
日本海から京都市へ至る街道沿いにたたずむ南丹市美山町。小さな山里には古いかやぶきの家が立ち並び、訪れる春を心待ちにしています。美山を愛する柳生リポーターが、春の山里を案内します。
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その名のとおり美しい山に囲まれた美山町は、冬、一面の銀世界に閉ざされます。そして少しずつ寒さが緩むと、花が次々にほころぶのです。早春のふきのとうやつくしに始まり、梅に水仙、れんげ、染井吉野に八重桜……。
木々が芽吹き、山も柔らかに笑います。雪に覆われていた山里が急にカラフルに、にぎやかになる様は、まるで"花リレー"を見ているようです。
人々もコートを脱ぎ捨て、田んぼの畔や山の科面に、春を探しに出かけます。私の大好きな季節が訪れます。



“かやぶきの里”の大通り。主に江戸時代に建てられた古民家が人々の営みを見守る。



写真提供/柳生みどり、勝山恵子

柳生みどり (やぎゅう・みどり)
関車から美山に移住して約40年。四季折々の美山の魅力を“外からの目線”で紹介。「日本列島くらしのたより」に出演中。
(月刊誌『ラジオ深夜便』2023年4月号より)
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