物語もいよいよ後半へ突入した大河ドラマ「どうする家康」
第26回の放送では、「天下を取る」と宣言した家康だが、
この先、どんな展開が待ち受けているのか!?
主演を務める松本潤に、これまでの撮影を振り返っての思いや、
今後の見どころを聞いた。
――これまで撮影してこられて、大河ドラマの主演として実感されていることはありますか。
これほど長い期間、1人の役を演じ続けることは今までなかったですし、きっとこれからもないだろうなと思っています。今はルーティーンのようにNHKに通って撮影をしていますが、かつてジャニーズJr.時代にNHKの歌番組に出るために通っていた頃を思い出して不思議な感じがしましたね(笑)。
毎日撮影現場に来て、スタッフ陣が朝から一生懸命スタンバイしている姿を見ると、テンションが上がります。例えば、現場でいちばん最初に顔を合わせる扮装部のみんなは、どんなに過密スケジュールでも明るいし、決して手を抜くなどしませんから、僕ら演者も身が引き締まりますね。チームで1つの作品をつくる醍醐味は、こういうところにあるのだなとつくづく実感しています。
共演者の中には途中から撮影に加わる方たちも多いので、みんなが気持ちよく入れる現場にしたいなと思っていて。きっと途中からだとやりづらい部分もあると思うし、溶け込みやすい雰囲気づくりを心がけています。
同時に、クランクアップして現場を去ってしまう方もいるので寂しさもありますね。普通のドラマとは違って半年以上も一緒に撮影すると、それぞれの方との思い出があります。終えられていく方も熱い思いを胸に去っていく方ばかりなので、とても感慨深いですし、実際に家臣団を演じていた方とは、クランクアップされた後も連絡を取り合ったりしていますね。
――第25回で瀬名との別れが描かれましたが、松本さんが感じた家康と瀬名夫婦の魅力はどんなところでしょうか。
瀬名を演じた有村(架純)さんも、以前インタビューでおっしゃっていましたけど、「家康は息子よりも息子みたいな存在」と。瀬名はその家康をいちばん大事に思い、「この人を守らなければ、この人を支えなければ」という一心だったと思います。そんな瀬名のやさしさに、家康はずっと甘えていたんですよね。
とにかく瀬名は、力強く、そして愛情深く家康を支えてくれましたし、だからこそ、家康を守るためにあのような最期を遂げてしまったのではないかと思います。
――改めて、有村さんとの共演はいかがでしたか。
今回で3度目の共演でしたが、お互いのお芝居もすごく幹が太くなった感じがしました。過去に共演したときと比較しても、有村さんと相対するととても安心します。瀬名の役柄もあるかもしれませんが、どっしりと支えてくれる頼もしさがありましたね。
それは第1回のシーンを撮影したときから、有村さんが空気感を作ってくれていたので、「これは大丈夫だ」と思えましたし、瀬名とのシーンでは一切不安を感じませんでした。無条件に安心感を与えてくれる有村さんの存在が瀬名とも重なって、撮影もすごく楽しかったですね。
――第26回のラストで、「信長を討って天下を取る」と宣言した家康ですが、このときの家康の思いはどのようなものだったと想像されますか。
実は、家康が天下を意識したのはもっと前だと思います。「天下を取る」と言葉にしたのは第26回が初めてでしたが、最初に意識したのは信長から「天下を一統する」と言われたときかなと。
そのときは、自分で天下を取りに行くとは思っていなかったし、「そんな考えがあるんだ。すごいな」というふうにしか思っていなかった。そこからだんだんと「もし自分が天下を取ったら……」と想像するようになっていた家康が、ついにそれを実行に移すべく宣言したと捉えています。
今後、最愛の瀬名と信康の死をきっかけに家康はどう変化していくのか。その変化が物語の重要な部分になっていくので、天下取りを決意した家康をさらに面白く表現していきたいなと思っています。
――今後の見どころを含めて、視聴者の方にメッセージをお願いします。
物語は後半へと入っていき、誰もが知る戦いや事件が次々と描かれていきます。実際にどのような出来事が起きるのかももちろん重要ですが、それ以上に、そこにいる人々が何を感じ、どう動いていくのかという部分にドラマの醍醐味が凝縮されています。
今後、家康は今までのように「どうする? どうする?」と言われますが、その突きつけられていく内容もどんどん高度になっていきます。そしてさらに進んでいくと、家康が言われるのではなく、逆に「どうする?」と聞く側に変わっていきます。一方的に「どうする?」と言われ続けてきた家康が、また違う一面を見せながら駆け引きしていく姿が描かれていきますので、ぜひご注目ください。
松本 潤(まつもと・じゅん)
1983年8月30日生まれ、東京出身。人気アイドルグループ・嵐のメンバーとして活躍。ドラマや映画など数多くの作品に出演し、俳優としても注目を集める。NHKでは、「はじまりの歌」、「永遠のニシパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎~」に出演。大河ドラマは初出演。
(※「永遠のニシパ」の“シ”は小さい“シ”)