「青のオーケストラ」 
4月9日(日)から、毎週日曜 Eテレ 午後5:00~5:25
再放送 4月13日(木)から、毎週木曜 Eテレ 午後7:20~7:45

※放送予定は変更になる場合があります。

【番組HP】https://www.nhk.jp/p/ts/3LMR2P87LQ/


クラシック音楽をモチーフにしたアニメは、良作になる――。
個人的にそう断言したい、アニメLOVEライターの銅本一谷です。

だって、「ピアノの森」とか「四月は君の噓」とか「のだめカンタービレ」とか、心にしっかりと残る作品が多いじゃないですか。クラシックから少しだけ枠を広げると、吹奏楽の「響け!ユーフォニアム」とか、筝の「この音とまれ!」とか、津軽三味線の「ましろのおと」とか(NHKでは「クラシカロイド」という異色作もありましたね!)。

それぞれ、音楽が作品のテーマに深くかかわっていて、劇中でドラマチックに「鳴る」ことで、相乗効果の感動が味わえて……。
というわけで、この春、私が注目しているのが、4月9日(日)にEテレで放送が始まるアニメ「青のオーケストラ」。原作は、阿久井真さんが描いた同名の人気マンガです。

物語の主人公は、かつて「ヴァイオリンの天才少年」と呼ばれながらも、世界的なヴァイオリニストである父との確執からヴァイオリンを弾くことをやめたあおはじめ。彼は、初心者のあきりつと出会ったことで、再びヴァイオリンを手にすることになり、彼女と一緒に入学した海幕高校でオーケストラ部に所属して、仲間たちと音を重ねていく喜びや難しさ、奥深さを知って……、というストーリーです。さらに詳しい情報は、こちら(https://aooke-anime.com/)あたりで。

実は、アニメ化決定という事実は、1年前の春には告知されており。
去年10月には、こんなイベント(https://www.youtube.com/watch?v=63LypfYlzcY)も行われて、この会場に私も足を運んでいました。いや、仕事とかじゃなく、純粋に一ファンとして楽しみだったので。
まさか、「青オケ」についてショートコラムを書かせていただく日が来ようとは!

初回放送を間近に控えて、まずは関連番組である「音楽が動きだす!いよいよ開演!アニメ『青のオーケストラ』」を視聴した感想を書いておきたいと思います。

これは、アニメの中に登場する「海幕高校シンフォニックオーケストラ部」のモデルになった千葉県立幕張総合高校シンフォニックオーケストラ部のドキュメントや、アニメ制作の舞台裏などが紹介された特別番組で。
高校の部活だと、どちらかというと吹奏楽部のほうが一般的かな? でも幕張総合高校のオケ部は部員が260人(!)もいる大所帯で、音楽コンクールでは9年連続日本一に輝いている超強豪校。そんな学校でオーケストラ演奏に情熱を注いでいる高校生たちの、青春のキラキラ感が伝わってきました。そうか、リアル青野くんたちは、こんな感じなんだね。

アニメの制作過程では、20台のカメラで実際のオーケストラ演奏を撮影して、その映像をもとに3DCGも駆使して「絵」を作っていく様子も。それゆえに劇中で使用される音楽を収録するときに、各奏者が演奏をしながら「演技」も求められるという制作スタイルは、とても興味深いものでした。

それと特筆すべきなのが、ヴァイオリン演奏キャストの豪華さ。いやもう、この方々(https://steranet.jp/articles/-/1551)ですよ!

「ピアノの森」のときも反田恭平さんほか錚々たる顔ぶれがピアノ演奏を担当していたけれど、それに勝るとも劣らぬメンバーで。だいたい、ヒラリー・ハーンさんって、何それ!? ベルリン・フィルをはじめとする世界の超一流オーケストラがソリストに迎えてきた演奏家じゃないですか!!! 過去3度もグラミー賞を受賞しているし。マリア・ドゥエニャスさんも、若手ながら同様の将来が期待されている人で。チェロの佐藤晴真さんは、ミュンヘン国際音楽コンクール優勝者だし……。これ絶対、アニメ・ファンよりクラシック・ファンのほうが、のけぞっているよなぁ。

ちなみに4月9日に放送される第1話のサブタイトルは、「青野ハジメ」。おお、原作の冒頭部分と同じ(原作では「第1曲」と表記)だ! ということは、前述した“青野くんと律っちゃんの出会い”が紹介されるわけですね。ある意味“ボーイミーツガール”な導入部に見えるんだけど、そこを起点に、人と人の関係性(それは、まさにアンサンブル)が深く、繊細に描かれていくところが原作の大きな魅力のひとつなわけで。それがアニメでは、どんなふうに描写されていくんだろう? そして原作通りに、青野くんが抱える葛藤の要因になった父親・青野りゅうも登場するとしたら、初回からヒラリー・ハーンさんの演奏も聴ける!?

そんなわけで、期待すべき要素がギュギュッと詰まっている「青オケ」。来週から、各回の放送後に感想をアップしていきたいと思っています。
どうぞ、よろしくお願いします。


今からでも視聴可能な「青のオーケストラ」関連番組をまとめてみました。
番組鑑賞のお役立ち情報として、ご活用ください!

「青のオーケストラ 5分で楽しいクラシック」(再放送)

(1)「オーケストラって何?」 Eテレ 4月16日(日曜)午後4:55~5:00
(2)「クラシック曲はなぜ眠くなる?」 Eテレ 4月23日(日曜)午後4:55~5:00
(3)「ヴァイオリンとは?」 Eテレ 4月30日(日曜)午後4:55~5:00
(4)「弦楽器いろいろ」 Eテレ5月7日(日曜)午後4:55~5:00

「青オケ」のキャラクターである青野一(声:千葉翔也)と秋音律子(声:加隈亜衣)が、オーケストラやクラシックにまつわる素朴な疑問を解説する。5月14日以降は、毎週新作を放送。


「クラシックTV」(再放送)

Eテレ 4月9日(日曜) 午後4:30~4:59

「青オケ」をより楽しく見るために、オーケストラの楽器の特徴やアンサンブルの極意を「クラシックTV」流にひも解く。青野一の演奏を担当するヴァイオリニスト・東亮汰と東京フィルハーモニー交響楽団メンバーが、劇中に登場する曲も披露。ゲストは、つるの剛士。


「リサイタル・パッシオアニメ『青のオーケストラ』スペシャルコンサート

第1回 NHK-FM 4月9日(日曜)午後8:20~8:55
再放送 4月16日(日曜)午前5:00~5:35
第2回 NHK-FM 4月16日(日曜)午後8:20~8:55
再放送 4月23日(日曜)午前5:00~5:35

「青オケ」で主要キャラクターの演奏を担当する東亮汰、尾張拓登、山田友里恵というヴァイオリニストたちに加え(山田は第2回のみ)、ピアニスト・髙木竜馬が登場した、NHKホールでの公開収録。劇中曲の演奏収録にまつわる裏話とともに、ライブ感あふれる演奏を披露する。ゲストと司会のピアニスト・金子三勇士による特別共演も。

カツオ(一本釣り)漁師、長距離航路貨客船の料理人見習い、スキー・インストラクター、脚本家アシスタントとして働いた経験を持つ、元雑誌編集者。番組情報誌『NHKウイークリー ステラ』に長年かかわり、編集・インタビュー・撮影を担当した。趣味は、ライトノベルや漫画を読むこと、アニメ鑑賞。中学・高校時代は吹奏楽部のアルトサックス吹きで、スマホの中にはアニソンがいっぱい。