みなさん、ご存知ですか? 今週の放送で登場した「ハチク」の花が、つい1週間前に広島で開花したことを──。
ドラマで万太郎も言ってましたが、ハチクの開花の周期は約120年。開花すると周囲の竹林がいっせいに枯れ果てることで有名なんだとか。
↓ここで映像が見られますよ!

そして、不気味なのはこの言い伝えです。

万太郎「人の世に異変が起こる時、竹の花が咲く」

そう、日露戦争が起こったのは1904年。世界が大きく変わっていく、いわばはじまりの年でした。そして、120年前ってことは、つまり、来年はその周期にあたるわけで……。

今回、ハチクの花が日本各地で開花しはじめたのが、2019年頃。それから新型コロナウイルスや2022年のウクライナ侵攻など、世界的にさまざまな事件が起きています。あの言い伝えは、あながちウソではないのかもしれません……。

というわけで、なんか都市伝説みたいな入りになっちゃいましたが(?)、今回も朝ドラレビュー行ってみましょう!


▼朝ドラ見る家会議
議題その1>>“花咲く庭で誰もが楽しむ”未来のために

いよいよドラマ終盤に向けて、今週もいろいろあったけど、なんと言ってもまず第一に祝わせてください!

見るる「早川逸馬さん、再登場オメデトウ!!!!!!!! 」
母さん「ちょっと見るる、声が大きすぎるわよ」
見るる「いやだって、もうビンビンに死亡フラグ立ってたじゃん、逸馬さん。わたしも大好きだけど、半ば諦めてたし……まさか生きてて、また元気にしてる姿が見られるなんて。立派な口ひげまで生やしちゃってさ……!」

母さん「寿恵ちゃんのお店の常連、相島様が『早川』って名前を出したときも、飛び上がって喜んでたもんね」
見るる「だって、名前出た瞬間“ジャ〜ン”ってあのギターの音が鳴ったじゃん! もう、あの音聞いただけで赤い羽織が蘇ってきちゃって……」

そう、万太郎がまだ峰屋にいた頃、家出中(?)に出会った自由民権運動家の早川逸馬さん。集会条例違反で警官隊に捕まってしまった万太郎を、身を挺して庇ってくれた恩人が、彼だったのです。

見るる「なんでも、逸馬さんの再登場は、はじめは予定されていなかったんだって。だけど放送後、逸馬さんが生きてるのかどうか知りたいって声があまりに大きすぎて、脚本の長田さんがストーリーを変更したらしいよ。みんなの逸馬さん愛が公式に届いたんだって思ったら、なんか胸が熱くなる……!」
​逸馬再登場の経緯についても語っている、脚本・長田育恵さんのインタビューはこちらから!

母さん「まあ、いいキャラクターだったものね。宮野真守さん、今回は赤じゃなくて、白スーツなのね。このドラマ、白スーツを着てる人、万太郎をはじめとして多くない? 流行りだったのかしら」

早川逸馬「自由とは、己の利を奪い合うことじゃあない。それやったら奪われた側は、痛みを忘れんき。憎しみが憎しみを呼んで…行き着くところまで行くしかのうなる」

母さん「服装も、考え方も、根っこは若い頃のまま、きちんと時代に合わせてアップデートされてたわね」
見るる「かつて自由のために本気で命かけて戦っていた逸馬さんだからこそ、重みがあるよね。わたしこのセリフも結構ドキッとしちゃった」

万太郎「(自由について)今は分からんなっちゅうがです。小学校も出ちゃあせんわしが、大学に雇うてもろて。大学の身分があるき、どこに行ったち信用してもらえる。はあ…心が騒ぎゆうがです」
早川逸馬「身分は、大事か? わしは信用したがじゃ。たとえおまんが誰じゃち…その目だけで十分じゃったき」

見るる「“身分”って、ここでは職業とか立場って意味じゃん。だけど、逸馬さんが言うとそれだけの意味にとれないっていうか……大学の職員って知識階級だし、万太郎の家にお金があるないとかは別にしても、選ばれた人しかなれない恵まれた立場。でも、その身分を大事にすることが、間接的に、何か小さくて大切なものを踏みにじることに加担することにつながることもあるってことでしょ?」

母さん「そうね。大人になると“仕方がない”ことが増える。家族を守らなきゃいけないと、自分だけの問題じゃなくなるもの。だからそこで、逸馬さんのような心を持ち続けるのは難しいことだと思うわ」
見るる「逸馬さんのすごいところは、そういう気持ちを持ち続けたまま、きちんと実益になる仕事もしているってところだと思った。だって、連れてくるのが金持ちの中川大志くん(←なぜか役名で呼ぶ気になれない……笑)だよ!?」

