します。ここ数年、私は日傘男子になっていて、晴雨兼用の傘があれば突然の雨はしのげると思い、天気予報は認識しつつ日傘を持って出かけます。案の定、一天にわかにかき曇り、空から大粒の雨です。にわか雨は30分もあれば噓のように上がるけど、傘があるから大丈夫! 歩きます。
私の傘はグリップにあるスイッチで開閉できる優れもの! 早く目的地に行きたいと、グリップを握る手に力を入れたそのとき、なんと傘が閉じ、雨をまともに受けました。慌ててグリップのスイッチをもう一度押して折り畳みます。途中まで折り畳んでおかないと、次に傘が開かないのです。結構な勢いの雨でしたので、すっかりずぶ濡れ! 少し待っていれば雨はやんだのに。
次は、この苦い経験を生かしたにもかかわらず、また濡れてしまった「雨の滴事件」です。突然の雨、傘はあっても少なからず濡れると思い、大きな銀杏の木の下でしばらく雨宿り。「よし、雨が上がった!」。傘を畳んで歩き始めようとした途端、一陣の風。銀杏の葉が受け止めていた雨の滴が一気に私の頭に! これまた情け容赦なくずぶ濡れです。
最後は予期せぬ「水まきずぶ濡れ事件」です。西日を避けようと住宅の塀の影を頼りに歩いていたときのこと。庭木や草花に水をまく、心地よい音が聞こえます。ところが頭の上から水が降ってくるのです。塀側の木立への水やりです。急いで塀から離れようとしましたが、今度はおなかのあたりに水の直撃です。ブロック塀に等間隔に空いた伱間からの水でした。このときは上から下まで濡れました。
12月号に夏の話で申し訳ありません。でも、お話ししたかった「ずぶ濡れ話」です。
(やました・まこと 第2・4日曜担当)
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年12月号に掲載されたものです。
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