「青のオーケストラ」 
毎週日曜 Eテレ 午後5:00~5:25
再放送 毎週木曜 Eテレ 午後7:20~7:45

※放送予定は変更になる場合があります。
【番組HP】https://www.nhk.jp/p/ts/3LMR2P87LQ/


うわっ、またしても、ここで終わるかぁぁぁ!!!

それは、ね。今回のサブタイトルが「決戦前夜」だから、オーディションまで話が進まないことは、知っていました。ええ、知っていましたとも! で・す・が。登場キャラクターそれぞれの想いがクローズアップされていて、めっちゃ盛り上がってきたところで、その続きは次回へ、という……。むむむむむ、またもや1週間、待つのかー。
1話が“体感10分”であることといい、約2週間前に放送された「イッキ見」での“続けて見たときの満足感”といい、4話ずつくらいまとめて見たくなってしまうんだけど(←漫画誌での連載もコミックスで楽しむ派)、待ち遠しさは一緒かなぁ。悩ましいところですね。
というわけで、第11話「決戦前夜」の物語を、ざっと振り返りますと。


オーディションまで、あと3日。オーケストラ部の部員たちが練習に打ち込む中で、数学の小テストが赤点だった青野(声:千葉翔也)と佐伯(声:土屋神葉)は、補習のプリントに取り組んでいた。なんとか課題を終えた2人は、大急ぎで音楽室へ。合奏練習の演奏が途切れたところで部屋に入るが、2人の姿を見た顧問の鮎川先生(声:小野大輔)は、2人がいなかったことに初めて気づいたと言う。そして青野は、鮎川から「お前、名前は?」と問いかけられたことで、自分は名前すら覚えられていなかったのかと衝撃を受けた。

そして、オーディション前日。もっと練習したいと思っていた律子(声:加隈亜衣)は、帰り道で一緒になった青野に頼み込んで、青野の家を訪れる。オーディション曲である、ドヴォルザークの「交響曲第9番『新世界より』の第3楽章」のリズムが取りにくいと言う律子に、青野は2人で音を合わせてみないかと提案した。そのころ佐伯やハル(声:佐藤未奈子)、2年生の羽鳥(声:浅沼晋太郎)たちも、それぞれの想いを胸に、練習を続けていて……。


オーディションの前夜、青野くんをはじめ、佐伯直、ハルちゃん、そして羽鳥が、練習中に弾いているヴァイオリンの音が紹介される中で、それぞれの想いが重奏的に描かれていく演出は見事でした。各キャラクターの演奏を担当するヴァイオリニストたちの音色の違いも際立っていて。しかも、その音が別のシーンに少しだけ重なっているところが絶妙ですね。これは、アニメならではの演出だなぁ。

ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

さて、物語の中でさりげなく明かされていた、いくつかの新事実。

佐伯直は、12歳までドイツで暮らしていた!

おじいちゃんはドイツ人で、すでに亡くなっていて、今は豪快な性格のおばあちゃん(声を担当しているのは、朴璐美さん!)と暮らしている。佐伯については、先日の「N響×青のオーケストラ コンサート」の番組の中で、佐伯役の土屋神葉さんが「彼は生まれてから、自分自身が何者であるかを自問自答している」と語っていたし、初登場した時からマイペースで、空気を読まない、掴みどころがない性格だったけれど、その理由の一端がここにあるのか……。

佐伯が12歳までドイツで暮らしていて、日本語の読み書きは苦手だと知った青野くんが、彼の課題のプリントの漢字にふりがなを振ってやるのは、青野くんの持つ優しさが滲み出ている場面ですね。中学生のころは、あれだけ周囲と関わらないようにしていた、あの青野くんが! 成長した、というか、本来の自分を取り戻しかけている姿に、感慨深いものがあって。

それは、りっちゃんとの練習で、音を合わせていく場面も同じ。中学時代に、青野くんがりっちゃんにヴァイオリンを教えたことも回想シーンとして登場して、りっちゃんは自分が成長していることを、青野くんは自分が変わっていることを自覚する描写があるけれど、彼らの歩みがちゃんと伝わってくるところが「良き!」でございます。
ちなみに、青野くんとりっちゃんが2人だけで音を合わせるのって、初じゃない!? 記念すべき初めての共同作業ですね!(←なんか、意味が違う)

ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

青野くんと出会い、彼が「先生」として教えてくれた日々を思い出したことで、オーデションに対する緊張感がほぐれたりっちゃん。青野くんに聞こえないような小さな声で「ありがと」と口にしていたから、青野くんに対する気持ちにちょっぴり変化が? これは2人の仲が新たな段階に進むフラグなのか!? そんなことも気になりますね。進展するのか、進展しないのか、どっちなんだー!!!
原作を読んでいてすら、やきもきしてしまう展開が続いていくので、思わず身もだえしてしまいます。それは取りも直さず、作者の阿久井真先生がストーリーテラーとして優秀、ということなのだけれども(笑)。

ところで、恒例の「青のオーケストラ 聴きドコロ♪」は……。

♪チャイコフスキー「くるみ割り人形」より「小序曲」
指揮:吉田行地
演奏:洗足学園フィルハーモニー管弦楽団

こちらも定期演奏会での演奏曲目ですね。原作では、組曲になっている「くるみ」の中から8曲が演奏されているのだけれど、アニメでは全部は難しいかな。でも、練習場面に登場している「小序曲」は確定だろうし、物語の展開を考えたときに「花のワルツ」が聴けることも期待できそうです。

ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

それにしても。
鮎川先生の「お前、名前は?」発言は、キツいなぁ。おかげで青野くんは、先生を見返したいと考え、

あいつの記憶に、青野一という名を刻み込んでやる!

と、意気込むことになって。
ハルちゃんは、部員数が多いから先生も名前を覚えきれないとフォローしてくれたけれども、原田先輩(声:榎木淳弥)が指摘していたように、先生が青野くんのことを認識していなかったとは、到底思えない。で、あるならば。鮎川先生があのような態度をとった真意は、どこにあるのでしょうか? 次回、6月25日に放送される第12話「オーディション」で、明かされることになるのかしら……。


定期演奏会のメイン曲となる、ドヴォルザークの「交響曲第9番『新世界より』」。その演奏メンバーを選ぶオーディションが始まった。弦楽器の審査を担当するのは、他のセクションの3年生たち。廊下に漏れてくるヴァイオリンの音色に、順番を待つ部員たちの緊張が高まる。
青野と佐伯、どちらが前の席を勝ち取るのか? 注目が集まる中で、青野の番が訪れた。ライバルに勝ちたい、そして鮎川先生に自分の存在を認めさせたい……。その想いのすべてを、演奏にぶつける青野。審査員の部員たちは、公正に試験を行うため演奏者に背を向けて座っていたが、音が響いたその瞬間、誰の演奏なのかを全員が理解した。


阿久井真先生と千葉翔也さんがこれまでのインタビューで語ってくれた、青野くんが演奏することで「俺を見ろ!!!」と自己主張する場面が、いよいよ登場。この場面で、青野くんの演奏を担当する東亮汰さんがどんな演奏を聴かせてくれるのか?、にも注目したいですね。そして、オーディションの結果は? その結果が発表されたときに訪れる、新たな課題とは!?
ということで、私の主張といたしましては。

次回も見ろ!!!

おあとがよろしいようで。どうぞ、よろしくお願いいたします。

第11話「決戦前夜」の再放送は、Eテレ 6/22(木曜)午後7:20~7:45。
見逃し配信は、NHKプラスで6/25(日曜)午後5:25まで。
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2023061806741?cid=dchk-tw-animeworld-230618

追記
こちらのサイトのキャラクター紹介を見ていて気づいたのだけれど、各キャラクターの説明文のところに、楽器のパートとともに誕生日が書かれていますね。これ前から出てた? 私は、気づいてなかった(泣)。細かいところまで考えられているんだなぁ……。
ちなみに、第12話「オーディション」が放送される6月25日は、羽鳥の誕生日ですね。ちょっぴり早いけれど、おめでとう!

カツオ(一本釣り)漁師、長距離航路貨客船の料理人見習い、スキー・インストラクター、脚本家アシスタントとして働いた経験を持つ、元雑誌編集者。番組情報誌『NHKウイークリー ステラ』に長年かかわり、編集・インタビュー・撮影を担当した。趣味は、ライトノベルや漫画を読むこと、アニメ鑑賞。中学・高校時代は吹奏楽部のアルトサックス吹きで、スマホの中にはアニソンがいっぱい。

☆これまでの感想記事は、ここに(https://steranet.jp/list/category/stera_aniken )。