「らんまん」始まって以来の非常事態に大ショック…。そんな時こそ前を向いて明るい方へ! 第18週の「らんまん」あなたはどう思った?の画像

どうも、朝ドラ見る子です!
「らんまん」始まって以来の”非常事態”にショックを受けて、我が妹(当レビューのメインライター)の「朝ドラ見るる」が寝込んでしまいました。。。

妹をさしおいて“朝ドラ会議”を開くこともできず(?)、更新が遅れちゃってすみません……。すでに第19週の放送も始まっていますが、ここはいったん先週の振り返りということで、今回は、姉の私がビシッと、しめやかに、お送りしますね!


▼万太郎の非常事態、数えたらこんなに!? それでも、「明るい方」を目指してほしい!

これまで、こんなに振り返るのがつらかった週、あります? いつでも元気で天真爛漫の万太郎が主人公の「らんまん」なのに? 日本全国のみなさんを明るく元気に送り出すのが使命の“朝ドラ”なのに?

うちの家族全員、「ああ……朝から……つらい……」と、半ベソです。家族の会話、半減ですわ。朝食も、昼食も、食後のデザートも進みませんわ(←ウソっぽい)。

いやいや、だからこそ、歯を食いしばって振り返ってみましょう。どんな非常事態でも、大切なのは、現状の把握。立て直しはそれからよね!

非常事態>>
その1 >万太郎、「東大(東京大学 植物学教室)」への出入りを禁止される
その2 >「土佐植物目録」と「標本500点」の寄贈を命じられる
その3 >「植物図鑑」のアイデアを取られる
その4 >頼みの綱の「博物館」にも協力を断られる

いえね、その3までだったら、いやいや、博物館があるや〜んって、正直いって余裕でかまえていたんですわ。もともと、東大に行く前には、博物館を頼って上京したんだし、野田先生も里中先生も友好的だし。ゆうても万太郎はまだ若いから、実績だってこれからじゃん?と。ところがどっこい、「大学と博物館は協力関係にある」という理由で、こちらの協力も得られないことになってしまうとは。ぬううう、田邊教授め……。思ってた以上に、徹底的にやってくれましたな。

そもそも万太郎には、生活費のほうでも不安があったわけで。この間、植物雑誌を刷る紙が高いって話を寿恵子ちゃんがしていたし、というか、家族も増えるところだし。
それでも、万太郎、研究を続けるためには、植物学の権威で自分を評価してくれているマキシモヴィッチ博士を頼って、ロシアに渡るしかないと覚悟を決めます。

いやいや、そんな渡航費あるんかいな? ああ、実家(峰屋)にまたお願いするのか……。ま、それしかないよな、と思ったのが水曜日。さらなる試練が──。

その5 >峰屋が潰れる

あああああああ、来てしまいました、ついに、この時が。
万太郎のモデルである牧野富太郎博士の紹介文にも、「植物の研究に財産をつぎ込みすぎたせいで実家の造り酒屋は破綻」なんて書いてあるので、いつかはその時が来るんだろうと思っていました。だからこそ私も、さんざん「万太郎ったら、金使い荒すぎ〜。牛鍋屋、行きすぎ〜(笑)」と心配して参りました。でも、これ、全然笑えないタイミングじゃんね!?

それに、ドラマの中では、峰屋が潰れた理由は万太郎の浪費が原因ではなく、仕込み中の酒が「火落ち」したせいで捨てるしかなく、しかし、その分の税金が払えないため(酒仕込んだ時点で税金が発生する造石税だから、酒が出荷できなくても免除してもらえない)、と描かれていました。

「火落ち」とは、「酒を腐らせた」ということ。少し詳しく説明すると、温度設定などを誤ったことにより、酒造りの天敵である火落ち菌(乳酸菌の一種)が繁殖して酒が白く濁ってしまった。これを防ぐには殺菌処理(火入れ)が欠かせないのですが、新しい酒を作ろうと試行錯誤していた峰屋では、これが手遅れになってしまったということのようです。ちなみに、火落ちした酒は、すっぱくなるだけでなく、独特な異臭を放ち、とても飲むことができない代物になってしまうとか。

そういえば、「酒が腐る」という表現、以前にも劇中で出てきていた気がします。それに、造石税! ここでこんなふうに効いてくるとはなあ……。大きな商家が潰れるって、こういうことなんだなと。あんなにたくさんの奉公人たちが勤め先をなくしたわけで。要するに、会社倒産ってことですわ。これはきっつい。

その6 >万太郎、帰る場所を失う

さらに、税金支払いのためにした借金を返済すべく、峰屋は土地や屋敷まで売り払わなくてはならなかった。つまり、綾ちゃんや竹雄はもちろん、万太郎も、文字通り、実家を、帰る場所をなくしてしまったということです。
峰屋の分家の皆さんの表情を見るかぎり、また「達者でな」の言葉の深刻さをみるかぎり、これはマジってことですよね。いや、万太郎、これはロシア行きどころでは、ないですわ……。

