もう涙で前が見えません。今はただ、この美しすぎる脚本と、すばらしすぎる人間讃歌に思いを巡らせるだけ──。
どうも、朝ドラ見るるです。
「らんまん」、ついに最終週。完結しましたね……!!
なんかもう、いや、言葉とかいらなくないですか? レビューとかじゃ……なくない!?
半年間、「らんまん」のさまざまに喚き散らしてきた見るるですが、今日はもう一周回って穏やかな気分。今日は各自万太郎たちのことを考えてぼーっとしながらゆっくりお風呂にでも入って、そして早めに寝ましょう! それがいいよ! はい解散!
……なんて、ショクムホウキしてると姉さんから怒られちゃうので、「らんまん」最後の振り返りも、誠心誠意やっていきたいと思います。うう、その前に涙だけ止めなくちゃ……!!
▼朝ドラ見る家会議
議題その1>>時代に呼ばれる

さて今回は、見るるの一人語り多めでやっていきますよ。
寿恵子さんが練馬に大きな土地を買ったところで終わった前週。
今週は新居と植物園が完成したところから始まるのかな〜なんて思っていたんですが、週冒頭からオドロキ。まさか、時代が昭和に飛ぶなんて! そして、いままで語りで物語を進めてくれてい宮﨑あおいさんが、登場人物として出てくるなんて!!
宮崎あおいさん──もとい、藤平紀子さんは、万太郎の遺品である植物標本の整理をするため、日記や記録から彼の行動を紐解くことになるのですが……もしかしてだけど、これまでの「らんまん」って、紀子さんが作った万太郎の行動録だったってことですか!? あのナレーションは全部、1958年……万太郎の死後、未来からのまなざしだったってことになりません!?


そしてさらにびっくりしたのは、本田望結ちゃん演じる槙野家の末っ子、千鶴ちゃんが、時を経て松坂慶子さんになっていたこと!!
言われてみると本田望結ちゃんと松坂慶子さん、色白で、ちょっと丸顔の感じが似てるような気がするし……いやでも、あの大変な時代を峰屋の女当主として厳しく切り盛りしたタキおばあちゃんだった松坂慶子さんが、お化粧の感じや髪型が違うにしても、ほんわりチャーミングな愛され末っ子に見えるの、シンプルに演じ分けがうますぎる。
うちの父さんも「松坂慶子が可愛すぎる……見るたびに芝居が上手くなっている……」と唸ってました。さすが、大ベテラン女優……見せつけてきますね(ゴクリ)。
そして、以降、万太郎たちの物語は千鶴ちゃんの回想として描かれるわけですが……。
なんかさ、朝ドラおなじみなんだけど、物語のラストでこれまで登場したみんなが再集結する演出にはどうしても泣けてしまうよね。絶対くるってわかってるのに……。
「最後まで不自然じゃない研究者仲間、良かったよね〜。現実はそんな爽やかな世界なんてないってわかってるひねくれ者の私でも、ああであったらいいのにな、と思った」とは姉さんの談。わかる、超わかるよ。
もうさ、おじいちゃんおばあちゃんになってるみんなが、若かった頃の姿にオーバーラップして見えるじゃない? 竹綾夫婦の新しい酒づくり、成功してくれて心底うれしいし。野宮さんと万太郎が並んで絵を描いてるとそれだけで泣いちゃうし、大学同期組+丈之助さんの深夜作業で「ウワ〜〜!」ってなっちゃうし。
というかそう、丈之助さんのモデル、明確に坪内逍遥でしたね! お〜〜い丈之助さん、早稲田の演劇博物館、建ってるよ〜〜!!(←未来から手を振る見るる)
あの感じ、学生の頃から全然変わってなくてツボでした。おヒゲも似合ってるじゃん!
藤丸は髪型ベートーベンみたいになっちゃってたけど……(笑)。老い方も、人それぞれだなあ。
個人的にグッときたのは、このセリフです。グッときたっていうか……「らんまん」にずっと足りなかった最後のピースをはめた、象徴的な言葉だったんじゃないかな?

