嘘のつけない不動産営業マン・永瀬財地(山下智久)とカスタマーファースト命の月下咲良(福原遥)の名コンビが活躍するビジネスコメディードラマ「正直不動産2」。今回、前作に引き続き、脚本を手がけた根本ノンジに、脚本に込めた思いや物語の見どころについて話を聞いた。


――前作「正直不動産」の放送が終わってから、どんな反響がありましたか?

「正直不動産」の放送が終わった後に引っ越しをしまして、そのとき不動産屋さんを何か所か回ったんです。どの不動産屋さんも僕が「正直不動産」の脚本家だと知ったとき、どことなく警戒をされていました(笑)。「正直不動産」が不動産業界に影響を与えていることを肌で感じた出来事でしたが、多くの方に見ていただけていること、とてもうれしく思います。

――原作がある脚本を描く際、大切にされていることはありますか?

僕は子どものころ、漫画家になりたかったんです。ですから漫画原作にはリスペクトを強く持っていますし、原作の雰囲気を大切にしながら、どうすれば効果的な映像表現ができるのかを、チーム全員で考えています。

漫画原作の場合、漫画であるセリフをそのまま脚本に起こしているものだと、時々、勘違いされるんですが、そんな簡単だったら、どれだけ楽か(笑)。漫画や小説の場合、セリフを視覚情報として認識するのにたいして、映像作品は、セリフを聴覚情報として感じ取ります。なので、原作にあるセリフをそっくりそのまま使うことは割と少ないです。また演じられる役者さんに合わせて、言葉遣いやニュアンスを調整して、よりリアリティあるものとして届けられるように、「生きている人間の言葉」を使うことを意識しています。

――「正直不動産」の脚本を描くなかで、特に筆がのるような場面はありますか?

「正直不動産」はコメディーにファンタジーにビジネス、そして不動産業界のお役立ち情報と、さまざまな要素が詰まっているドラマです。そのバランスをうまく融合させることに、いつも苦労してます。そんな中でも描いていて楽しい、筆がのるシーンは、山下智久さん演じる主人公・永瀬財地が、うそをつけずに本音を話してしまうところ。

自分だったら普段絶対に誰かに「クソがっ!」なんて言えないので、楽しんで書いています。ただ「風が吹くと本音を言ってしまう」ファンタジーな設定って、演技をする側からすると、とてつもなく難易度が高い。それを山下さんがひたすら真剣に演じられている。そんなギャップがおもしろいですよね。シーズン2は、前作以上にコミカルな場面が増えています。

また、永瀬と榎本(泉里香)の恋愛パートは、ドラマオリジナルです。この2人の関係性も今作のひとつの軸ですので、その結末も楽しみにしてほしいです。

――主人公・永瀬を演じる山下智久さんの魅力は何だと思いますか?

山下さんとは、「野ブタ。をプロデュース」(2005年 日本テレビ系)では、僕は脚本ブレーンのような立ち位置で、「5→9〜私に恋したお坊さん〜」(2015年 フジテレビ系)ではセカンドライター。そしてようやく3作品目で、メインライターとしてご一緒することができました。僕自身、脚本家としてなかなかうまくいかず、へこんでいるときに、山下さんとご一緒して救われることが多くて。脚本家としての節目には、山下さんが必ずいるんですよね。ですので、僕は山下さんのことを勝手に「救世主」と呼んでいます(笑)。

山下さんは、他作品で重厚感のあるお芝居をされているかと思えば、「正直不動産」ではコミカルなお芝居をライトに演じてくださる。この演じ分けができる俳優さんは、日本では非常に稀有な存在だと思います。作品に合わせ、的確に芝居をチューニングしつつ、俳優・山下智久の絶対的なオリジナリティが、どの役にも存在している。本当にすばらしいなと尊敬します。コメディーもシリアスなお芝居もなんでもこなせる山下さんだからこそ、この永瀬財地が、とても魅力的なキャラクターになっているのだと感じますね。

――福原遥さん演じる月下咲良の成長も見逃せません。

そうですね。福原さんが演じる月下は、後輩もできて営業マンとして一本立ちする役どころですので、前作よりもしっかりと成長していることを意識して描いています。ただ、どうしても福原さんには、ヘンなセリフを言わせたくなっちゃうんですよね。「いや、聞いてねーし」とか「下剋上じゃ!」みたいな(笑)。でもそんな無茶振りのセリフもキュートにこなしてくれるので、僕自身も福原さんのお芝居が楽しみです。

また今後、月下とミネルヴァ不動産の社長・いかるが(高橋克典)が対面するシーンがあります。福原さん、高橋さんといえば、“朝ドラ”「舞いあがれ!」での父娘役共演が印象強い人も多いのではないでしょうか。「舞いあがれ!」とは、全然違う関係性で今作では対峙することになります。しかも舞ちゃんとお父ちゃんだったら、絶対に言わないセリフもあります。福原さんと高橋さんがどんな場面を作り上げるのか、「舞いあがれ!」ファンはもちろん、多くの方に見ていただきたい場面のひとつです。

――永瀬の元上司・神木涼真(ディーン・フジオカ)もとてもインパクトがあります。

神木は原作でも強烈なキャラクターとして登場します。実は前作で出そうかという話もあったんですが、数話だけ登場して終わってしまうのは、非常にもったいないし、彼の複雑な背景まで描き切れない。そう思い登場させるのを断念しました。そのときはシーズン2の放送は決まっていなかったのですが、皆様のおかげでシーズン2が決まり、今回満を持しての登場となりました。

神木は今までディーンさんが演じてきたことのない役どころですよね。僕が脚本を担当したドラマ「パリピ孔明」(フジテレビ系)でみせる、優しくて聡明な劉備役とは打って変わって、うそをつくことをいとわない恐ろしいキャラクターを今回演じています。ディーンさんが演じられることで、その恐ろしさのなかに浮かび上がる笑顔、チャーミングさ、それと同時に深い哀愁みたいなものまでより深く感じられるんです。ディーンさんが神木役を演じていただいていること、本当に感謝しています。

また神木はなぜかことあるごとにタップダンスを踊っていますが、そのダンスにも深く、重い意味があります。狂気的でいて、単なる悪役ではない、重い宿命を背負った神木という悪役キャラクターを、ディーンさんが今後どのように膨らませていくのか、個人的にも楽しみにしています。

――最後に、視聴者にメッセージをお願いします!

「衣食住」のなかでも、いちばん家族と過ごす時間が長い「住」。その家で生活する「家族」の関係性についても、今作では深く描いています。ドラマで描かれるそれぞれの家族の在り方などから、「うちの家族だとこうだよね」など、家や家族について話しあうきっかけにもなったらうれしいです。

そして今作は、毎週火曜よる10時に放送されていますが、月曜火曜と働いて疲れている方が「明日も頑張ろう」と思っていただける作品にもなったらうれしいです。働く意味、仕事で頑張る理由についても描いていますので、毎日一生懸命働いている方へのエールにもなったら幸せです。ぜひ最後まで「正直不動産2」ご覧ください!

根本ノンジ(ねもと・のんじ)
1969年生まれ、千葉県出身。NHKでの主な脚本作に、「正直不動産」「初恋芸人」「男の操」など。2024年度後期放送予定の連続テレビ小説「おむすび」の脚本を担当する。