命って……命ってすごいな!
どうも!朝ドラ見るるです。
なんか、これまでも朝ドラで主人公の子どもが生まれるシーンっていくつもあったけど、「らんまん」は特に感動しちゃったかも。
あんな小さいのに必死に生きようとする赤ちゃんの命のすごさと、それを守って無事に産もうとするお母さんの思いが伝わってきて……いやあ、すごい! 命ってすごい! すごいわ!
というわけで、ライター修行中なのに感極まりすぎて思わず語彙もなくなるすてきシーンが詰まった今週を、早速振り返っていきましょう!(←語彙は、ちゃんと取り戻して!)
今回は伝えたいことがたくさんあるので…! 前編と後編に分けてお届けします!
▼朝ドラ見る家会議
議題その1>>波多野&藤丸 それぞれの道へ

さて。先週ぽろっと話が出ていた、伊藤孝充トガクシソウ発表事件。
その一大ニュースは、田邊教授だけでなく、東大植物学教室全体に暗い影を落としていたのでした。
見るる「田邊教授がああなったら植物学教室の雰囲気ヤバくなるな〜とは思ってたけど、予想以上だったね。まさか、藤丸が休学するほどだとは……」
見る子姉さん「仕方ないよね、だって、大学や研究室の存在否定に入っちゃってるもん。研究して、誰よりも先に発表する――のが研究者の仕事じゃん? それについていけないとなると、ねぇ……」
見るる「えー姉さん、冷たくない?」
姉さん「いやいや、だから無理する必要はないと思うんだよ。ああいう雰囲気が苦手な人が、無理してその環境に居続けるのは、私はおすすめしない」
見るる「わたしは気持ちわかるよ。わたしもこういう重い雰囲気は苦手なタイプだから……。先週は、置かれた場所で咲きなさいって話を父さんがしてたけど、環境が合わなかったら、花を咲かすどころか、育つことだってできないもんね、人も、植物も!」
姉さん「見るる、なんか万太郎節がうつってない?(笑)」
いやいや、真剣なんですって!
実はね、見るるには、新卒で入った会社がしんどくて転職考えてる友達がいるんです。
その子は営業職なんだけど、ノルマとか、それこそ競争とかが苦手らしくて……仕事自体は嫌いじゃないらしいんだけど、本当につらそうで。
だから藤丸は、壊れちゃう前に言い出せて偉いぞ!って思ったんですよね。
万太郎「藤丸は、人の痛みがよう分かる。わかりすぎるぐらいじゃ。その分、競い合いは性に合わん。息も吸えんようになる。それが、藤丸次郎の特性ながじゃ」
藤丸「特性?」
万太郎「うん。今、知れたからには、探したらえい。この世にただ1人の、藤丸次郎の特性に合うたやり方を」
万太郎「弱さもよう知ったら、強みになる」
おゆう「だとしたら藤丸くん、逃げるんじゃなくて、探しに行くんだね。逃げるのと探しに行くのって、離れるのは同じだけど、大違いじゃない?」
うおお、この言葉、わたしも友達に言ってあげたい……!
見るる「現代は忙しすぎるから、自分のこと振り返って特性を考えて居場所を探しに行く……なんて、そんな余裕ないかもだけど、こういうこと言ってくれる人が周りにいるってだけでもホッとするもんだよね」
姉さん「そうだねー。で、藤丸、田邊教授のところに、休学するって言いにいったとき、やっと、ちょっとふっきれたというか、朗らかだったよね。それまで教授の前ではずっとびくびくしてたのにさ」
田邊「休学してどうする気だ?」
藤丸「分かりません。ひとまず槙野さんに、植物採集旅行に連れていってほしいと願い出ました」
藤丸「私はただ、植物採集をしている槙野万太郎を観察しようと思って」
田邊「驚くほどくだらんな…」
見るる「いやあそこね。正直、最近いろいろあってピリピリが取れない教授によく言うなあとは思った(笑)。少しも嫌みなところがなさすぎて、教授の『驚くほどくだらんな…』、怒りとか通り過ぎて困惑気味だったの笑っちゃった」
姉さん「くだらんことを、くだらんと断じられてもできる強さってことだね。意外と、藤丸にはそれがあったってことだと思う。英語が苦手でも、学会のノリについていけなくても、ちゃんと自分を取り戻しつつあるって感じがしたよね」
藤丸、つわりがひどい寿恵子さんにフライドポテト作ってあげたりとかしてたし、ほんと、このドラマは人間の多面性を教えてくれますよね。(←「ちなみに、つわりのときにフライドポテトやポテトチップスを食べたくなるのは本当よ」by母)
姉さん「植物学教室の人間関係といえば、今週見逃せなかったのは、波多野と野宮さんのコンビ結成でしょ。あそこがくっつくのか~!って意外だったわ」
見るる「それは本当にそう! 波多野くん、藤丸くんとあんなに仲良しだったのに、休学っていう人生の大事な選択を後押ししたり相談に乗ったりすることはできなかったもんな。万太郎も含めて3人で仲良かったのに、いつの間にか自分以外の2人がくっついてる感じ、なんかリアルだった」
姉さん「野宮さんも、万太郎の植物画にかなわないってことを田邊教授から言われて凹んでたしね。まあ、万太郎にはかなわないよねえ。何しろ、主人公だしなあ……」
見るる「そこ!? それは言わない約束でしょ! でも、万太郎に勝てなかった2人が、万太郎にはできない表現を追求することで手を組むの、めちゃめちゃエモい!」
