2024年の大河ドラマ「光る君へ」で、藤原道長役を演じるのは、柄本たすくに決定

大河ドラマ「光る君へ」は平安時代、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた紫式部が主人公。彼女の秘めた情熱と想像力、そして藤原道長への思い……。変わりゆく世を自らの才能と努力で生き抜いた女性の愛の物語を描く。

主人公・紫式部/まひろを演じるのは、吉高由里子。そして今作を手がけるのは、連続テレビ小説「オードリー」、大河ドラマ「功名が辻」などを執筆した脚本家・大石静

11月8日の記者会見に出席した、吉高由里子と柄本佑の様子を紹介!


柄本「藤原道長については鋭意調査中です(笑)。時の権力者というと怖いイメージを抱きがちではありますが、実は道長は末っ子でのんびりと育ったようです。そんな彼の人間味、奥行きを見せられたらいいなと。また長丁場の撮影になりますので、健康面にも気を付けたいと思います」

吉高「佑君とご一緒できること、心強く思います。以前ドラマ(「知らなくていいコト」日本テレビ系2020年放送、脚本:大石静)でご一緒しまして、想像もしないようなお芝居をされて、それにどう対応していくかがとても楽しかったんです。今回はどういう風に藤原道長を具現化されるのか、すぐそばで見られるのがとても楽しみ。まひろの心の最果ての人を演じていただけるのは、すごくうれしいです」

——藤原道長役のオファーを受けて、率直な感想は?

柄本「『光る君へ』の情報はもちろん知っていました。そしてことしの3月ごろにお話をいただきまして。大石さん、吉高さんとご一緒したドラマがとても刺激的だったんでしょう。心のどこかで、『なんで俺いないのかな?』と思っていたようです(笑)。だから、この座組に仲間入りできることがうれしくて。吉高さんと一緒に演じることが多いと思いますが、1年通じて、どういった道長が出てくるのか、非常に楽しみです

——お互いの演技の印象を教えてください。

柄本本人を前にして言うのは、恥ずかしいですね(笑)

吉高「恥ずかしい(笑)。佑君のお芝居は大好きなので、長い作品のモチベーションになりますし、刺激にもなります。『音声さんに怒られるのでは?』と思うくらい、ウィスパーボイスで演技されることもあって。そういう想像できないお芝居に自分がどう反応できるのかというのも楽しみで。今回も大石静さんが脚本ですからね。普通ではないと思います(笑)」

柄本「返す刀になってしまいますが、僕も吉高さんのお芝居が本当に好きです。以前共演したドラマのときも、吉高さんに役を引き出してもらっている部分が大きくて。受けてくださる度量が大きいので、その懐の深さに毎回驚きますね。あとは、わりとクールな印象でして。そんなところも魅力のひとつで、1年間近くで見られることを楽しみにしています」

——藤原道長と共通していると感じる部分はありますか。

柄本「思っていた以上に、おおらかに、のびのびと、少年時代を過ごされているのかなという印象があります。僕自身はのびのびしているほうが好きなので、共通とまではいわないですが、似ているかなと思います。あとは、非常に現代の感覚に近いのではないかなと思っていて。僕らが持つ感覚も大事にしていきたいです」

吉高「佑君はたたずまいとか、話し方とか、ふわっとしたアンニュイさがあると思います。どういう道長を演じていただけるのか、そして幼少期からどのように関係性が変わっていくのか、二人の関係性の雰囲気も長い撮影の中でつくっていけたらいいなと思います」


作者のことば 大石 静

柄本佑さんがどんなキャラクターも鮮やかに演じ分ける、当代一の演技派であることは、誰もが認めるところです。道長役を引き受けていただき、本当にホッとしました。先日、書道のお稽古で久しぶりに柄本さんと会いましたが、そのスラリとした体形と、さりげなく何げなくあふれ出す色気が半端なく、うっとりしました。

教科書にも載っている「この世をば~」の歌一首により、藤原道長は腐りきった貴族社会の代表のように認識されていますが、見方を変えれば権謀術策渦巻く宮廷にあっても、争いを嫌い、話し合いによる平穏を求め続け、国風文化を育てた優れた政治家であったとも言えます。道長がいなければもっと早く貴族社会は崩壊し、暴力的な武士の時代になだれ込んでいたでしょう。
その道長の女の心も男の心もひきつける魅力を、柄本さんがどんなふうに表現してくれるか、楽しみでなりません。

最初の制作発表のときにも言いましたが、紫式部と藤原道長はツインソウルで、宿命のふたりです。ネタバレになってしまうので中身は内緒ですけど、希代の政治家・道長の唯一の弱点は、まひろ(紫式部)でした。彼女のこととなると、思わず軸がぶれてしまう生身の道長。そのあたりもスリリングに切なく、吉高さんと柄本さんに演じてもらいたいと思っています。
最高のカップル、どうぞご期待ください。


【物語】

10世紀後半、京で生まれた一人の女の子。まひろと名付けられる。父・藤原為時は漢学や和歌に秀でた文人の家系だが、下級貴族である一家の暮らしぶりは豊かではなかった。まひろの文学の素質は幼いころから際立ったものがあり、弟への講義を横で聞くだけで、漢学も和歌も覚えてしまうほどだった。学問はまひろにとって、心の中の豊かな世界観の礎となる。

少女のまひろが出会った運命のひと。それがのちの最高権力者となる藤原道長である。まひろと道長はやがてお互いに惹かれていく。しかし両家の家格の違いと、まひろの母の死にまつわる秘密が、二人の関係に影を落とす。

その後、父の受領としての赴任先・越前に同行したまひろ。一方で、道長はライバルを蹴落とし、権力の階段を急速に上り始めていた。まひろは思いを断ち切って、京に戻り藤原宣孝との結婚を決める。宣孝とは父ほども年が離れており、娘を授かったものの、わずか一年で夫が急逝。まひろはシングルマザーとなる。

道長は、天皇に娘を入内させ、いずれは天皇の祖父=外戚となることをもくろんでいた。天皇、道長たち貴族、そして后や姫たちの複雑な人間関係を聞き知ったまひろ。子育てのかたわら、一編の物語を書きはじめる。主人公は皇子でありながら、臣下となった光る君。その呼び名のとおり光り輝くように美しい男性だ。『源氏物語』の評判はまたたく間に広がり、まひろは、道長から、娘に后としての教養を授ける女房として宮中に上がるよう、強く誘われる。

一人娘の養育のために、宮中に上がることを決意するまひろ。宮仕えのかたわらで、道長のバックアップを得て、乞われるままに源氏物語を書き進む。書き上げる端から周囲が奪い合うほどの人気ぶりで、女性たちはもちろん、天皇までもが源氏物語に魅せられる。物語の登場人物「紫の上」にちなんで、まひろに「紫」の呼び名が冠されるほどだった。

2024年 大河ドラマ「光る君へ」
【放送予定】2024年1月〜
【作】大石 静
【スタッフ】
制作統括:内田ゆき、松園武大
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉 慧、黛りんたろう ほか