窯元の入り口に並ぶたぬき。手にした通い帳は信用を表す。

愛らしい信楽焼しがらきやきのたぬきは、〝他を抜く〞とも言われる縁起物で、全国に知られ
こう市・信楽の特産品でもあります。佐々木リポーターがたぬきたちとともに、信楽の魅力を紹介します。

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周囲を山に囲まれた信楽は、古琵琶湖層の良質な陶土に恵まれて、陶芸の町として発展。歴史ある日本六古ろっこようの一つでもあります。
…古くから続く焼き物の産地。瀬戸、越前、常滑(とこなめ)、信楽、丹波、備前の6か所が日本遺産に認定された。

何と言っても有名なのは、たぬきの置物。町のどこへ行っても出会うたぬきたちは、いつも笑顔で気を配り、手にした徳利とっくりが人徳を象徴、笠で災難から身を守るなど、八つの吉、「八相縁起はっそうえんぎ」を表すありがたい置物です。

信楽駅では約100体のたぬきがお出迎え。

最近は若手の作家たちが、室内でも楽しめる小さな作品を作り、〝信楽のたぬき〞のイメージが変わりつつあります。窯元を巡りながら、お気に入りのたぬきに出会いに行くのもいいですね。

窯元巡りの散策路で陶都の風情を味わう。
登り窯での窯焚き。土と火と水が信楽焼独特の表情を作る。
階段状の登り窯の遺構は中を見ることもできる。

佐々木由紀 (ささき・ゆき)

琵琶湖の水と比叡山麓の空気で育つ。滋賀県の魅力を伝えたいと、休日は県内各地に出かけている。「日本列島くらしのたより」に出演中。

(月刊誌『ラジオ深夜便』2023年6月号より)

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