母さん「そう、中川大志くんね! とつぜん出てきてびっくりしたわ。出るなら出ると、早く言ってほしかったわ〜」
見るる「あれ、母さん中川くん好きだったっけ? なんか意外」
母さん「そう? 母さんの好みの顔のラインよ。でも、別にファンってわけじゃないの。だけど、彼が出てるならできるだけ見たいのよね。何かしら、この気持ち……」

……わかんないけど、それがファンってことなんじゃないの?
そんな話をしていると、姉さんが乱入してきました。

見る子姉さん「そんなことより!! ちょっと全国の南方熊楠ファンを代表して一言物申させてもらってもいい!?」
見るる「中川大志くんは“そんなこと”じゃないけど!?」

姉さん「あ、それはごめん。でもちょっと語らせて欲しいのよ。南方熊楠のこと、見るるはちゃんと知ってる?」
見るる「えーっと……これから調査しようと思ってたとこなんだけど(←目を逸らしながら……)」

姉さん「調査しなくていいよ、私が語るから! 南方熊楠は、“和歌山が生んだ博物学の巨星”! 東大の予備門を中退して海外へ行き、生涯どこの大学にも属さず、在野の人間として天文や菌類、妖怪なんかの研究を続けた人なの。ドラマにも出てきたけど、明治政府の神社合祀に反対していたことで有名だね」
見るる「へえ、めちゃめちゃ多ジャンルの人なんだね」

姉さん「実際に富太郎博士とも文通をしていたみたい。だからね、熊楠からの手紙が出てきた時、私は大歓喜だったわけ。いったい誰があの大天才を演じるんだろうって……なのに、本人は出てこないじゃん!! なんでよ!! わたしも動いてる熊楠見たかったよ!! 熊野の最終旅行の話もっとちゃんと描写してほしかった!!」
見るる「そ、そんな楽しみにしてたんだ……あと2週間の放送で出てくるといいね」

姉さん「いや、でも姿を見せないからこそ天才のような気もするし、まあ、別に出てこなくてもいいのかもしれない」
見るる「いやどっち!? ……でも野宮さんをして『怒り狂っている』と言わせるほどの南方さん、すごいなあ。徳永教授が言うように大学側からすると地雷すぎる人だけど、そんな南方さんと組むのが、彼と同じようにいまは大学に属していない野宮さんだっていうの、いいよね。南方さんの考え方も、大事だと思うし……」

姉さん「そうだね。私は在野、好きだよ。もっとも、えらぶってるやつが嫌いなだけともいうけどね〜」
見るる「姉さん、そこはっきりしてるよね、割と自分はえらそうなのに……。あ、なんでもないよ!(話をそらして)でも近代化って、そのおかげで便利になったこともあるけど、同時に残酷なものだったんだなって。戦争がそのわかりやすい例だよね。中川大志くんが演じてた実業家の永守さんだって、まだ大学出たばかりの若い男子じゃん? そんな子が本当に死にに行く覚悟で徴兵されて……。だけど、それを乗り越えていま、きちんと記録された草花の名前を私たちが知れているのって、昔の人たちが必死に残してくれたからだよね」

永守「私も、花咲く庭で誰もが楽しむ。そんな世が望みですから」

“花咲く庭で誰もが楽しむ”未来。それが今。なんかそう聞くと、今を生きてることが少し尊く思えてきます。
永守さん、絶対生きて帰ってきて!! なんかもちろんドラマの中の話だってわかってるのに、強く強く、そう願わずにはいられませんでした。


▼朝ドラ見る家会議
議題その2>>竹綾夫婦と藤丸の旅立ち W前原コンビ&万竹はズッ友だよ!!

父さん「それにしても万太郎、老けたなあ」
見るる「NHKのメイク力すごいよね。肌の感じとか白髪とか、本当に神木くんが年取ったように見える。佐川にいた頃と同じ人とは思えない」

父さん「いや、あれはメイクの力じゃないぞ。演技とか、目つきが変わったよ。天真爛漫として、太陽のように周囲を照らしていた青年時代と違って、ずいぶん落ち着いたし、その分苦悩もしているように見えた。しかしあのくらいの歳になっても助手のままなんだなあ。ずっと下の年代の学生に、なんとなく気を遣われているあの感じ……」
見るる「なに父さん、覚えでもあるの?」

父さん「いや! ない。ないぞ」
見るる「あ、そう……(ほんとか?)。でも万太郎は助手のままかもだけど、他のみんなはずいぶん変わったよね」

父さん「確かにな。びっくりしたのは藤丸だな。波多野のいる農科大に居候して、菌類の研究をしていたなんて。清酒菌のことを話してるときの藤丸、かっこよかったぞ」

藤丸「つまり、その清酒酵母をちゃんと培養して、腐造や火落ちを起こす菌をあらかじめ取り除いておけば、いい酒が造れるんです」
万太郎「この先、根拠のない迷信は消えうせていく。もう、おなごが蔵に立ち入ったらいかんゆうて…そんなこと、誰にも言わせん」

