放送10年目を迎えた2022年度も、世代を超えて楽しめるアニソン(アニメソング)の魅力を発信しているNHK-FMの「アニソン・アカデミー」。アカデミーという名前のとおり、講師(番組ゲスト)を迎えた“授業”のスタイルで進行するこの番組は、「アニソンで土曜の午後を明るく、元気に!」をモットーに、アニソン創成期から現代まで、多種多様な楽曲を取り上げている。

そんな「アニアカ」が、11月12日、NHK静岡放送局ハートプラザにて、およそ3年ぶりとなる課外授業(公開生放送)を開催! 今回は、その模様をリポートしていこう。

この日、登場したのは、「アニアカ」生徒会長(番組MC)である“しょこたん”こと中川翔子と、生徒会書記(同)を務める放送作家&シンガーソングライターの“あべし”ことあべあきら。さらに「アニアカ」放送部の一員である、静岡放送局の後藤康之アナウンサー。そして講師には、“アニソン界の若獅子”と称されるアニソンシンガーの遠藤正明を迎えた。

ちなみに後藤アナは、2022年3月まで東京アナウンス室に所属し、総合テレビの「土曜スタジオパーク」やラジオ第1「徳井青空のあにげっちゅ」ほかに出演。かつて声優になることを考えたことがあるほど熱心なアニメファンであり、2022年2月19日放送の「アニアカ」には、講師としても出演している。

後藤アナは、今回の課外授業のテーマである「名曲発掘!アニメ・アニソンお国プチ自慢~静岡篇~」のトーク内容を充実させるべく、放送前には準備に奔走。静岡ゆかりの作品をリストアップしたり、県内に点在するアニメの舞台地に足を運んだりする様子は、静岡放送局のアナウンサーブログでも詳しく記述されている。

「アニアカ」課外授業は、これまでにも全国各地で開催されてきたが、今回は約3年ぶりの開催となる。久しぶりということもあり、100ほどの観覧席に対して、10倍近くの観覧希望が。その狭き門を突破した幸運な観覧者(関東・関西からも多数参加)が、会場となる静岡放送局ハートプラザにやってきた。

このハートプラザは、広い通りに面した壁一面が巨大なガラス張りになっている。この日はFM放送の音声が聴けるスピーカーが置かれ、通りかかった人も生放送のステージを楽しめるようになっていた。

本番前、リハーサルを終えた生徒会長・しょこたんに話を聞くと、次のように意気込みを語ってくれた。

中川「久々にリスナーさんと直接会えること、ライブをできることを、とても楽しみにしています。アニソンという、私の血の中に流れている、いちばん大好きな成分を皆さんと分かち合える、最高に幸せな時間なので、一生の思い出を一緒に作れたらいいなと思っています」

いよいよ、午後2:00。「アニソン・アカデミー in 静岡」の生放送がスタート!
しょこたんの紹介で、課外授業には初参加となる遠藤正明がステージに登場し、代表曲のひとつである「勇者王誕生!」(テレビアニメ「勇者王ガオガイガー」のオープニング主題歌)を熱唱する。その圧倒的な“ほう​哮こう”に、会場は一気にヒートアップ。MC席のしょこたんも、一緒に歌いながら、腕を振り上げて盛り上がっていた。

その熱いライブの後は、「名曲発掘!アニメ・アニソンお国プチ自慢~静岡篇~」として、リスナーから届いた情報やメッセージを紹介。「ちびまる子ちゃん」「蒼き伝説 シュート!」「ラブライブ!サンシャイン!!」をはじめとする静岡ゆかりの多くのアニメを話題にしながら、その作品で使用された楽曲を次々とオンエアしていく。

曲が流れている間の(オンエアされていない)ステージ上でのトークも、観覧者には公開され、作品に登場する複数のキャラクターの誰を“推し”ているのかを出演者たちが語り合う場面も。また、声優を含めて多くの著名人を静岡が輩出している理由や、おすすめの地元グルメ・おみやげ品など、さまざまな話題について縦横にトークを繰り広げていた。

そんな楽し気な会場の様子は、生放送中にも、静岡放送局の公式アカウントで随時発信。曲間で、しょこたんがSNSの様子を確認するなど、リアルタイムで話題を共有する。また、会場の外で生放送の様子を楽しんでいた人たちに手を振ったり、子ども連れのお客さんに声をかけたり、常に気配りを忘れない。

さらに放送中には、しょこたんと遠藤が解答者となって、静岡に関連のあるアニメキャラクターの名前を当てるクイズコーナーも。そんな趣向を凝らした企画で生放送を楽しみながら、終盤は熱気に満ちたライブに突入した。

