植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く、連続テレビ小説「らんまん」。今回、万太郎と同じ長屋で暮らす、倉木えいを演じる成海璃子に、役の見どころや、夫・倉木隼人、そして万太郎への思いについて話を聞いた。


――えいをこれまで演じてきていかがですか。
えいのように、明るくたくましく夫を支える役は、これまであまり演じたことがありませんでした。“朝ドラ”で今一度挑戦をさせていただけていること、とてもうれしく思います。

狭い長屋で貧しく暮らす倉木家ですが、えいは沈むことなく明るく家族を支え、酒におぼれ働かない夫に対しても「頑張りなさい」とはっぱをかけます。そんな江戸っ子らしい明るさが、えいのすてきなところ。その魅力をしっかり表現できるよう、大切に演じています。万太郎の影響もあり、夫が仕事にちゃんと行ってくれるようになったのは、私も素直にうれしいです(笑)。

――えいと夫・倉木隼人の関係性をどのように捉えていますか?
夫の倉木は、元彰義隊で上野戦争の生き残り。大河ドラマ「青天を衝け」(2021年)で彰義隊を結成した渋沢喜作の妻・よしを演じたこともあり、彰義隊との縁を感じています。

第45回の放送で、えい、ゆう(山谷花純)、りん(安藤玉恵)、そして万太郎と恋バナをするシーンがありました。その場でえいは、倉木に一目ぼれしていたことを告白します。どんなに苦しくても夫を支えるという、えいの愛と決意を改めて感じたシーンでもありました。

この場面は、台本を読んだときから、えいを始めみんなの恋する気持ちに「わかる、わかる」と共感していたので、撮影を楽しみにしていました。女性陣の中に、万太郎演じる神木さんが違和感なく溶け込んでいるのも面白かったですね(笑)。

――夫役を演じる大東駿介さんの印象はいかがですか?
大東さんは撮影に入るととても集中される方。その空気感に私は安心して演じることができています。幸せな家族を一緒に築けたらいいなと思いました。

――撮影現場の雰囲気はいかがですか?
長屋の住民は、個性豊かなメンバーがそろっています。そんな長屋のメンバーと一緒に撮影することが多く、“朝ドラ”特有のアットホームな空気感のもと、いつも楽しく演じています。長丁場の撮影ですが、演者・スタッフが一体となって撮影ができています。ただ、長屋のセットは想像した以上に狭いので、最初はすれ違うのにも一苦労でしたが、今は慣れてきました。長屋の生活に体がなじんでいるようです(笑)。

――万太郎と出会ったことで倉木夫妻も変わっていきますね。
そうですね。万太郎が利害関係なく、熱を出した息子を助けてくれたことに、えいは心から感謝しています。そして「どの草花にも必ず、そこで生きる理由がある。この世に咲く意味がある」という、植物への純粋で熱い思いに心打たれたんだと思います。その言葉が、倉木夫妻に前向きに生きる力を与えたように感じます。

万太郎を演じる神木さんは、本当に役柄にぴったりです。いつもの神木さんと変わらないですし、台本を読んだときからしっくりきていました。「神木さん、そのまんま!」と、すぐに想像できました(笑)。

「らんまん」は、万太郎の植物愛をはじめ、登場人物のピュアな気持ちに心が洗われる作品となっています。ぜひ、最後まで見届けていただけたらうれしいです。

成海璃子(なるみ・りこ)
1992年8月18日生まれ、神奈川県出身。NHKでの主な出演作に、大河ドラマ「平清盛」「青天を衝け」、「みをつくし料理帖」「昭和元禄落語心中」「定年オヤジ改造計画」など。