「明日をまもるナビ」命と暮らしを守る 地域局の取り組み 金沢放送局
7月2日(日)総合 午前10:05〜10:50
【番組HP】
https://www.nhk.jp/p/ts/698KRW7VJW/episode/te/RMRXGQL22L/


✉️ 2023/4/26 高野明美さん ⇒ 私
「今回の企画、本当に感謝しかありません。災害に疎かった小松市民にとって、貴重な機会になると思います。たくさん学ばせて頂きます」

✉️ 私 ⇒ 高野明美さん
「文面を拝見し、とても心強く思いました。大型連休明けに会場下見に小松市を訪ねます。よろしければ、お目にかかり、ご挨拶申し上げたいと存じます」

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地域の防災力向上を目指し、NHK財団が企画する防災ワークショップ。これまでに宮城県気仙沼市と高知県黒潮町で開催してきました。
3回目となる今回の会場は、石川県小松市。企画の実現に多大なお力添えを頂いた「小松防災士の会」副会長の高野明美さんとの「やりとり」を振り返りながら、今回のワークショップの詳細をお伝えします。(文/NHK財団 星野豊)

去年8月、石川県は記録的な大雨に見舞われました。小松市を中心に1492棟の住宅が浸水。「おかしいなと思ったら、もう道路は冠水していた」。急な増水に逃げ遅れ、住宅に取り残された人。家族との連絡がつかない人。「命の危険を感じた」と話す市民も少なくありません。

今年も巡ってきた雨の季節。去年の豪雨は、どんな教訓を残したのか。大雨にどう備えれば良いのか。

地域の目線でワークショップを設計するため、主催するNHK金沢放送局の推薦で「小松防災士の会」の高野明美副会長に準備段階からご協力を頂きました。

「小松防災士の会」は、防災士の資格を持つ方々が所属するボランティア団体です。会員数は765人。地域の防災意識を高める啓発活動や防災訓練の指導、有事には行政と連携して避難所の運営や被災者の救護などに当たります。高野さんは元看護師で、2007年3月に起きた能登半島地震(最大震度6強)の際、ボランティア活動に参加したことがきっかけで、防災士の資格を取得。2021年からは「小松防災士の会」の副会長を務めています。

「私の思いはひとつ。災害から小松市民の命を守ること。それにつながることなら何でも協力させて頂きたいと思っています」

高野さんの思いに突き動かされるように、ワークショップの準備が進みました。

ワークショップでは、災害がタイムライン上で進行するシナリオを用意し、集まった市民の皆さんと災害を仮想体験しながら「避難する」「避難しない」を判断する「避難シミュレーション」を行います。
今回は、去年8月の記録的な大雨を題材に、事態が深刻化していく過程を「4段階」に分け、気象警報や河川情報、避難指示が発表される度に、避難行動を判断しました。

監修役には、水害から人と街を守る研究に取り組んでいる金沢大学の谷口健司教授をお迎えし、シナリオ作りにご協力頂きました。開催当日には、市民の皆さんの避難行動について講評とアドバイスをして頂く、コメンテーターも兼ねています。

✉️ 2023/4/26 高野明美さん ⇒ 私
「ご助言いただく先生が谷口教授と知り、さらに感激しております。去年の豪雨災害で心に響くコメントをされていたので、谷口先生のアドバイスを聞けることも楽しみです」

去年8月の記録的な大雨では、複数の河川の氾濫に加え、排水用の水路が溢れる「内水氾濫」も起きました。「あっという間に道路が冠水し、家から出られなくなりました」。高野さんは、そうした市民の声を数多く聞いたと言います。

✉️ 2023/4/26 高野明美さん ⇒ 私
「去年の豪雨災害の状況を忘れないうちに、しっかり形に残し、災害の怖さとそれを乗り越えるために、今できることを伝えていこうと、去年10月から豪雨災害の講座を続けています。当時の状況を記録した写真や資料、注意点を書き添えたパネルを自作し、展示活動を続けています」

今回のワークショップでも、高野さんが作ったパネルを会場の入口に展示し、入場者に見てもらいました。

✉️ 2023/5/10 高野明美さん ⇒ 私
「きのう、小松市立板津中学校で防災講座をしてきました。講座の最後にワークショップのことをお話ししたところ『行きたーい』の声が上がり、校長先生をはじめ、先生方も『子供たちと一緒に学びに行きたい』と言われました」

✉️ 2023/5/12 高野明美さん ⇒ 私
「私の町は町内会長が熱心です。『浸水や冠水の被害もあったので、忘れないうちにしっかり勉強しておこう』と、回覧板で全世帯(660世帯)にワークショップのチラシを回して下さっています」

✉️ 2023/5/19 高野明美さん ⇒ 私
「被害が大きかった中海町の町内会長さんにお会いできず、チラシにお手紙を添えて置いてきたのですが、会長さんはそれをとても喜んで下さり、翌日、自ら町内に放送を入れて、『町内から出演するご家族を、みんなで応援に行きましょう』と、朝夕2回も呼びかけてくださったそうです。町の人たちも『感動した』と言っておられました。私もうれしくて泣きました」

「一人でも多くの市民に参加して欲しい」。ワークショップを前に、一生懸命、お声がけする高野さん。小松市役所を訪ねた際に、危機管理課の皆さんと一緒にお目にかかり、丁寧に謝意をお伝えしました。笑顔のすてきな、聡明な印象の方でした。

高野さんには、避難シミュレーションにご出演頂く3組のご家族の推薦も、お願いしました。1組目、2組目までは順調に決まったのですが……。

✉️ 2023/5/19 高野明美さん ⇒ 私
「決まりかけていた3組目の方に『辞退したい』と言われ、落ち込んでいます。他の方を、当たれども当たれども、なかなか承諾を頂けず、心が折れてしまいました。けれど、いろいろな方が協力して下さり、候補者を探して下さっています。『今週中には何とかしましょう』と言って下さっているので、お待ち頂けたらと思います」

✉️ 私 ⇒ 高野明美さん
「過分なご負担をおかけし、本当に申し訳ありません。前回の高知県黒潮町のワークショップの時も、3組目のご家族が直前まで決まりませんでした。高野さんの人望で、間もなく霧が晴れて、陽光が差してくると思います。きっとうまく行きます」

✉️ 2023/5/22 高野明美さん ⇒ 私
「3組目のご家族が決まりました! 床下浸水の被害があった地域から親子でご参加頂けるそうです」

高野さんのご尽力で「避難シミュレーション」に参加して頂く3組のご家族が決まりました。開催まで「あと6日」というタイミングでした。

5月28日(日)、会場の石川県小松市にある「團十郎芸術劇場うらら」には、凡そ350人の方々が詰めかけました。いよいよ本番。ワークショップで、3組のご家族を始め、会場に集まった皆さんは、どんな避難行動を選択するのか。続きは「後編」で詳しくお伝えします。

このワークショップの模様は、総合テレビ「明日をまもるナビ(88)命と暮らしを守る 地域局の取り組み 金沢放送局」で全国に放送されます。
放送は7/2(日)午前10:05〜10:50です。ぜひ、ご覧下さい。

(文/ことばコミュニケーションセンター 星野豊)