NHK-FMの人気番組「アニソン・アカデミー」で生徒会長(番組MC)を務めている“しょこたん”こと中川翔子さんの連載コラム。スタートから10周年を迎えた「アニアカ」は、4月8日の放送分から、11年目に突入! 今回のコラムでは、番組に対する思いをじっくりと語ります。

【ホームページ】
https://nhk.jp/anison-ac 
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♪トゥットゥル~、中川翔子です。

おかげさまで「アニソン・アカデミー」は、ついに放送10周年を迎えました!!! 2013年3月にプレ番組の「とことんアニソン・アカデミー前夜祭」が約2週間放送されて、それから4月6日に本放送が始まって……。最初は「アニメソングに特化した番組を毎週2時間生放送するなんて、NHKさん思い切ったことするなぁ」って、びっくりしたんですよ。

私は10代の多感な時期、たくさんの時間を大好きなアニソンに費やしていたのですが、当時はまだヲタクが虐げられし時代だったから、アニソン好きって周りに言えないような状況でした。自分の中で燃えているものを表に出す場も本当になくて、家で過ごす時間にひたすらアニソンを聴くだけで。そのころからため込んできたエネルギーを、「アニアカ」で全部放出できる! それがわかったときの喜びと感動、ワクワクが、この10年間続いている感じですね。もう私は「アニアカ」が好きすぎて、仕事とかじゃないんですよ。

この番組って、生徒(リスナー)さんもみんなで作っていくというか、自発的に「書記」をやってくださる方が何人もいて。「この曲は△回目で、○年に流れました」とか「このバージョンは初めてですね」とか指摘してくださるから、一緒に作り上げているような感じがあるんです。

そして何と言っても、アニソン界のレジェンドをはじめとする講師(ゲスト)のみなさんが、ものすごく愛を注いでくださったことが、とても大きくて。みなさんの思いが集まって、どんな宇宙船よりも巨大な、宇宙最強の学校が出来上がってきたと感じています。

理事長のささきいさお様やZ校長(ぜっこうちょう)の水木一郎アニキは、私の願いに応えて、何十年も歌っていなかったような曲をライブで披露してくださいました。それも、わざわざ倉庫から音源を探してきて、練習を重ねたうえで……。NHKふれあいホールでの課外授業(公開生放送)で「ホワイトクリスマス」を歌ってくださったときには、私にしか聞こえないところで冗談を言い合ったり、その信頼関係ゆえに“仲良くケンカ”していたり。そういう姿を目の当たりにして、たくさんのことを学んだし、一ファンとして「この番組は、世の中に絶対になきゃいけないな」という思いを強くしました。

私の目標は、放送が始まったときから「地球上にあるアニソンを全て流すこと」で、それが達成されるまで終われないと言い続けてきたのですが、実際に10年続いたのはすごいことだと実感しています。それでも「アニアカ」は未来が見えるというか、いつも私は自分に自信がなかったり、自己肯定感が低かったりするから未来のことを考えるのが怖かったりもするのですが、この番組だけは「ついに25周年ですね!」と言っているような気がする。それくらい、私にとって特別な番組なんですよね。

「アニアカ」に出演しているからこそ出会えた方もたくさんいて、さまざまな新しい発見がありました。
例えば、作詞家・作曲家・音楽プロデューサーの古田喜昭さん。古田さんは、私が大好きな「悪魔くん」のエンディング曲である「12 FRIENDS」を歌っているY.F ZOMBIE COMPANYさんでもあるのですが、ほかにも「ときめきトゥナイト」や「とんがり帽子のメモル」や「魔法の天使クリィミーマミ」のオープニング曲も担当されていて。私の脳みその中に古田さんの楽曲がたくさんあることがわかって、そんな方にお話を聞けて、うれしかったですね。
同じように都志見隆さんも「忍者戦隊カクレンジャー」の主題歌を歌っているトゥー・チー・チェンさんであることは暗黙の了解ではあったけれど、この番組ではっきりおっしゃってくださって。曲のエンディングのラップの秘密もさらっと語ってくださって、ヲタクの人たちが「20年越しに謎が解けた!」ってザワついていましたね。そういうことが生放送でわかることもおもしろいなと思っています。

来ていただいた講師のみなさんには、いつも「あなたにとってアニソンとは?」という質問をさせていただいているのですが、もし私が、その質問を受けたとしたら……。う~ん。「人生」ですかね。「タイムマシン」でもあると思うのですが、やっぱり「人生」かなと思います。

車を運転するようになってから、車内でもめちゃめちゃアニソンを聴くようになったんですよ。私のスマホの中には、最近の曲だけじゃなくて、10代のときからiTunesに保存してきたマニアックなアニソン、それこそサブスクやネットにも存在していないような挿入歌とかが大量に入っていて、それがシャッフルして流れるようにしているんですね。時代もバラバラだし、マニアックすぎるから、ひとりのときか親友が乗っているときにしか流せないのですが、この間、久々に親友を乗せてドライブしたら「あなたの車、カオス過ぎる! 今この曲が流れているのは、関東地方でこの車だけだよ」と驚かれたんですよ。私自身は何回も聴いてきた曲だから、そんな意識はなかったけれど、「このプレイリスト、あなたの人生そのものでしょ」って言われて、「ああ、そうなんだな」と思いました。

そういう楽曲を「掘ってくる」のが「アニアカ」だし、新しいことも大好きだし、アニソンに関しては何でもありの番組です。10周年とはいえ、地球上のアニソンはどんどん増えていて、私の中ではまだまだ始まったばかりという印象なので、これからもお付き合いいただければと思います!

5月5日生まれ、東京出身。2004年に開設した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」が大評判となり、アニメ・漫画・特撮・カンフーなどの豊富な知識で大きな話題を集める。2006年に歌手デビューして、翌年「空色デイズ」で「第58回NHK紅白歌合戦」に出場。俳優としてのNHKドラマ出演は、連続テレビ小説「まれ」、ドラマ10「デイジー・ラック」ほか。2011年公開のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」(日本語吹替版)では、主人公・ラプンツェルの声を担当。4月には中国・上海での音楽ライブ出演、5月には毎年恒例のバースデーライブ開催も決定している。