遠藤が特撮ドラマ「爆竜戦隊アバレンジャー」(静岡でもロケ撮影が行われたという)の主題歌「爆竜戦隊アバレンジャー」を、しょこたんがテレビアニメ「ポケットモンスターXY」のエンディングテーマ「ドリドリ」を歌うと、観客たちは最高の手拍子でこれに応え、会場のボルテージは頂点に達する。

そして出演者全員で、中川翔子・あべあきら作詞、渡辺宙明作曲による「アニソンアカデミー校歌」を歌い終えると、番組は無事にエンディングを迎えた。

「えっ、もう下校時間なの!?」と改めて思うほど、あっという間に2時間の生放送が終了。観客席で“課外授業を受けた感想”を集めてみると、「静岡での貴重な授業に参加できて、うれしかった」「ゆかりのアニメも知ることができて、ためになった」「しょこたんがアニソン大好きだということがすごく伝わってきた」などの声が。ステージと観客が、そしておそらく全国のリスナーが一体感を持ち、幸せな気分を味わうことができた2時間となった。

課外授業を終えた講師の遠藤正明に、参加した印象をたずねてみた。

遠藤「本当に楽しかったです。僕自身も(静岡ゆかりのアニメなどについて)勉強になったことが多々あって、静岡がもっと好きになりました。また呼んでください!  それにしても、しょこたんはいつもパワフルですごいですね。持っている知識も膨大だし。いったい、いつ寝ているんだろう?(笑)」

生徒会書記・あべあきらは、ライブの良さを力説。

あべ「お客さんの前での課外授業は、ライブ感たっぷりで、やっぱりいいですね。講師の方に生で歌っていただく良さは、CDで聴く良さとは全く別物ですからね。きょうも楽しかったです!」

また後藤康之アナは、2時間の生放送が無事に終了したことにあん

後藤「お客さんにとても喜んでいただいたことが、強く印象に残りました。ことし2月に講師として出演させていただいて「アニアカ」での共演は2回目でしたが、きょうも楽しくお話しさせていただきました。彼女がステージに登場した瞬間、そこにひまわりの花が咲いたような雰囲気になったのと、同時にお客様の表情も明るくなって、なんだか客席が花畑のように見えました。さすが「しょこたん」ですね」

そして、しょこたんは生徒会長として、久々に課外授業が行われたことに感謝するとともに、リスナーと会えたことで感じた“尊さ”について語ってくれた。

中川「いま生放送を終えて、多幸感に満ちあふれています。大好きとか、幸せとか、ポジティブがいっぱい詰まった、あっという間の2時間でした。そして、ライブは、やっぱり最高ですね! アニソンは時代を超えて、宝石のように輝き続けていますが、ライブで歌うとさらに輝きを増すと思うんですよ。だから、きょうの喜びはひとしおでした。
『アニアカ』は、公開収録や公開生放送をたくさんやってきて、リスナーさんと触れ合うことができる番組だったのですが、コロナ禍以降、それがなくなってしまって、寂しい思いをしていました。今回、3年ぶりに開催できて、『会えるって、尊い!』と思いましたし、会場の空気が幸せでキラキラしているように感じました。
私の『フレフレ』(テレビアニメ「ハクション大魔王2020」のエンディングテーマ)という曲の歌詞に“離ればなれ 会えなくたって いつも君と歌ってるの”というフレーズがあるのですが、アニソンでみんながつながれていて、心のテンションが同じだったのかもしれませんね。
遠藤さんの『爆竜戦隊アバレンジャー』を生で聴けたのも久しぶりで、すばらしかったですね。CD音源もすばらしいけれど、あの歌声は生で浴びてこそ、というところがあるので。コロナ禍だから、お客さんたちも『声を出さずに、拍手と手拍子で応援する』というルールをちゃんと守りつつ、目をキラキラさせながら、感情の高まりを表現してくれて。私が歌った『ドリドリ』でも、同じ振り付けで右手をぐるぐる回してもらって、その一体感はコロナ以前と変わりませんでした。
課外授業にあたって、後藤アナウンサーがとても丁寧に下準備をされていたのが伝わってきて、もう感動して泣きそうになりましたね。静岡には本当にアニメに関連する場所が多いことがわかりましたし、いっぱい名作も誕生しているので、個人的にも、また訪ねてこなきゃ!って思いました」

☆この日の模様は、静岡放送局の地域ニュースでも放送。当日の夕方、ライブの映像の一部が流れたほか、14日放送の「NHKニュース たっぷり静岡」では、後藤アナが聞き手となって行われた、しょこたんのインタビューが紹介された。そのインタビューの全文は、後藤アナのアナウンサーブログで読むことができる。

これまで「ステラnet」では、2022年3月末に休刊した番組情報誌「NHKウイークリーステラ」での中川翔子さんの連載コラム「アニメ de アカデミー」をアーカイブス的に掲載してきましたが、新たな内容による「新・アニメ de アカデミー」(仮題)として、連載を再開いたします。どうぞお楽しみに!