大河ドラマ「どうする家康」で真田昌幸を演じる佐藤浩市。
戦国乱世、表と裏を使い分け、生き残りを図る反骨不屈の男・昌幸。
第35回のラストでは、ついに家康と対峙した。
大河ドラマは、「鎌倉殿の13人」に続いて2年連続の出演となる佐藤に、
今作への思いや役柄の印象などを聞いた。


――「どうする家康」の出演が決まったときの率直なお気持ちを教えてください。
2年連続の大河ドラマ出演になるので「またやるの?」という驚きはありましたが、主役を務める松本潤君とは、昔から家族ぐるみで付き合いがあったので、応援したいという気持ちもありました。ですので、微力ながらお手伝いをさせてくださいという思いで、出演を決めました。


――実際、撮影現場での松本潤さんの印象はいかがですか。
主演はとても大変だと思います。1年半以上、同じ役を演じることも含めて、僕には理解できないことを実践されているので、本当に偉いなと感じます。

しかも、チーム家康の座長として現場を引っ張っていくわけですから、メンタルの強さも必要。僕だったらきついなと思ってしまいますが(笑)、この経験を通して松本君にしか得られないものもあるはず。きっと「大河ドラマの主演をやりきった」ということが、大きな勲章になると思います。


――松本さんとは、現場でどんなお話をされましたか。
一緒のシーンが少ないので、そこまでお話はできていませんが、まずは松本君演じる家康にとって、昌幸がインパクトを与える存在になることがいちばん大事かなと思っていました。それができれば松本君も喜んでくれるだろうし、「表裏()(きょう)の者(表と裏を使い分けるくせ者)」という昌幸らしさを押し出すことを念頭に置いて演じています。

また、今回の昌幸は、「新選組!」で演じた芹沢鴨や、「鎌倉殿の13人」で演じた上総(かずさ)広常といった押しの強い人物とは少し違うスタンスで演じたいと思っていたし、いい意味で大河ファンの期待を裏切りたいなと。そういった僕の思いは、言葉ではなくても、シーンを通して松本君も感じ取ってくれていると思います。


――真田昌幸の魅力をどのように表現したいと考えていますか。
小国ながらも、徳川はじめ大国を手玉に取っていく昌幸ですが、その立ち回りは、「どちらにもつくよ」ということを何度も繰り返していたと思います。そうしなければ、我々は生き残っていけないんだということを昌幸はわかっていたし、その生き方こそが彼の魅力なんだと思います。

猛々しい武将ではないですし、現代に生きる人々や一生懸命働く人々にとっても琴線に触れる部分が昌幸にはあるのかなと感じます。今後、そういった昌幸の面白さや人間性が現れるシーンがもっと出てきたらうれしいですね。


――演技において具体的に心がけていることはありますか。
「表裏比興の者」という部分にプラスして、昌幸の深さをどう表現するか。単純に賢いだけではなく、目線であったり、しぐさであったり、何かできることがあるのではないかと思っていました。

今まで私が演じてきた大河のキャラクターは、押しが強いながらも心の弱さと脆さという部分を視聴者の方たちが受け入れてくれて、自然と共感してくれていたと思います。

今回の昌幸は、背反しない中でも素性を見せず、底知れない存在として表現していきたいですね。そして、あくまでそれを芝居として見せない人物になるように意識しています。


――第35回で家康と対面するシーンがありましたが、どのような思いで演じましたか。
対面の冒頭は、できるだけ顔を上げず、少し目線を下げたまま。途中から、家康の家臣たちとのやり取りを含め、彼らの挑発に対しても、徳川と真田の距離感や関係性が伝わるように表現したつもりです。

視聴者の方たちにも、「この先どうなるの?」「昌幸は何者なの?」と感じてもらえるのではないかと思います。


――昌幸の注目ポイントも含めて、視聴者の方にメッセージをお願いします。
繰り返しになってしまいますが、視聴者の方たちが想像する以上に裏切りたいという思いがあるので、それがドラマでどう描かれていくのか期待していただきたいです。

僕自身もこれから関ヶ原などが描かれていく中で、どんどん面白味のある作品になっていくと期待しているので、より多くの方に「どうする家康」を楽しんでいただけたらうれしいなと思います。

佐藤浩市(さとう・こういち)
1960年生まれ、東京出身。1980年に俳優デビュー。NHKでは、大河ドラマ「翔ぶが如く」「炎立つ」「新選組!」「鎌倉殿の13人」、「クライマーズ・ハイ」「風の果て」などに出演。