植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く、連続テレビ小説「らんまん」。植物学雑誌発刊のため、大畑印刷所で働く万太郎。工場主・大畑義平(奥田瑛二)の娘・佳代を演じるのが田村芽実だ。“朝ドラ”初出演にかける思いと役どころについて聞いた。


――「らんまん」出演が決まったときのお気持ちを教えてください。
出演が決まったときは、びっくりしました。すごくうれしくて、報告してくださったマネージャーさんとハイタッチしました!(笑)。
“朝ドラ”は毎回、家族と見ていました。なかでもどっぷりハマったのが、「らんまん」でナレーションを担当されている宮﨑あおいさんが主演を務めた「純情きらり」(2006年)です。家族旅行での車内で、皆で号泣しながら見ていたこともありました。そんな“朝ドラ”の一員になることができ、夢のような気分です。

――実際に、“朝ドラ”の現場に入ってみて、いかがでしたか?
撮影に入る前、「男勝りで江戸っ子の女性を演じてほしい」と言われていましたが、台本だけでは具体的なイメージがわかず悩んでいました。ただ現場に入ると、大畑印刷所の雰囲気をすぐにつかむことができて。共演者やスタッフの方々が温かい空気感を作ってくださり、「佳代ちゃん、何やってもいいよ!」と言ってくださったので、本当に自由に演じさせていただきました(笑)。皆さんのおかげで、チャキチャキの江戸っ子を自然と演じることができました。

――演じるにあたって意識されたことはありますか?
どの役を演じる上でも心がけているのが、「誰かのコピーはしない」ということです。ただ、誰かと誰かを掛け合わせたものは、自分のお芝居になると思っています。例えば、あるドラマの役に、自分の友人のイメージを加えてできた人物像を自分の中に落とし込む、といったことをよくしているんです。

今回は、私の友人のチャキチャキした要素に加えて、片桐はいりさんのお芝居を参考にさせていただきました。周囲をかき乱す、コミカルな存在の役どころである佳代を演じる上で、片桐さんの個性あふれる演技をぜひ取り入れたいと思ったんです。片桐さんが出演されている映像を何度も繰り返し拝見し、感情の切り替え方や声色などを勉強させていただきました。

――田村さんと佳代で、共通する部分はありますか?
私もかなりせかせかと生きている人間なので、佳代のようなせっかちな人を演じることは、全然苦ではないんです。自分にぴったりな役だと思います。
逆に、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとはっきり伝える、佳代の素直さは見習いたいですね。私は少しあまのじゃくな面があるので、これからもうちょっと素直に生きたいなと思います(笑)。

――万太郎との初対面シーンでは、「汚い!」と思いっきり言い放ちますね。
大畑印刷所での場面は、とにかくワイワイガヤガヤやってほしいと監督さんからも言われて。わちゃわちゃとした空気感のまま、心の底から「汚い!うるさいし、臭い!」と叫びました(笑)。もちろん汚くも臭くもないんですけれど、男くさい雰囲気を、万太郎さんはじめ大畑印刷所のメンバーの皆さんが作り上げていたので、思うままにセリフを発することができました。

――神木隆之介さんと共演されていかがでしたか。
今回初めての共演となりますが、私がどんなお芝居をしても、大きな器で受けてくださるんです。感情の起伏が激しい佳代を、優しく包み込んでくださいました。前々から、テレビで拝見していてすてきな俳優さんだと感じていたのですが、今回ご一緒させていただいて、神木さんのすごさを実感しました。
また神木さんは、撮影以外の時間も誰よりも元気でいらっしゃるんです。いちばん長く撮影されているのに、現場をものすごく盛り上げていらっしゃる姿を見て、すてきな方だなと感じました。

――佳代の父・義平役の奥田瑛二さん、母・イチ役の鶴田真由さんとの共演はいかがですか?
お二人とも休憩中にいろいろとお話をしてくださって、本当にうれしかったです。偶然にも、ガーデニングという共通点がお二人にもありまして。鶴田さんとは、水はけが良くなる土の作り方の話をしたり、奥田さんとは、チューリップをどっちが多く咲かせたかという話をしたりしていました(笑)。

お二人とのお芝居もすごく楽しかったです。一緒に演じさせていただくと、自然と気持ちが役に乗っかるんです。なかでも印象に残っているのが、お父さんに「ボケ!」というシーン。そんなことを親に言う子どもは、当時いなかったと思うんですが(笑)、実際にいたのかなと思わせる親子の距離感を、一緒に作り上げられることができてうれしく思います。

――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします!
“朝ドラ”は、一日のスタートを晴れやかにしてくれる「心のラジオ体操」のようなドラマだと思っています。私も“朝ドラ”に元気をたくさんもらいました。「らんまん」を見てくださる方が、心晴れやかな気持ちで一日を過ごしてもらえたらうれしいです。

また、私はいろんなお花を育てているのですが、育てるようになってから、街を歩くのがとても楽しくなったんです。「この花が咲き出したってことは、涼しくなる季節だよね」「日当たりがいいところに、こんな花が咲くんだ」などいろいろ考えるようになりました。そんな発見も、万太郎さんと一緒に見つけてもらえたらと思います!

田村芽実(たむら・めいみ)
1998年10月30日生まれ、群馬県出身。アンジュルムの元メンバー。NHKでの主な出演作に、特集ドラマ「アイドル」、青春アドベンチャー「ウブヒメ」など。