育休中の新米パパであり刑事でもあるあきづきはる(金子大地)が、事件に巻き込まれていくライトミステリードラマ「育休刑事」(全10回)。
子育て当事者ならではのリアルな視点が事件解決のフックになっていて、何とも斬新。そして、主人公(男性)が育児する姿を“当たり前”に描いているのが気持ちいい……!

この記事では、3児(4歳&1歳双子)を育てる育休明けのワーママが、「育休刑事」を見て感じたアレコレをつづります。…ワーキングママ(ワーキングマザー)の略称。 育児をしながら働く女性のこと。


このドラマ、ミステリーが本格的なのはさることながら…「育児をもっと開かれたものに!」と支援してくれているみたい。第4話(5/9放送)まで視聴して、そう感じました。

特に私がいいなぁと感じた“支援ポイント”は、次の3つ。
①育児する男性を特別視しない描写
②共感の嵐が吹き荒れるセリフ
③押し付けがましくない助言

詳しく紹介していきましょう。

推しポイント① 育児する男性を特別視しない描写

主人公の春風は育休中。妻の沙樹(北乃きい)は仕事復帰しているので、日中は春風のワンオペ育児。お出かけ時は春風が抱っこ紐を装着するし、赤ちゃんと2人でベビー用品を買いに行くこともあります。
男性が1人で赤ちゃんを連れている姿って、女性のそれに比べると圧倒的に少ない。けど、ドラマの中では当たり前として描かれています。春風の職場の同僚たちも、彼が育児していることを当たり前に受け入れるし、周囲が「パパ1人ですごいね!」とおだてることもない。至って自然!

令和の現代においても、まだまだ「育児=母親」というイメージが強いなぁと感じますが、本来育児は誰にだってできるんですよね。女性にしかできないのは、「妊娠&出産」だけ。

育児する男性がいたっていいし、育児しない女性がいたっていい。それなのに、世間の「当たり前」が刷り込まれて、窮屈な思いをしている人がいる(女性だけではなく、育休を取りたくても周りの目が気になってしまう男性など)。
世間の常識は、1人1人の感覚が変わることで確実に、かつ大きく変わっていくもの。「いろんな役割分担の形がある」ことを当たり前として描く「育休刑事」は、見ていてとても気持ちがいいし、希望を感じました。

推しポイント②共感の嵐が吹き荒れるセリフ

サラッと登場するセリフに頭がもげるほどうなずいてしまうのも、「育休刑事」の推しポイントです。
特に印象的だったのが、第3話のシーン。ある男性刑事が容疑者の女性に対して「赤ちゃんを柵の中に入れておけば、2時間くらい赤ちゃんを置いて家を出られますよね?」といった発言をするのですが……。
春風が瞬時に反論!

「ただベッドで寝ているだけでも、何があるかわからないのに?」
「子どもがいる状態だと、不可能が山ほどあるんです。映画を見る、レストランで料理をゆっくり味わう。オンラインゲームで盛り上がる。それらは今世界中で、数億人の親が挑み、解決策が見つけられていない最強の不可能です」

春風のセリフには親のリアルな声が濃縮されていて、「そうそう、そうなんだよぉ〜」と共感の嵐が吹き荒れました。ふだんぼんやりと感じていることを誰かが言語化してくれるって、こんなにもスカッとするんだな〜と実感。
もやもやを抱えている親のみなさんに、心から視聴をすすめたいです。

推しポイント③押し付けがましくない助言

春風が捜査を手伝うことで(頼まれて仕方なく……のパターンではあるものの)、春風の赤ちゃんは、春風の同僚や上司に出会い、みんなから可愛がられます。いろんな人が春風と一緒に育児に参加している雰囲気なんです。

第3話で春風の妻・沙樹が、
「赤ちゃんと2人で閉じこもる生活より、ほかの大人の手や目があって、みんなで子どもを育てていく——そういう環境があるのは恵まれているのかも」
と言っていましたが、本当にそうだよなぁと。

我が家は夫婦で育休を取得しましたが、夫とツーオペ体制の時には「かわいいな〜」と思えた子どもの行動も、夫の育休終了後ワンオペ体制になるとイライラしか感じなかった……という経験が多々あります。育児は負担がある一方で、喜びもある。ただ、喜びは心の余裕がないと感じられないんですよね……。

「親が献身的に子の面倒を見る=善」というイメージがありますが、親が幸せでないと子を幸せにすることなんてできない。過度な自己犠牲は本末転倒です。「育休刑事」を見ながら、育児に必要なのは心の余裕だ!と改めて痛感……。
育児のしんどさと、それを昇華する方法がナチュラルに描かれているので、押し付けがましくないんですよね。見ている側も「そうだよな〜」と抵抗感なく納得できました。

育休中でありながらも、職場の仲間に頼まれて次々と事件解決(=仕事)をする春風。育児に仕事にと奮闘する姿を見ていると、「これって休業じゃないよね!?」と心配になります。一方で、「家族も大事だけど、仕事も大事」という彼の熱い思いが伝わってきて、胸熱になるのも事実。

私生活と仕事、自分にとってのベストバランスはどんな状態なんだろう――。そんな、ふだんの生活ではなかなか立ち止まって考えるきっかけがない問題に、向き合うきっかけをもらっています。
物語もいよいよ後半戦! とはいえコメディテイストで途中からでも見やすいので、「見たことがない」という人もぜひ見てみてください!

(文/NHK財団 森田奈津季)


▼第5話「人見知り」(5/16放送)のあらすじはこちらから!
https://www.nhk.jp/p/ts/XQJGYWZQNM/episode/te/9VR1WMMVJG/