NHK-FMの人気番組「アニソン・アカデミー」で生徒会長(番組MC)を務めている“しょこたん”こと中川翔子さんの連載コラム。今回は、最近どハマりしていた春クールのアニメ番組について、たっぷりと語ります。


♪トゥットゥル~、中川翔子です。
ことしの夏は、自分が持っている体力を限界まで使って、舞台『SHOW BOY』に取り組んでいます。やらなきゃいけないことに追われて、毎回「ひぇ~!」という状態になっていますが、アニソン界のレジェンドの先輩たちは全く疲れを見せずに走り続けていらっしゃるので、私もがんばらないと! それでも「アニソン・アカデミー」に出演してちょっと深呼吸をすると、「実家に帰ってきた!」という気持ちになりますし、生徒(リスナー)のみなさんのリアルタイムの反応や流れるアニソンに元気をもらっています。

そんなわけで、夏クールのアニメ番組もまだ追いついてなくて、どうにか見られているのは「呪術廻戦」の第2期と、新しい「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」くらい。後は「範馬刃牙」のピクル編も楽しみにしています。
何より私は、春クールの「【推しの子】」に、ものすごくハマっていました。もともと原作になった漫画の「【推しの子】」(赤坂アカ×横槍メンゴ)が大好きで、発表されている全話を読んでいたんですよ。でも原作の第1巻の内容がすごく斬新、かつ衝撃的すぎるから、アニメ化されるという話を聞いたときには、どんなふうに描かれるのか、ちょっと心配したところもあったんですよね。それをアニメの第1話は、放送時間90分の拡大スペシャルにして、第1巻まるごとアニメになっているのが画期的で。作品のアイコンになっているアイ(星野アイ)がストーカーに刺されてしまうところまで一気に見せ切って、映画みたいに気合を入れて作られていることに感動しました。
第1話の、アイが絶命する直前に子どもたちに「愛してる」と語りかけるシーンは、そのリアルさで「漫画を超えてきた!」と思いましたし、キャラクターの魅力で言えば、第1期最終話で「あんたの『推しの子』になってやる!」と宣言した有馬かなが、ものすごく可愛かったですね。ちなみに、私は有馬かな推しです(笑)。

そもそも「【推しの子】」って、転生もので、謎とサスペンスに彩られていると同時に、職業としての芸能界の描き方がすごくリアルなんですよね。実際に芸能界で働いているとわかること、誹謗中傷でSNSが炎上したり、スタッフ側もそれぞれ悩んでいたり、まだアニメでは登場してないけれど、悪い大人が調子のいいことを言って誘惑してきたり、そういったことがきちんと描かれているところがすごいなと思っています。それに登場人物たちが、アクア(星野愛久愛海)とルビー(星野瑠美衣)は転生しているからというのもあるけれど、天才子役と呼ばれていた有馬かなも、考え方が大人だから、見ていておもしろいんですよね。私が10代のころはもっと幼くて、あまり先のことは考えられていなかったから、仕事に対してギラギラするくらい情熱を傾けている姿を「勉強になるな」と感じながら見ていました。突然訪れるチャンスをいかに活かすかを考えて言葉にしたり、例えば演技とか、得意なことでいかに自分を輝かせることができるのか考えたり、いろんな形でチャンスをつかむ努力に対して、私はそこまでは考えられていなかった気がするなぁ……。

「【推しの子】」の中には、印象的な言葉がたくさん登場しているけれど、強く記憶に残っているのは、アイの「これは嘘じゃない、愛してる」ですね。オープニング主題歌の「アイドル」の歌詞の、作品とのリンクっぷりが半端なくてすごいなと思っていて、この言葉は歌詞の中にもあるのですが、それを「やっと言えた」と口にするところが、大好きです。
芸能界って、私は嘘があってはいけないと思いながら仕事をしてきたのですが、アイは「芸能界は嘘で出来ている」と言っています。最初は「えっ!?」と驚きましたが、確かに「仕事をしているときには、普段の自分と違うスイッチが入っているな」と思うことはありますね。人と会ったときに「しょこたんは、普段は『ギザウレシス』って言わないんだね」とか「あれ、セミの抜け殻はつけてないんですか?」とか言われて、「そんなわけないじゃん」と思うけれど、自分がそうしてきたことは事実なわけで。それは嘘じゃなくて、自分だけどスイッチが入っている状態でやっていることだけど、そこからいろいろ想像されているんだろうなぁと思ったりして、自分と重ね合わせて見ることが多かったですね。

重ね合わせるといえば、漫画を読み始めた当初は気づいていなかったのですが、父(中川勝彦)が芸能界で活動していて、私は父のデビューと同じくらいに生まれていて、でも当時は公表されてなかったから、いろんな状況が【推しの子】みたいな感じなんですよね。そして父がやっていた仕事、歌ったり、演技したり、アニメの声優をしたり、今の私は同じような活動をしているので、本当に【推しの子】なんだなって思います。


〈アニソン・アカデミー〉
NHK-FM 毎週土曜 後2:00~4:00
【番組ホームページ】
https://nhk.jp/anison-ac

☆「NHKラジオ らじる★らじる」の聴き逃しサービスでも、放送翌週の月曜正午から1週間配信しています。
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/

5月5日生まれ、東京出身。2004年に開設した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」が大評判となり、アニメ・漫画・特撮・カンフーなどの豊富な知識で大きな話題を集める。2006年に歌手デビューして、翌年「空色デイズ」で「第58回NHK紅白歌合戦」に出場。俳優としてのNHKドラマ出演は、連続テレビ小説「まれ」、ドラマ10「デイジー・ラック」ほか。2011年公開のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」(日本語吹替版)では、主人公・ラプンツェルの声を担当。4月には中国・上海での音楽ライブ出演、5月には毎年恒例のバースデーライブ開催も決定している。