波多野「(理学博士の推薦を断ろうとしている万太郎に)傲慢だよ。槙野万太郎は、自分の意志でここまできたと思ってるんでしょ? 槙野万太郎がここにいるのは、時代なのか、摂理なのか…そういうものに呼ばれて、ここにいるんだ」
万太郎って、ずっとそこに生えている植物に名前を与え、存在する意味を肯定し続けてきた人だと思います。どんな場所でも植物は、懸命に生きている。日陰に咲くドクダミも、生きる場所を探して岩の上に着生するマメヅタランも。
そんな万太郎が理学博士の称号を得ることは、波多野の言葉を借りれば、「称賛と引き換えに、学問に貢献する立場と義務を」引き受けること。
それってつまり、万太郎が、自分自身がこの時代、この国に生まれた意味を肯定するってことと同じなんですよね。
このシーンだけ見るなら、「まあ万太郎ってすごい人だから、その立場と義務くらい引き受けなよ」みたいな感じになるかもしれない。でも、わたしたちはこれまでずっと、万太郎がまだ名のない植物、まだ何者でもない人間、すべての命を愛している姿を知っている。この万太郎ですら、「自分は何者かになれるだろうか」と苦悩していたのを知ってる。
だからさ、万太郎が最後に自分自身の存在の意味を肯定したことで、完成するんです。
もしかしたら、わたしにも、あなたにも、この時代に生まれてきた意味があるのかも。時代や、摂理や、何か大きなものに呼ばれて、必然的にここに存在しているのかも。
そしてこの世に、どうでもいい命なんてない。この世に生きる人はすべて、かけがえのない存在なのかも。
紀子さんが万太郎の標本整理をすることになったのも、きっと呼ばれたからだと思う。
紀子さんのモデルとなったのは、おそらく、牧野富太郎博士の死後、博士の標本整理に携わった山本正江さんという女性。実際、1962年に山本さんは標本整理のアルバイトをはじめたのだそう。そして60年あまり、分類作業を手伝い続けているというから、ほんと、すごい話。
「金色の道」という言葉を思い出します。生涯を何に尽くすか、どうやって生きるか、そして死ぬか。
しみじみ、一人の天才の偉業って、何人もの日の当たらない人々に支えられてるんだな。人ってひとりでは生きられないよね。
「何者でもない」人の存在を認められる社会じゃないと、本当にすごい人って出てこないんじゃないかって思う。これが多様性ってやつなのかも。
なんだか、万太郎にはすごく大事なことを教わった気がするな。
万太郎、最後にわたしたちに、「おまん、誰じゃ?」って呼びかけてくれて、ありがとう。
▼朝ドラ見る家会議
議題その2>>寿恵子、愛の花

そしてもう一人の主人公、寿恵子さんの話をしましょう。
いや〜〜〜〜寿恵子さん、振り返ってみると紛れもなく「朝ドラヒロイン」でしたね。なんか……竹雄がヒロインとか言ってほんとごめん。いや竹雄は紛れもなく万太郎のヒロインであったとは思うけど(!?)、「らんまん」というドラマのヒロインは、紛れもなく寿恵子さんでした。
うれしい時も、つらい時も、万太郎が頑張っているそばで寿恵子さんもずっと頑張っていました。
お父さんから受け継いだ武士の血。お母さんや叔母さんから受け継いだ商売人の血。
そして、牡丹のあざを携えて、ず〜〜っと冒険してた(←やばい、書いててまた泣けてきた)。
逆境にも強く立ち向かい、愛を持って人生を生ききった寿恵子さんは、きっと園ちゃんがいる空の上に行ったんだと思う。
そこにはきっと、いろんな植物が“らんまん”に咲き乱れているし、死んじゃったみんなもいる。タキおばあちゃんとヒサさんは、それぞれの旦那さんも含めてみんなでお花見をしていると思うし、田邊教授はきっと聡子さんと穏やかにシダを見つめているし、蘭光先生も笑ってるし……寿恵子さんは、スエコザサと、“3206種”の植物が載った植物図鑑を持って、園ちゃんに「これね、お父ちゃんたちがみんなで作ったのよ。この葉っぱは、お母ちゃんと同じ名前の草なのよ」なんて教えながら、いずれ万太郎が来るのをのんびり待っているんだ……。
見るる思うんですけど、さっき言ったように「らんまん」が紀子さんが調べた万太郎の行動録の物語だとしたら、万太郎が残した日記や記録から、あれだけの寿恵子さんのエピソードが復元できたってことになるじゃないですか。
もちろん千鶴ちゃんの証言とかもあるかもしれないけど……それってつまり万太郎がそれだけ寿恵子さんを愛して、彼女に心を寄せていたってこと。
ここでね!!! みなさんにはどうしても、OP映像を見返してほしい。曲だけ聞くんじゃダメですよ、あの映像込みで見てください!
