イケメン行列「みんなちがって、みんないい」?

見た花:センパイ! 今週もおじゃましまーす! 第20回見ましたよ! 岡崎城、危なかったですね!
同 門:(きたか……)いくさの負傷者の手当に率先して奮闘した瀬名(有村架純)のおかげで、ぎりぎりのタイミングでクーデターを防げたね。

見た花:その一方で、五徳(久保史緒里)との「嫁姑」の対立が見えてきました。同 門:負傷した家臣の看護をしようとしない五徳に対し、「そなたも三河のおなごであろう!」と瀬名が叱咤すると、「わたくしは織田信長(岡田准一)の娘じゃ!」と

見た花:しかも、姑に対して「無礼者!」ですからね。やっぱり彼女は信長の娘であることを鼻にかけていて、徳川に対する「格上感」がビシビシ!
同 門:怖かったね。自分の家では見たくない景色……。

見た花:センパイの奥さまは、お姑さんと仲良しだと言ってましたよ?
同 門:(驚愕)えっ!?  妻と話したことあるの?
見た花:先日、奥さまとお茶して、センパイの噂で盛り上がりましたけど(笑)。
同 門:(滝汗)ええっ!?  キミは武田の間者の千代(古川琴音)か!

見た花:くれぐれもクーデターにはご用心、してくださいね(笑)。
さて、今回は冒頭から武田勝頼(眞栄田郷敦)推しでしたね。信長が褒めちぎってました。
同 門:ワインをグイグイ飲みながらね(笑)。
見た花:当時はかなりの高級品では……。ポルトガルからの輸入品でしょうか?
同 門:尾張は信長の「楽市・楽座」といった経済振興策や、堺の商人経由の南蛮貿易でそうとう潤っていた。だから種子島(鉄砲)を大量購入できた。ワインもそのルートで手に入れたんだろうね。

見た花:第14回で話題になった金平糖もそうですよね?
同 門:金平糖は南蛮菓子で、その語源はポルトガル語のコンフェイトだったね。
見た花:だから、ドラマでは皆で変な発音していたんですね。
同 門:ちょっと疑問に感じたら、古沢良太氏の「仕掛け」を思い出すといい。

見た花:ところで、ここ数回の「どうする家康」はなんですか!? 
信康役の細田佳央太、勝頼役の眞栄田郷敦、井伊虎松(直政)役の板垣李光人とか、イケメンが行列してます。武田勝頼の甲冑姿はメチャかっこいいし、虎松の美少年ぶりは、もうたまりません!
同 門:あれ? キミは七之助(岡部大)のファンだったんじゃないの?(笑)。

見た花:「みんなちがって、みんないい」って、誰かが言ってたじゃないですか!
同 門 詩人の金子みすゞだが、ちょっとニュアンスが違うね(苦笑)。
虎松は大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017年)の直虎(柴咲コウ)に育てられて、家康に仕えて大出世。後に彦根藩の藩主になった。大河ドラマ第一作「花の生涯」(1963年)の主人公・井伊直弼(尾上松緑)のご先祖さまだね。

見た花:センパイは「おんな城主 直虎」で主人公を演じた柴咲コウのファンだそうですね? 奥様に聞きましたよ~。
同 門:いま格調があがってきたんだから、話の腰を折らないようにね(苦笑)。
見た花:どーもん、スイマセ~ン!
同 門:それは私のネタだってば!

見た花:その虎松には面白いセリフがありましたね。家康(松本潤)から「なぜ武田でなく徳川に仕官したいのか?」と問われて、「ここでは民が領主の家康を笑いものにして楽しんでいる。民を愉快にさせる、そういう殿様が治める国のほうがいい」って。
同 門:「武田は優秀な武将ばかりで、出世が難しそうだから」という打算もあったとか(笑)。これは俗説だけど、美少年ぶりは当時から有名で、男色を好まなかった家康が、唯一そういう関係になった者だとか。

見た花:へえ~。一時は命を狙われたのに? そういえば家康は虎松を妙に気にかけていたし、「わしのそばにつけ」という判断も「劇早」でしたもんね。ヘンだな~って思ってたけど、そういう事情なら納得です(笑)
同 門:家康が民から笑われるという話にもどすと、現代の世界でも、為政者を批判したり、まして笑い物にしようものなら、罪になる国もあるんだよね……。
見た花:政治家を安心して批判したり、笑える国の私たちは幸せなのかも。
同 門:笑うだけじゃなくて、よりよい国にするための努力も国民に求められているんだろうけどね。


クーデター収束は「試練のはじまり」の終わり?

見た花:今回は家康も、信康もあまりいいとこなかったですよね?
同 門:武田に負けいくさ続きで、「武田勝頼は恐ろしい……」と家康は熱を出して寝込んじゃうし(笑)。信康はいきり立つばかりで、五徳に諫められる始末だ。
見た花:家康は前回の「お手付き騒動」のダメージも大きかったのでは??
同 門:だとしたら、それは自業自得だね(笑)。

見た花:岡崎城は形ばかりとはいえ信康が城主。クーデターの一味は、信康の家臣ということだから、彼らに裏切られるというのは、城主失格ということ?
同 門:まあこの時、信康はわずか16歳だったから、そこを責めるのは酷だろうね。

見た花:補佐役の七之助~! もぅ、何やってるの!という感じです(笑)。
同 門:首謀者の大岡弥四郎(毎熊克哉)はじめ、反乱した家臣たちは武田の調略に乗ったわけだけど、その動機は、要するに厭戦えんせん。負けいくさ続きで先が見えないし、みんな疲弊しきっている。「飯をたらふく食うて、酒を浴びるほど飲んで、いい女子を抱いて!」。こういう本音を突きつけられたら、信康は言葉がない。

