連続テレビ小説「らんまん」で、主人公・槙野万太郎を演じる神木隆之介と、万太郎の相棒・竹雄を演じる志尊淳の対談が実現! 東京編以降の物語の中から気になるシーンを振り返る。
――東京編以降の、万太郎と竹雄の関係性をどう捉えていますか。
神木 田邊教授(要潤)から、東京大学への出入りを許された万太郎ですが、そのことを気に入らない教授や学生から冷たい態度を取られてしまいます。世の中そんなに甘くないことを、万太郎が初めて痛感した瞬間でした。と同時に、竹雄がそばにいる安らぎもあったと思います。帰る場所に信頼する人がいるって、すごく安心しますよね。
志尊 実際、竹雄が万太郎を養う形になっているよね。
神木 本当に甘えているよね(笑)。竹雄がいないと、万太郎はやっぱりダメだなと再認識しました。
志尊 竹雄がひたむきに万太郎を支えているのは、植物学者になるという彼の夢を心から応援しているから。けれどそのなかで、いずれ万太郎が自分から離れていって、これまでのような関係でいられなくなるかもしれない、というさみしさも感じていて……。
神木 万太郎は万太郎で、竹雄はずっとそばにいてくれるだろうと信じて疑っていないんですよ。わがままですよね(笑)。
――印刷所で働くことを勝手に決めた万太郎に、竹雄が感情をぶつけるシーンがありました。このシーンを振り返っていかがですか?

志尊 竹雄が自分の感情で動くときは、綾(佐久間由衣)に対するときまで取っておきたくて。だから、この場面も「自分が、自分が」に見えないように、感情を抑えることをすごく意識しながら演じていました。万太郎の立場を考えるとくやしくて、自然と涙が出てきたんですね。万太郎自ら大変な道を進んでいることに、竹雄はもどかしさを感じたんだと思います。
神木 このシーンは、竹雄の“親心”を感じましたね。「なんで、万太郎がつらい思いをしなきゃいけないんだ。できれば変わってあげたい!」という思いが伝わってきて。
志尊 そうですね。竹雄は、万太郎の親といっていいかもしれません(笑)。
――竹雄が初めて“万太郎”と呼ぶシーンはいかがでしたか?
志尊 万太郎と呼ぶのは最初全然なれなくて、気持ち悪かったですね。
神木 (笑)。
志尊 ボーイズラブではなく、熱い友情のシーンに見せたいんですけど、そのさじ加減が難しい。俯瞰で見ると、どう考えても竹雄がヒロインの立ち回りをしているんですよね。
神木 俺も竹雄のこと、万太郎のヒロインだと思ってた(笑)。もちろん、「らんまん」のヒロインは寿恵子さんなんだけれど…。これは、どの作品にも言えることですが、見方によってキャラクターの立ち位置って変わりますよね。
志尊 「らんまん」のいいところって、万太郎や寿恵子だけではなく、竹雄や綾など、周囲の人物をフィーチャーする回があること。見どころがそれぞれあるんですよね。だからこそキャラクターの感情に入り込んでいきやすいのかな。
神木 そうそう。どの人物を中心にしても、話がうまくまわるのが「らんまん」の魅力だよね。だから全員がヒロイン(笑)! ヒロインを決めるのは、視聴者の皆さんですから。
志尊 皆さんの捉え方次第…ということで(笑)。
神木 ちなみに僕は、竹雄が万太郎と呼び捨てにするのを、ただただ楽しんでいました。
――それぞれ役の変化を感じた部分はありますか?
志尊 万太郎が東京大学で研究するシーンなどは完成映像で初めて見たのですが、竹雄と一緒にいるときとはまったく別人の表情だったことに驚きました。
神木 え、そんなに違った?
志尊 全然違った。植物学者への決意と勇ましさがすごく表れていたんです。けれど、長屋に帰ってくると、いつもの天真爛漫な万太郎。そのギャップを、隆(神木隆之介)が本当に魅力的に演じていて。隆のすごさを改めて実感しました。
神木 ありがとう(笑)。竹雄は、佐川にいたときとあんまり変わっていないかも。ふたりとも落ち着きは出てきたよね。
志尊 そうだね。佐川でのシーンは、ハイテンションで演じていたから。
神木 そうそう。テンションの高さを持続したままで演じると、本当に疲れるんですよ。抑えて演じることを、僕たち学びました(笑)。

――万太郎と寿恵子、竹雄が、横倉山で植物採集するシーンも印象的でした。
志尊 高知ロケ、楽しかったよね!
神木 楽しかった! 3人で助け合って撮影を乗り越えることができました。
志尊 竹雄は、寿恵子に植物の説明をしながら、植物採集をするんですが、それがすごく大変で。「隆、こんなに大変なことをやっていたんだ」と身をもって感じました。視聴者の方が、竹雄の影の努力を初めて知るシーンでもあるので、大切に演じました。隆は、「俺はセリフあんまり無いから、がんばれー!」って(笑)。
神木 3人の仲の良さも伝わるシーンになったかなと思います(笑)。

神木隆之介(かみき・りゅうのすけ)
1993年5月19日生まれ、埼玉都出身。NHKでの出演は、大河ドラマ「義経」「平清盛」「いだてん~東京オリムピック噺~」、「あおきいろ」(声の出演)など。
志尊淳(しそん・じゅん)
1995年3月5日生まれ、東京都出身。NHKでの主な出演作に、連続テレビ小説「半分、青い。」、大河ドラマ「青天を衝け」、「女子的生活」「金魚姫」「天使にリクエストを〜人生最後の願い〜」など。