学校の先生たちは、国語、算数、体育などの教科や、健康、食育、特別支援などの領域ごとに研究会や研究団体に所属し、そこでの研究活動を通じて授業のスキルアップを図っています。全国放送教育研究会連盟(全放連)もそのような研究団体のひとつで、放送番組を使った授業づくりについて研究しています。
NHK財団は全放連から事務局業務を受託して、団体運営や一年に一度開かれる放送教育研究会全国大会(以下、全国大会と略します)の開催をサポートしています。11月11日(土)にオンラインで開催される、第74回放送教育研究会全国大会に向けて、事前研修会(実践発表のリハーサル)が10月21日(土)に東京・渋谷のNHK放送センターで行われました。その様子をリポートします。
全国大会の実践発表では、幼稚園から高校までさまざまな校種の先生方が日ごろの研鑽の成果を発表します。今年は次の3つのテーマが設定されています。
(1)情報活用能力の育成を目指した番組活用
(2)番組活用で実現する個別最適な学び・協働的な学び
(3)番組活用で実現する探究的な学び
本番では、テーマごとに実践者(現場の先生)2名が発表します。また、(1)は日本大学の中橋雄教授、(2)は茨城大学の小林祐紀准教授、(3)は鳴門教育大学大学院の泰山裕准教授が指導助言とミニ講演を行います。
10月21日(土)のリハーサルでは、講師と発表者に加えて、全放連事務局で大会運営に関わる先生方やNHKの番組制作担当者も参加しました。学校行事等でNHK放送センターに来られない先生は、職場や自宅からオンラインで参加するハイブリッド形式の研修会です。
これまで5月、7月と研修会を開いて準備を進めてきましたが、今回が大会前最後の集まりです。それぞれの発表内容を精査し、どうすれば実践のポイントが参加者にわかりやすく伝わるか、工夫のしかたを考えました。
はじめに、講師の先生方から
「全国大会での実践発表の意義は、参加者に対して授業改善に役立つ知見を提供することであり、その人たちが知りたいことに応えることです」
「他の先生方の実践の参考になるように、事実、実践者の思い、指導のポイント、根拠を明確にして話しましょう」
「発表のとき、『~を高める』『~を深める』など聞き心地のよい抽象的な言葉を使いがちですが、指導の結果どうなったら高まったり深まったりしたことになるのかなど、使う言葉の具体的な定義やエビデンスを意識する必要があります」
などと、発表のブラッシュアップに向けたポイントが示されました。
その後、テーマごとに別々の部屋に分かれて発表のリハーサルを行いました。実践者の発表を聴いて、講師・制作担当者・事務局の先生たちが発表をよりよくするための意見を出し合いました。
講師や参加者からは、
「オンラインのプレゼンテーションではアニメーション効果は入れないほうが見やすい」
「スライド1枚につき1分くらいかけて説明すると伝わりやすい」
「実践発表では実践者の意図や思い、行った実践の意味を伝えることが大切」
といった具体的なアドバイスがありました。
最後に全員がもう一度ひと部屋に集まり、講師の先生方から大会当日までにできることのヒントを教えていただきました。講師の先生方が共通におっしゃっていたのは、
「発表者自身が参加者との交流を楽しみましょう」
「どの先生も発表する意義のある提案性の高い実践をされているので、自分の発表内容に自信を持ち、放送教育の良さが伝わるように発表しましょう」
ということでした。
日々の授業・保育で多忙を極める中、現場の先生方は子どもの豊かな学びのためにこのような研究活動を通じて研鑽を積んでいます。放送教育研究会全国大会は、視聴覚教育の研究団体と合同で11月11日(土)にオンラインで開催されます。教育に関心のある方ならどなたでも参加できます。皆さまのご参加をお待ちしています。
参加申込は放送教育・視聴覚教育全国大会特設サイトから(11/9木曜まで)
放送教育研究大会に関するお問い合わせはこちら
※ステラnetを離れます
(NHK財団 若狭由起子)