見た花:現場の兵士は負けいくさの中に放り込まれていて、それは「死んで来い」と命じられるようなものですからね。「沈む船」には乗っていたくない……。
同 門:今起こっているロシアとウクライナの戦争でも、ひそかにそんな思いを抱いている兵士もいるだろうね。

見た花:きっと、末端の兵士の苦しみは、今も昔も変わらない……。
ところでドラマでは、五徳が反逆者への厳罰を要求して、しかも父親の信長に報告するとか言ってましたね。もぅ、イヤな女!(笑)。
同 門:結局、大岡は街中で一週間かけて鋸引きの刑に処されたというが……。

見た花:うわぁ、残酷! 体を切り刻まれて、さらし者にされたのかしら。家康は反乱に結構寛大なんじゃないんですか? 三河一向一揆のときは、裏切った家臣を許したのに……。
同 門:息子・信康の首が狙われたわけだし、一向一揆の比じゃないからな。五徳から信長に通報されたんだろうし、そうせざるを得なかったのかも……。一方、寝返って通報した山田八郎(米本学仁)は、褒美として所領を与えられたそうだよ。

見た花:彼は手当してくれた瀬名に恩義を感じて仲間を裏切ったんですね。つまるところ、瀬名のお手柄となりました。
同 門:しかしそれは、家康に訪れる「試練のはじまり」の終わりにすぎない。


瀬名と千代の背後にひそむ勝頼ってなんだ?

同 門:瀬名もいくさの際中は家臣を守るために大活躍。だけど、いったんいくさが収まると、厭戦気分にとらわれて鬱々うつうつとしちゃうんだなあ。
見た花:前回お万(松井玲奈)も浜松城を追われるときに、瀬名に言ってました。「いくさのない世は男には作れません。お方さまが励まないと」って。

同 門:男も女もいくさのようなのっぴきならない状況に放りこまれると、なぜかイキイキする。仕事バリバリの会社員が定年になったとたん、その仕事が好き嫌いだったかどうかは別にして、グズグズになる話はよく聞くが。
見た花:それは、男性も女性も同じみたいですけど……。

同 門:そんな瀬名は、ラスト近くでかなり思い切った行動に出たね。
見た花:なんと、武田のスパイ巫女・千代を築山御殿に呼び出して……。
同 門:その時の意味深なセリフに注目したい。
見た花:「家臣に手出しされるくらいなら、私がお相手しようかと思って……。お友達になりましょう」。あれ、いったいどういう意味でしょうね?

同 門:そう感じたときは? 
見た花:後々に「回収」されるかもしれない古沢氏による「仕掛け」を想定!?
同 門:まぁ、次回以降のお楽しみということだが、キミはどう思う?
見た花:千代を仲立ちとして武田との和睦を図ろうということでしょうか……。 いくら家康の正室とはいえ、そんな力はないですよね?

同 門:気になるのは、岡崎城を目指すときの勝頼が「狙うは信康、そしてその母、築山殿だ!」というセリフ。信康の首を狙うのは分かるけど、その母、つまり女性を標的にするのは解せない。ここにも「仕掛け」があるんだろう。
見た花:勝頼は、瀬名の命を狙うのではなく、彼女の厭戦気分につけこんで、武田に内通させようとしてるんじゃないですか? 

同 門:今回はデキル男として描かれている勝頼が背後で糸を引いており、瀬名から千代への誘いがあったことを知った上で、わざと千代を差し向けたと?
見た花:だから勝頼は、あえて陣を引いて安心させたのかと。あと前回、「岡崎クーデター」には瀬名も関係していたという説があるって言ってましたよね? 

同 門:お兄さんより、いい読みだ(笑)これらは、数回後に回収される「伏線」なんだろう。
ということで勝頼は、岡崎城を責めるのは後回しにて、徳川方の奥平信昌(白洲迅)が守る長篠城攻めを始めるようだね。
見た花:いよいよ次回は戦国時代最大級のハイライト、長篠の合戦の幕開けですね。
同 門:さすが、歴史好き女子! 家康も寝込んでいる場合じゃない!
見た花:ということで、センパイ、来週も4649~!
同 門:古っ・・・誰に教わったんだ?
(第21回の大胆レビューにつづく)

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【第1シーズン】
第1回:「どうする家康」が「鎌倉殿の13人」から引き継いだものってなんだ!?
第2回:「どうする家康」が“居心地の悪い”ドラマに感じるのはなんで⁉
第3回:家康を諭した於大の方のメッセージが深い!その真意ってなんだ?
第4回:お市の方より今川氏真がおもしろい⁉ってなんだ?
第5回:脚本家・古沢良太が描く織田信長VS.織田信長ってなんだ!?
第6回:立役者は半蔵(山田孝之)ではなく氏真(溝端淳平)ってなんだ!?
第7回:家康より“家”をつくるのがうまかった空誓上人ってなんだ?
第8回:三河一向一揆と本多正信の行動は“複雑系”ってなんだ!?
9回:正信が家康を「大タワケ!」と言い切る理由ってなんだ?
10回:家康の側室問題は続く!?大河で描かれるセクシュアリティーってなんだ?
第11回:家康の「格付け」仲介手数料****万? 風林火山な信玄ってなんだ⁉
第12回:氏真の「悲哀」と義元の「理想」ってなんだ?
13回:浅井長政(大貫勇輔)の信長(岡田准一)に対する本音ってなんだ?
14回:ついに家康(松本潤)覚醒!「信長の野望」で変身した長政と家康ってなんだ?
【第2シーズン】
第1回:夏目広次(甲本雅裕)と家康(松本潤)による「仕掛け」ってなんだ!? 
2回:瀬名(有村架純)のモヤモヤ感と家康(松本潤)の危機ってなんだ?