その7> 愛娘・園子ちゃんが空に還る

泣きっ面に蜂、なんて言葉がなまやさしく思えるくらいの衝撃でした……。
とにかくかわいかった園子ちゃん。

我が家でも、園子ちゃんが画面に大写しになるたびに、
見るる「いや〜ん、かわい〜〜〜触りた〜〜い♡」
「でも、お芝居は下手ねえ。目が泳いでるわ(笑)」
「そりゃ当たり前だろ(笑)、赤子はいるだけでいいんだよ、いるだけで」

などと、大人気だったのですが、はしかで発熱してわずか3日。2歳を迎えることなく天に召されていきました。

どんなにつらいことがあったって、この子がいれば、この子のために、この子とともに。そんなふうに思ってきたに違いない万太郎と寿恵子ちゃんには、あまりにもつらい現実です。

つらいけど、調べました。万太郎のモデルである富太郎博士のお子さん事情。どうやら、生涯で13人のお子さんに恵まれたらしいのですが、そのうち、無事に成長したのは7人だそう。だあああああああ。つらすぎる! やっぱり、現実って、つらすぎる!!

劇中の二人にも、さっそく次の赤子が控えているとはいえ。だからいいよね、ということにはなりません。テレビの前の私たちですら、こんなにダメージを受けているんだから、万太郎たちの悲しみたるや……。もう、立ち直ることなんて、できるのか!? というくらいの落ち込みようです。

ただ、差配のりんさんが言ってた「7つまでは神のうち」。そんな言葉があるくらい、当時は少なくないことだったのでしょうね。とはいえ……。
もう、かける言葉が見つからないので、以前レビュー内で紹介して、思いのほか好評だった金子みすゞの詩を、万太郎たちに贈りたいと思います。


まゆとお墓」 金子みすゞ

蚕は繭に
はいります、
きゅうくつそうな
あの繭に。

けれど、蚕は
うれしかろ、
ちょうちょになって
飛べるのよ。

人はお墓へ
はいります、
暗いさみしい
あの墓へ。

そして、いい子は
はねが生え、
天使になって
飛べるのよ。


園子ちゃん、どうか天使になってお空にのぼり、万太郎たちを見守ってね。
そして、蝶々のように万太郎と一緒に花たちを愛でてね。

そしてもうひとつ、手元の『金子みすゞ童謡全集』の次のページに載っている、以下の作品も紹介させてください。


「明るい方へ」 金子みすゞ

明るい方へ
明るい方へ。

一つの葉でも
るとこへ。

やぶかげの草は。

明るい方へ
明るい方へ。

はねげよと
のあるとこへ。

夜飛ぶ虫は。

明るい方へ
明るい方へ。

一分いちぶもひろく
日のすとこへ。

都会まちに住む子は。


草花は、常に陽の明るさを求めて伸びるもの。虫も、人も、同じように明るい方を目指して生きていくもの。だから、どんなに今がつらくても、暗闇だと感じても、明るい方を目指すことをやめないで、と、そんなメッセージだと思うんです。たとえ、少々翅が焦げようとも。

そう、植物を愛する万太郎だからこそ、きっと、明るい方を、再び向いてくれるはず!それに、朝ドラだし! 早く明るい気持ちで1日を迎えたいぞ!

ちなみに、覚えていますか?
万太郎の少年時代、あの“天狗”こと坂本龍馬が万太郎に言ったこんなセリフ。
(自分たちのような幕末の志士たちのことを指して)
坂本龍馬「日の本じゅうから我も我もと集まりおってのぉ。みなで、明るい方を目指しちゅうがじゃ」

ね? 「らんまん」脚本家の長田育恵さん、絶対、みすゞ意識してるでしょ。
ちゃんと、万太郎に、メッセージくれていたんですよ!

……というわけで、八方塞がりの非常事態ではあるけれど、万太郎、明るい方へ、明るい方へ。一度しおれた草花だって、水や土やお日さまの力で、驚くほどいきいきと復活できるもの。だから、自称「草花の精」の万太郎なら大丈夫。ここからは、もう、V字回復しかないと、見る子は信じてるよ!

文責・朝ドラ見る子

“朝ドラ”を見るのが日課の覆面ライター。朝ドラを日々のスパイスとして、朝ドラをきっかけにいろいろなことを考えたり、人と話したりするのが好き。地方生まれ、東京暮らし、ときどき帰省。その影響で、最近は両親(60&70代のシニア夫婦)も朝ドラを見るのが習慣に。さらに、渋いおじさん好きの姉(朝ドラ見る姉)と若いイケメン好きの妹(朝ドラ見るる)も。家族ぐるみの(?)、自由気ままなレビューをお届けします♪