今年は関東大震災から100年の節目の年です。今から100年前に大都市を襲ったこの未曽有の災害の経験から日本でもラジオ放送を求める声が大きくなり、1925年にこの国のラジオ放送が始まりました。その後、放送は常に災害の歴史とともに世紀を超えて歩んできました。NHK放送博物館では災害と放送の歴史を振り返り、災害に備える放送の取り組みを紹介する企画展「知る 備える 守る~放送と自然災害の1世紀」を開催中です。

会場では日本でラジオ放送が始まってから経験した「室戸台風」をはじめ、気象情報が禁止されていた戦時中の自然災害、また明治以降の台風では最大の被害を出した「伊勢湾台風」など、その時代の記録写真やニュース原稿、放送記録などの史料を展示しています。

また停電時でも放送が聞けた昭和初期のラジオ受信機も展示しています。このラジオはふだんは電灯線から電源をとり、停電時には内蔵された蓄電池で電源を確保できるもので、台風などの災害時には大いに役立ちました。 

また災害を知るための展示もあります。こちらは東日本大震災の震災遺構をVRで見ることができるコーナーです。

「坂道グループ×震災語り部」VR体験コーナー 4か所の震災遺構が見学できる

こちらのコンテンツはNHK仙台放送局が制作したもので、コーナーではアイドルグループ「乃木坂・櫻坂・日向坂」の各グループのメンバーが被災地の震災遺稿をそれぞれ地元の震災語り部のガイドでめぐる「坂道グループ×震災語り部」を公開しています。タッチ式のモニターで360度の自由な視点で震災遺構を見学することができます。ふだんは仙台放送局の「定禅寺メディアステーション」で公開していますが、NHK放送博物館での展示は今回が初めてです。

またこちらは水害の恐ろしさをARで体験できる「AR浸水体験!」のコーナーです。バックの絵の前に立つと、次の画像のようにCGの合成画面で水害の様子をバーチャル体験できます。

約1mの浸水で子どもの胸のあたりまで水がくることがわかる

自然災害の恐ろしさを知り、来るべき災害に対して備え、貴重な人命・財産を守るために、放送が取り組んできた100年の歴史と、これからの挑戦を会場で体験してください。


企画展 「知る 備える 守る~放送と自然災害の1世紀」
会期 
~2023年10月1日(日) ※毎週月曜休館(祝日除く)
場所 NHK放送博物館(東京都港区愛宕 2-1-1) 3階 企画展示室
開館時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
入場料 無料

【NHK放送博物館ホームページ】https://www.nhk.or.jp/museum/