植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く、連続テレビ小説「らんまん」。今回、語りを務める宮﨑あおいに、ナレーションで気を付けていることや、印象に残るシーンなどについて話を聞いた。


――オファーがあったときのお気持ちをお聞かせください。
お話をいただいて、すぐに「やりたいです!」とお返事しました。語りという形で“朝ドラ”に参加することができて幸せです。お世話になったことのあるスタッフさんとの再会もうれしいですね。

“朝ドラ”ではこれまで、「純情きらり」(2006年)や、「あさが来た」(2015年)でご一緒させていただきました。大河ドラマ「篤姫」(2008年)もそうですが、温かいスタッフさんのもと、とてもすてきな時間を過ごすことができましたので、NHKドラマは自分のホームだと勝手に思っています(笑)。

――「語り」で気を付けていることはありますか?
“朝ドラ”は幅広い世代の方が視聴するので、誰もが聞きやすいトーンで話すことを心がけています。今回は、役を担当しながらのナレーションではありませんので、より客観的に物事をきちんと伝えることも意識しています。「らんまん」の登場人物とは近すぎず離れすぎず、ほどよい距離感で“語る”ことが大切だと感じています。

また、監督からは「誰の目線でもない俯瞰の『語り』ですが、宮﨑さんの力で何かが生まれたら」というお言葉をいただきました。もちろん場面によって、自然と感情が入るときもあるので、登場人物の気持ちに寄り添うように語っている部分もあります。特に、園子ちゃんが亡くなった回は、台本を読んだときから涙があふれ出てきて。自分の中で生まれた感情も大切にしながら、ナレーション収録を行っています。

©NHK

――神木さん演じる万太郎の魅力を教えてください。
万太郎は、本当にたくさんの方に愛されていますよね。最後まで応援したくなる主人公ですし、寿恵子や周囲の人々が万太郎を明るく支える様子も、見ていて気持ちが良くて。視聴者の皆さんも万太郎のことが大好きだと思います。
万太郎のモデルである牧野富太郎博士も、多くの方に愛されていたと思います。数多くの偉業を成し遂げた牧野博士の人生を「らんまん」で追体験できていることがうれしいです。

――現場の雰囲気はいかがですか。
現場に行く機会は限られていますが、私が「らんまん」の撮影現場に顔を出すと、神木さんは「いらっしゃいませ、ようこそ!」と笑顔で迎えてくださいます。共演者、スタッフの皆さんを先頭で引っ張る神木さんは、本当にすばらしい座長。神木さんが心から楽しんで演じているからこそ、物語もより膨らんでいる気がします。

万太郎の笑顔には、「大丈夫だ」と思わせてくれるパワーがあります。語りという立場ではありますが、神木さんの一ファンとして、放送をいつも楽しみにしています。

――これまでの放送で印象に残っているシーンはありますか?
浜辺美波さんが演じている寿恵子は芯が強く、魅力的です。その中でも特に印象に残っているのが、寿恵子が「一緒に寝ましょう」と声をかけるも、万太郎は全然振り向いてくれず研究に熱中し続けるシーン。枕を万太郎に投げつけたいけれど、投げられない…そんな寿恵子の様子に、万太郎を辛抱強く支える強さと、彼女のあいらしさが伝わってきました。

©NHK

また、竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)夫妻も好きです。綾さんは考えを巡らせるとき、よく寝転がって空を見上げていますが、そんな綾さんの空気感と、彼女を優しく包み込む竹雄さんの雰囲気がなんだか心地いいんです。

――最後にメッセージをお願いします!
“朝ドラ”のだいご味のひとつは、登場人物たちの成長を半年間追いかけられること。一日の始まりに、登場人物に共感したり、元気をもらったりできるひとときは、特別な時間だと感じています。

今後も万太郎たちには、さまざまな再会や新たな出会いがあります。彼らがどんなふうに人生を重ねていくのか、語りの立場としてこれからも見守っていきます。「らんまん」ぜひ最後まで楽しんでいただけたらうれしいです。

宮﨑あおい(みやざき・あおい)
1985年11月30日生まれ、東京都出身。NHKでの主な出演作に、連続テレビ小説「純情きらり」「あさが来た」、大河ドラマ「篤姫」、「蝶々さん~最後の武士の娘~」「眩〜北斎の娘〜」など。

宮﨑あおいさんのナレーションが聞きたくなった方は以下から、「らんまん」を視聴できます。
https://www.nhk.jp/p/ranman/ts/G5PRV72JMR/plus/