俳優・香川照之のライフワークともいえるのが、Eテレで放送されている「香川照之の昆虫すごいぜ!」だ。大の昆虫好きである彼が“カマキリ先生”となり、“人間よ、昆虫から学べ!”をキャッチフレーズに伝えていく昆虫授業は、未公開映像も加えた「香川照之の昆虫すごいZ!」として総合テレビでも放送されている。そして、かわいい昆虫たちの日常を描いたEテレのミニアニメ「インセクトランド」では、原作とプロデュースを担当。なぜ彼は、そこまで昆虫たちに愛を注いでいるのか。

香川  子どものころ、僕はひたすら虫を追いかけていました。その虫を捕るときのワクワクする気持ちを今も変わらずに持っていて、それを「昆虫すごいぜ!」という番組の中で6年間もやらせていただいていることに大きな喜びを感じています。

この50も半ばを過ぎたおっさんが真剣に虫捕りをしている姿がどれだけおもしろいのか伝わればうれしいし、僕にとっても励みになります。僕は好きなことをやっているだけなんです。それが総合テレビにまで進出して、より多くの人の目にふれる機会ができて……。本当に大丈夫でしょうか? まあ、厳しい意見をいただいたら、中止になっても構わないと思っていますが(笑)。

昆虫は、ほぼ毎シーズン、生まれては死んでいく、つまり個体が刷新されていくんですね。ということは、その個体に触れるという番組の“パッケージ”が、古くならない。そういう意味で、昆虫を扱う番組はいつもいつも新鮮に見ることができるし、「これ、番組古いね」と感じることがないと思っているんです。だから「昆虫すごいぜ!」も、毎回新鮮に見ていただけると思います。

昆虫から教えられるものがたくさんあって、僕も本当に勉強になるし、彼らの偉大さにふれさせてもらっていると感じています。虫たちと接することで、地球のことを学んでいる手応えがありますね。

大人になってからもう一度虫と向き合ってみると、子どものころには気づかなかったことがいっぱいあるんです。例えば今の小学生は、東京でクマゼミが鳴いていることに違和感を持っていないと思うのですが、僕が虫捕りを始めた50年近く前は、そうじゃなかった。それは僕が40年ほど(虫捕りの)ブランクがあったから気づいていることで。

今、地球は、確実に悲鳴をあげています。地球の自然環境は本来はこうじゃなかったんだということが、どこかに行って何か観測しなくてはわからないようなことが、すぐそこにいる昆虫を一匹見るだけでわかります。そういうことを番組を通して伝えていきたいと思います。

やっぱり、地球には長生きしてもらいたいですよね! アニメの「インセクトランド」も、そういう内容の物語になっている回がありますが、人間が長生きしていくのは、実は二の次。地球が長生きできなきゃ、人間は生きていけないんです。だから地球に長生きしてもらうために、それを本気で考えるために、昆虫たちのことを考えていきましょうね、ということを、これからも訴えていければいいなと思っています。

香川照之(かがわ・てるゆき)
1965年生まれ、東京都出身。日本アカデミー賞最優秀助演男優賞など、数多くの賞に輝く、日本を代表する俳優。NHKでは、大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」「龍馬伝」、スペシャルドラマ「坂の上の雲」ほかに出演。熱狂的なボクシングファンとしても知られている。

★「香川照之の昆虫すごいぜ!」新作放送『カマキリ先生☆石垣島へ行く』 の詳細記事はこちら