結婚してから紙イラストの万太郎の隣に寿恵子さんが追加されたよね!っていうのは以前触れましたけど、ここで確認してほしいのは、実写の映像の方。
おなじみの茶色いスーツを着た万太郎が、自然の中を歩き、植物に触れています。なんか浮いたりもしてる。わたし、あれなんでふわふわしてるのかずっと謎だったんだけど……この映像の場所、天国だって解釈、できない?
映像最後、万太郎がカメラ目線の笑顔で手を振りながら、お花持ってきてくれるところあるじゃないですか。あれって絶対「寿恵ちゃん! 見てくれ、きれいな花じゃのう!」って言ってるじゃん。つまりあの映像の視点主は、寿恵子さんなんです。
「空が〜晴れたら〜逢いに、逢いに来て欲しい♪」で泣く。もうだめだ。だって見るるの解釈であのOPは、空の上でずっと万太郎を待って、逢いたいなって思い続けてた寿恵子さんのところに万太郎がやっと逢いにきてくれて、自由に草花に触れ、空を泳ぎ、出会った頃の姿のまま「愛の花」を互いに送り合う。そういう映像だからです。絶対、絶対そうなんです。そうとしか思えない!!!(←公式さん、違ったらゴメン! いちオタクの考察です、許してね……)
あいみょんさん曰く、「愛の花」は、「ただひたすらに愛する力を持つ、そんな主人公や主人公の奥さんと向き合いながら制作した楽曲」。
これまでも、タキおばあちゃんや田邊教授など、メインキャラクターが亡くなるたびこの曲の歌詞を思い出してエンエン泣いていたんだけど……寿恵子さんの物語で、これでようやく完成した感あるよね。ああ……ああ……最終回で主題歌が流れるタイミング、マジ完璧だった……。
ちなみに、最初は「浜辺美波さんのお手並み拝見、ってところね」とか言ってた母さんも、圧巻の寿恵子さんに「やりきったわね。寿恵子さん……いえ、浜辺美波ちゃん。完敗よ」とのことでした。浜辺美波ちゃんが負けるはずないって見るるはわかってましたけどね!
とにかく愛って、すばらしい。本当に良かった……。
……終わってしまった。
いやね、金曜日の放送が終わっても、見るるの中ではこの記事書き終わるまではまだ「らんまん」が続いてる気持ちだったんですよ。
でも、終わった。記事まで書き終わってしまった。寂しい!!!(号泣)
でも、ずっと放心してもいられないですね。来週からは、後期の朝ドラ「ブギウギ」が始まるんです!!
……朝ドラの切り替わりの時期いつも思うけど、なんかもうちょい、心の整理をする時間ほしいよね。1週間くらい(笑)。
でも「ブギウギ」もす〜〜っごく楽しそうなドラマなので、そっちも楽しみ!
そしてこれはお知らせなんですが、見るるの朝ドラコラム記事が、なんとお引越しします!
「ブギウギ」からはこれまでの毎週金曜日ではなく、毎週水曜日に配信日を変更。
内容も、これまでのレビューから、もっとドラマの背景を掘り下げる豆知識を中心に紹介していく連載になります♪
題して……【見るるの「ブギウギ」豆知識】!
実はすでに第0週の記事が配信済みなので、ぜひチェックしてね。
というわけで、今回はここまで。
土日は万太郎たちの人生を振り返って感傷に浸りつつ、鈴子(「ブギウギ」の主人公)たちに出会う準備もしておかなくちゃね。
それでは、本当に名残惜しいですが……今回は、ここまで。みんな読んでくれてありがとう! 今週の会議、終了!
▼「らんまん」オープニング映像はこちら▼
"朝ドラ"を見るのが日課の覆面ライター、朝ドラ見る子の妹にして、ただいまライター修行中! 20代、いわゆるZ世代。若干(かなり!)オタク気質なところあり。
両親(60&70代・シニア夫婦)と姉(30代・本職ライター)と一緒に、朝ドラを見た感想を話し合うのが好き。