見るる「綾ちゃんの呪い、ようやく解けたね。性別なんて自分じゃどうにもならないことで好きを否定され続けて、ようやく、自分を責めなくて済むようになったんだ……」

父さん「学問は偉大ってことだ。一人の人生に救いをもたらしたという意味では、藤丸はすごく大きなことを成し遂げたと思う。人間な、たとえ出世をしなかったり、社会的に地位があまり認められなかったりとしても、自分のしたことで人の心を救えたなら大成功だよ」

見るる「(父さん、絶対何かあったでしょ、と思いつつ)語学が苦手で、ギスギスした競争についていけなくて、どちらかというと大学で成功したというわけではないかもしれない描き方をされてた藤丸だけど、やっと“何者か”になれた気がするよね」

呪いの解けた綾ちゃんと、それを隣に寄り添って見届けた竹雄。そして、導いた藤丸。沼津の酒蔵を買取り、そこで酒造りを新たに始めるため、三人は東京から引っ越していくのでした。

見るる「いや寂しすぎる〜〜……! 放送も終盤だし、三人の物語はこれで一段落、ってことだよね?(泣)」
父さん「おそらく、そうだろうなあ。しかし、野宮さんに藤丸、羽多野はなんだか、見送るばかりだな。ああいう人っているよな」

見るる「そうだねえ……“はたのみや”解消も寂しかったけど、やっぱり“ダブル前原コンビ”の解散は切ないよ」
父さん「なんだ、ダブル前原コンビって?」

見るる「ここまで放送見てきて知らないの!? 波多野を演じてるのが前原滉さん、藤丸を演じてるのが前原瑞樹さんってことで、このふたりのことを“ダブル前原コンビ”って呼ぶんだよ!?」
父さん「そ、そうなのか。登場したときは、ここまで長く彼らを見続けるとは思ってなかったよ。うさぎも、な(苦笑)。割と、うまかったと父さんは思ったけどな」

見るる「そうだ、お別れといえば、竹綾夫婦と万太郎たちもだよ。今度はお寿恵ちゃんも入れて4人での指切り。もしかしたら万太郎にとってはこれが、逸馬さんが言う、 “先を照らす約束”なのかなって思ったよ」
父さん「意外に落ち着いてるな? 放送見終わった直後は『竹雄!!』と騒いでいたじゃないか」

見るる「せ、せっかく人が言うのがまんしてたのに……! いやだって万竹ファンとしては久しぶりにくらったわけよ、竹雄のクソデカ感情! 万太郎に『愛してる』って言ったよ。『愛してる』って言ったよ!? いやそりゃ愛してるだろうよ、その愛は十分こちらにも伝わってきてるんだけど、年取って互いに白髪増えて結婚もして、それでもこんな素直に直球でその感情を万太郎に伝えられる竹雄って……!?!?」
父さん「さ、最後の最後ですごい文字数しゃべるな……」

う〜〜〜〜、距離的には離れちゃうかもしれないけど、波多野&藤丸コンビと万竹は、この先も一生ズッ友だよ……!!!


さて第25週、「ムラサキカタバミ」。

放送終了までのカウントダウンが始まっているという悲しさを振り払うため、今回もやります! “今週登場した芸人さんはだ〜れだ!”のコーナー!

今週、万太郎に南方熊楠さんからのお手紙を届ける役として出演したのが、お笑いコンビ「クールポコ」のせんちゃんさん!(←敬称、合ってる!? 「男は黙って」って言うほうの方です!笑) 

実はレビューでは紹介しそこねましたが、相方の小野まじめさん(←「な〜に!? やっちまったなあ!」って言うほうの方です!)も大学職員さんとして出演済み。アキラ100%さんのときと同じく、ふだんの小野まじめさんはほぼ上半身裸なのでわかりづらかったかもですが、気づいていましたか?

見るるは、これで晴れてクールポコがおふたりとも出演したので、お笑い好きとしてなんかスッキリしました(?)。

……こうやって芸人さんを紹介できる回数も残りわずかなのか〜って思うと、やっぱり悲しい!!(←振り払えてない!!)

というわけで……今回はここまで。
名残惜しいですが、今週の会議、終了!

文責:朝ドラ見るる

「らんまん」の予告動画はこちらから!(毎週土曜更新)
https://www.nhk.jp/p/ranman/ts/G5PRV72JMR/movie/

"朝ドラ"を見るのが日課の覆面ライター、朝ドラ見る子の妹にして、ただいまライター修行中! 20代、いわゆるZ世代。若干(かなり!)オタク気質なところあり。
両親(60&70代・シニア夫婦)と姉(30代・本職ライター)と一緒に、朝ドラを見た感想を話し合うのが好き。