波多野「(受粉の話をしつつ)僕はそういう、肉眼では見えないけれど、命をつかさどる仕組みを見たいと思ってるんです。一生をかけてでも…『一生』は大げさですね」
野宮「もしもそんなものが見えるのだとしたら、一生を懸けても惜しくはないでしょう」
姉さん「出たよ、見えないもの。好きよね、見えないもの。……ねえ、見るる、私、ちょっと一説ぶっていい?」
見るる「え、なに、急に!?」
姉さん「前から思ってたんだけど、『らんまん』って、かなり、金子みすゞを意識してると思うのよ」
見るる「金子みすゞって、え? 同時代の人だっけ? 「みんなちがって、みんないい」(『私と小鳥と鈴と』)とか、「こだまでしょうか」の人だよね?」←実際には牧野富太郎博士は1862年生まれ、金子みすゞは1903年生まれでした。
姉さん「そうそう。そのみすゞの代表作のひとつにね、『星とたんぽぽ』っていう詩があるんだけど、そこに書かれてる内容がね、なんか、こう、そこはかとなく『らんまん』なのよ」
というわけで、本棚から引っ張り出してきたみすゞの詩集(『金子みすゞ童謡全集』)から、ちょこっと紹介。
「星とたんぽぽ」
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼(め)にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
※「すがれる」=枯れ始める
※「すき」=隙間
見るる「本当だ。波多野さんのセリフにも近いものを感じるね」

波多野「僕は…、今は、見えないってことを見ています。見えるものを見ていると、そのさきにもっと見えないものもあるはずだってことが気になってくるんです」
姉さん「そうなんだよね。見えないものは存在しないんじゃない。今は“見えていない”だけ。そこに思いをいたすことを忘れるなっていうことだよね。この詩にも、いろんなメッセージが含まれてると思うんだけど、なあんか、『らんまん』を見てると、この最後の2行が何度も頭をよぎるんだよねえ。というか、もっと、そのものずばりの詩もあるんだよ。これも紹介していい?」
「草の名」
人の知ってる草の名は、
私はちっとも知らないの。
人の知らない草の名を、
私はいくつも知ってるの。
それは私がつけたのよ、
好きな草には好きな名を。
人の知ってる草の名も、
どうせ誰かがつけたのよ。
ほんとの名まえを知ってるは、
空のお日さまばかりなの。
だから私はよんでるの、
私ばかりでよんでるの。
見るる「おお~。完全に万太郎の『おまんは誰じゃ?』だね。そもそも、タイトルからして『草の名』だし、好きな名前を付けるっていってるし。これは完全にオマージュじゃない?」
姉さん「でしょ~? 草を見て、こういう発想する人がどれくらいいるかわからないけど、なんか万太郎と気が合いそうな、かえって合わなそうな(笑)」
見るる「そこは合うことにしておこうよ?」
姉さん「私さ、個人的に、みすゞの、実はちょっと唯我独尊的なところが好きなんだけど」
見るる「へ? なにそれ、新しいよ!? みすゞって優しいイメージじゃん?」
姉さん「だって、『草の名前っていったって、どうせ誰かがつけたんでしょ? まあ、私は私で、勝手に好きな名前を付けて呼びますけどね!』っていう宣言でしょ、これ。いわば植物学会への挑戦状よね。そういう強さが、万太郎とも共通すると思うんだけど。万太郎も、『わしが名前をつけちゃる』精神じゃない? 二人とも人の話を聞いてそうで、いまひとつ聞かなそうなところが、嫌いじゃないのよね~」
見るる「前から思ってたけど、姉さんの好みって、ほんと、ひねくれてるよね……(わたしも人のことは言えないけど!)で、姉さんのみすゞ論は置いておくとして、これって偶然なの?」
姉さん「そこね。私も気になって調べました。そしたらね、実は『らんまん』の脚本を書いてる長田育恵さん、みすゞの生涯をテーマに描いた舞台の脚本(※2011年てがみ座公演「空のハモニカ-わたしがみすゞだった頃のこと」)も、書いてました!」
見るる「へ~そうなんだ」
姉さん「しかも、さる情報筋によれば、長田さん、かなりのみすゞ好きらしい」
見るる「そ、そうなんだ!?」(っていうか、どこの情報筋なんだー!)
姉さん「だから、やっぱり意識的にセリフとかに入れてると思うんだよね。みすゞも、草や花の詩をたくさん書いてるし。ほかにも、そう思って振り返ると、なるほど納得なセリフがいろいろあったなあと思うわけよ……あれとか、あれとか、あれとかさぁ……」
『らんまん』と金子みすゞがつながっていたなんてなあ~。
確かに、気にはなるけど、ほっておくとエンドレスになりそうなので、今回はここで割愛!(姉さん、話、長いんだよね……完全に父さん似だと思う)
続きはまた今度ってことで★
皆さんもみすゞオマージュのセリフ、探してみてくださいね!
と議題1でこんなに長くなってしまったので…今回はここまで!
後編「田辺教授の周りからどんどん人がいなくなっていく件」「新しい命と名前の魔法」に続きま~す!
文責:朝ドラ見るる