11月27日放送の「映像の世紀 バタフライエフェクト」では、シリーズ放送開始29年目にして、初めてテーマ音楽の曲名『パリは燃えているか』が番組タイトルエピソードになります。シャネル、ピカソ、ドゴールという、パリを唯一無二の街にした3人の物語を中心に、幾多の試練を乗り越えてきた華の都パリ、激動の百年を描きます。


ヒトラーが叫んだ「パリは燃えているか」

「パリは燃えているか」とは、第二次世界大戦末期、ナチスドイツ占領下にあったパリで市民が一斉蜂起したことを知ったヒトラーが、破壊を命じた際に叫んだ言葉だと言われています。しかし、華の都パリは燃えませんでした。

作曲家でピアニストの加古隆さんはこのエピソードにインスパイアされ、人間の持つ愚かさと素晴らしさの二面性を表現しようと、番組が始まった1995年にテーマ音楽 「パリは燃えているか」を作曲しました。

パリ・エッフェル塔を背にするヒトラー

本エピソード放送のために、加古隆さんの演奏を撮り下ろし。

テーマ音楽「パリは燃えているか」(略称「パリ燃え」)は今年、音楽活動50周年を迎えた 加古さんの代表曲です。 今回、この放送のために加古さんが演奏し、番組はその撮り下ろし映像から始まります。 世界中に保存されている過去の映像で紡ぐドキュメンタリー番組「映像の世紀」シリーズで、撮り下ろし映像を交えるのは非常に珍しい演出。 NHKのYouTubeチャンネルでは放送未公開の「パリ燃え」ピアノ演奏フルバージョンを見ることができます(11/22水曜 昼12時公開予定)。

今回の番組のために演奏する加古さん

「パリを巡ってどんな物語が展開するのか、とても楽しみ」

今回の放送にあたり、加古隆さんがコメントを寄せました。

「『パリは燃えているか』という曲名は、第2次世界大戦時のナチス・ドイツ が、パリを破壊しようとした作戦に由来しています。「パリ」というと、私が留学し若い頃に何年も住んだ体験を通じて、人間が生み出した素晴らしい文化や歴史を象徴的に感じますし、「燃えているか」という言葉は、同じ人間が繰り返す戦争や破壊のイメージです。しかし、パリの運命は消されることなく現在、私達の前に残されているのです。 番組タイトルを聞いた時には、私の曲名でもあり本当にうれしい思いがしました。1970年代から80年代にかけて青春時代をパリで過ごしたことは、私の人生の宝物と言っても過言ではありません。パリを巡ってどんな物語が展開するのか、とても楽しみです 」

加古隆さん

この曲が静かにすっと入ってくる瞬間は、何度聴いても鳥肌が立つ

番組プロデューサーの寺園慎一も、本エピソードへの思いをこう語ります。

「『バタフライエフェクト』でパリをやるからには、加古さんの『パリは燃えているか』を番組タイトルにしようというのは迷いなく決めました 。『たゆたえども沈まず』を市章に掲げ、多くの試練を乗り越えてきたパリの歴史を語るには、人間の罪と勇気を感じさせるこの曲のタイトルこそふさわしいと考えま た。 私は『新映像の世紀』から10年近く携わり、編集室やスタジオでこの曲をおそらく 1000 回以上聴いています。映像の中に、この曲が静かにすっと入ってくる瞬間は何度聴いても鳥肌が立ちます。『バタフライエフェクト』は、これからも『パリ燃え』とともに、歩み続けます。 放送をお楽しみに! 」

華の都・パリ(1899年)

「パリは燃えているか」

2023年11月27日(月) 午後10時 ~ 午後10時45分(NHK総合)
【見逃し配信】2023年11月27日夜~12月4日夜 (NHKプラス)

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