1980年代前半にお笑いコンビ「コント・レオナルド」で人気を博した石倉三郎いしくらさぶろうさん(77歳)。解散後は俳優業に軸足を移し、現在放送中の連続テレビ小説「ブギウギ」をはじめドラマや映画で活躍中です。石倉さんが人生を歩む中で大きな影響を受けたのが、俳優の高倉健さん。石倉さんに“健さん”との思い出の数々を伺いました。
聞き手/山下信
この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年1月号(12/18発売)より抜粋して紹介しています。


じゃあ、東映に来るか?

――高倉健さんに初めて会ったのはいつのころだったんでしょうか。

石倉 20歳の終わりでしたか、東京・青山の喫茶店で偶然お見かけしたんです。もう、「格好いいなあ」のひと言でしたね。

私は俳優を目指して大阪から上京し、近所のスーパーマーケットで夕方から深夜までバイトしてまして。途中の食事休憩で飯を食ったあと、いつもその喫茶店へ寄っていました。すると、行くたびに健さんがいらっしゃる。「大スターなのに暇なんだな」と思ってましたね(笑)。

――そこからどのようにして、おつきあいが始まったんでしょう。

石倉 初めてお見かけしてから3か月ほどたったある日、「サブちゃん、ちょっとこっちおいでよ」と健さんから声をかけられました。

「え、何で私の名前知ってんだろう」と思いつつそばに座ると、「サブちゃん、けんかが好きなのか?」と聞くんです。当時、私はバイト先で遊び人風の人たちに絡まれてけんかになることが多く、顔に傷やあざが絶えませんでした。

健さんにそのことを話したら「バイトしてるってことは、将来何か夢でもあるのか?」と聞かれたんですが、「俳優になりたい」なんて小っ恥ずかしくて言えません。言葉を濁していると、喫茶店のママが「健さん、この子俳優志望なのよ」と言ってくれましてね。

そのあと、劇団に通っていることやおふくろに毎月仕送りしていることを話すと、健さんに「おお、偉いな」なんて言われまして。で、「じゃあ、東映に来るか?」と誘ってくれたんですよ。

「え、私素人ですよ」って答えたら、「俺だって最初は素人だよ。だから勉強すりゃいいじゃねえか。ギャラも出るんだから」と諭されて、健さんの紹介で東映に入れてもらいました。

――高倉さんはその役柄から、寡黙な方という印象が強いですが、石倉さんから見るとどのような方なんでしょう。

石倉 私は最初に喫茶店で出会ってますからね。よくしゃべるし、とにかく冗談ばかり言う極めて普通の人ですよ。寡黙でも何でもなくて、フランクにおつきあいさせていただきました。
※この記事は2023年10月9日放送「師匠を語る」を再構成したものです。

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