植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く、連続テレビ小説「らんまん」。寿恵子を演じる浜辺美波が、これまでの万太郎への思い、そして第11週の発足式シーンを振り返った。
――ここまで寿恵子を演じてきた印象はいかがですか。
寿恵子初登場時の年齢は17歳。監督さんからは「『時代劇だから…』といったことは考えなくていいので、今の女子高生のような感覚で、“きゃぴきゃぴ”演じてほしい」と言われていたので、少女らしさを重視して演じました。今、完成映像を見ると、なんだかふわふわした気持ちになります(笑)。そこから寿恵子は、自身が持つ強さを徐々に見せていくようになります。女性が男性に物を申すことが難しかった時代に、実業家の高藤さん(伊礼彼方)にはっきりと自分の意見を伝えたシーンが象徴的です。そんな寿恵子の強さを今後もしっかり見せられたらと思います。
――万太郎との出会いは、寿恵子にどんな影響があったと思いますか。
学校に通わず、「白梅堂」での暮らしが中心の寿恵子は、万太郎さんと比べて狭い世界で過ごしてきました。だから万太郎さんの話は、好奇心旺せいな寿恵子に“ワクワク”を与える、大きな楽しみになっていたと思います。そして、まっすぐな万太郎さんの人柄に自然と惹かれ、家族には見せない表情を万太郎さんに見せていくようになります。万太郎さんが見ている果てしない夢の世界を一緒に見てみたいという思いが、徐々に生まれてきます。
なかでも印象的だったのは、万太郎さんが白梅堂に全然やってこなくなったことにやきもきし、彼からもらったボタンの絵を破り捨てようとするシーンです。感情的にはやぶり捨ててしまいたいんだけれど、ふっと万太郎さんとの思い出がよみがえってきて……。やっぱり忘れられないと、自然と笑顔が出てくるんです。寿恵子が思っている以上に、万太郎さんの存在が大きくなっていることを実感したシーンでした。そして、悲しいからただ落ち込むのではなく、感情を表に出す寿恵子らしさも出ている場面だったと思います。
――発足式での、高藤さんとのダンスはとても美しかったです。
実は、このシーンは伊礼さんとの最後の撮影でした。伊礼さんとは、練習を何度も行いましたが、2人のダンスの答えがなかなか見つからなかったんです。けれど、本番のダンスの中でその答えが見つかりました。右手で意思疎通を取ることが、2人にあったダンスでした。本番がいちばん楽しく踊れて、カットがかかった後、喜びを分かち合いました。練習の成果を出すことができてうれしかったです。ダンスは正直苦手ですが、伊礼さんの明るさにたくさん救われました。

このシーンで、寿恵子は高藤さんに別れを告げ、万太郎さんのもとへと向かいます。これまで、高藤さんから熱烈な好意を寄せられてきた寿恵子ですが、まったくなびいていませんでした。それはやっぱり、万太郎さんへの思いがあるから。万太郎さんと寿恵子、2人の特別な関係性に、高藤さんは入るスキがまったくなかったのではないかなと思います。
――今後の見どころを教えてください!
寿恵子を何歳まで演じるのか、実はまだ知らないんです。今後も、いろんな出来事が寿恵子を待ち受けていると思いますが、彼女の成長を表現していけたらと思います。人物の一生を演じるなんてなかなかない機会ですし、年齢を重ねていく変化を演じられるのは、楽しみな部分でもあります。「らんまん」を見てくださる方が、明るい気持ちになっていただけるよう、引き続き寿恵子と向き合っていきたいと思います。

2000年8月29日生まれ、石川県出身。NHKでの主な出演作に、「ピュア! 〜一日アイドル署長の事件簿〜」「タリオ 復讐代行の2人」「オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ」など。