社会の急激な変化に対応し、学校の授業も大きく変わろうとしています。文部科学省のGIGAスクール構想に基づいて1人1台端末が整備され、それを効果的に活用して「主体的・対話的で深い学び」を実現することが求められています。
今回、2023年1月26日に、沖縄県うるま市で小・中学校の先生方を対象に開かれた「GIGAスクールの学びをサポート!NHK for Schoolワークショップ 番組活用実践ワークショップ inうるま市」(主催:うるま市教育委員会、NHK沖縄放送局)の模様をリポートします!
今回の講師は日本大学文理学部の中橋雄教授。教育⽅法学を専⾨分野として、特にメディア・リテラシーを育む教育⽅法、ICTを活⽤した教育⽅法に関する教育実践研究に長年取り組んでいらっしゃいます。NHKのメディア・リテラシー教育番組「アッ!とメディア~@media~」の番組企画委員や「つながる!NHKメディア・リテラシー教室」の監修も務められています。
ワークショップは午後1時に始まりました。会場はうるま市立赤道小学校の「新世代型学習空間」、参加者はうるま市内各校の先生方21名。冒頭、中橋先生から「今日は、NHK for Schoolや1⼈1台情報端末を含むICTを活⽤し、学習者が情報を集めて思考を深めたり、協働で課題解決したりする学習活動を、教師がどのようにデザインするとよいか考えます」と趣旨説明がありました。
ワークショップ前半は「端末カメラ活⽤実践の指導⽅法」についてでした。
アイスブレイクも兼ねた最初の活動は「沖縄⼟産、何がいいですか?」でした。サーターアンダギー、アイスクリーム、泡盛……グループでひとつに決め、インターネットで画像を検索して一番よい写真を選びます。このプロセス自体がICTの活用やメディアの特性について考える活動になっています。
続いて模擬授業。「アッ!とメディア『事実を伝えている?~写真~』」の回を全員で視聴し、印象に残ったことや大事だと思ったことをクラウドツールで共有しました。
中橋先生からは、「メディア・リテラシー教育では、情報の送り手として、相手意識・目的意識を持ちわかりやすく伝えるためにどうすればよいか考え実践する力と、情報の受け手として、送り手の意図をとらえ読み解く力の両方を育む必要があります。端末カメラを活用した実践でもこのことを意識してほしいです」と解説があり、参加した先生方は熱心に聞き入っていました。
ワークショップ後半は「メディア・リテラシーを育む指導⽅法」についてでした。
情報モラルの指導と対比しながら、メディア・リテラシーを育むためにどのような指導を行えばいいか、考えました。「アッ!とメディア」の配信リストや個々の回のページを見ながら、どの回と教科、単元を組み合わせて授業ができそうか、意見を出し合いました。
中橋先生から学校現場での実践例や教材研究の方法などが紹介されると、現場の先生方は興味津々でプロジェクターの画面に見入っていました。ワークショップ終了は午後3時半。2時間半の中にさまざまな活動や解説がたっぷり組み込まれた研修会でした。
今回のワークショップで印象的だったのは、参加した先生方が楽しそうに、笑顔で対話しながら学んでいたところです。先生自身が新たなチャレンジをしながら楽しく授業を進めれば、きっと子どもたちも楽しく学べますよね。メディア・リテラシー教育の授業のヒントを得た先生方が、これからの実践に生かしてくださることと思います。
NHKサービスセンターは、このような先生向け研修会を今後も実施していきます。NHK for Schoolのことをより広く、より深く知っていただくワークショップやセミナーを通じて、子どもの豊かな学びにつながる先生の学びを支えます。
(文/NHKサービスセンター 堀田伸一)