植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く、連続テレビ小説「らんまん」。今回、寿恵子の叔母・みえを演じる宮澤エマに、役への思いや寿恵子、まつへの思い、そして今後の見どころについて話を聞いた。
――みえを演じての思いはいかがですか。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)で演じた北条義時(小栗旬)の妹・実衣と名前が似ていることもあり、撮影に入る前から、不思議と親近感を抱いていました(笑)。
みえは、めいの寿恵子が玉のこしに乗れるよう世話を焼く人物。もちろん、みえなりに寿恵子のことを思っての行動です。地位のある人とつながりを持って、幸せをつかもうというみえの考えは、女性が働く機会が限られていた当時、とても前向きで新しいものだったと思います。鹿鳴館に行ってさまざまな人と出会い、世界を広げていくことが、寿恵子の幸せにつながっていくと、みえは心から信じています。
――みえを演じる上で意識されていることはありますか。
寿恵子、まつ親子のふんわりとした空気をバサッときるのが、みえです(笑)。台本上でも、寿恵子とまつさんの倍くらいのセリフがあるので、「またうるさいのが来たよ」と思われるくらい、早いテンポを意識しながら、軽快に見せることを意識しています。ときおり、浜辺美波さん、牧瀬里穂さんが醸し出す、柔和な空気につい引っ張られてしまいそうになりますが、その空気に負けないよう演じています(笑)。
そんなみえが持ってくる新しい話などに、冒険好きな寿恵子は意外と楽しんで聞いていそうです。ずっといられたら少し嫌に感じるかもしれませんが(笑)、ちょこちょこ顔を出して面白い話をもってきてくれるおばさんの来訪を、寿恵子は喜んでいるのではないでしょうか。姉であるまつは「みえはこういう子だから」と半ばあきらめていそうですね(笑)。
――浜辺美波さん、牧瀬里穂さんと今回共演されていかがですか?
浜辺さんはいつお会いしても自然体で、ふんわりとした雰囲気でいらっしゃいます。と同時に、監督のさまざまなリクエストに対応する強さも兼ね備えています。“朝ドラ”のヒロインは長丁場の撮影で大変だと思いますが、どんと構えている浜辺さんは本当に頼もしいです。
牧瀬さんはとてもフランクで、浜辺さんと3人でよくお話ししています。温かい牧瀬さんの人柄が、まつさんの優しさにも反映されているように感じます。定職についていない万太郎さんとの結婚を認めることは、当時としては珍しいことだったと思います。みえとはまた違った角度から、寿恵子をしっかり支えているんですよね。そんな優しさを牧瀬さんも持っているからこそ、より魅力的に感じるんだと思います。
――主人公・万太郎の生きざまについて、どのように感じていますか?
「新しい世になった」とみえが何度も言っているように、生まれたときの身分でずっと生きていかなければいけなかった江戸時代から、自分の力で人生を変えられる時代へと転換するなかでの、万太郎さんと寿恵子の生き方はとてもモダンですよね。大好きな植物と真摯に向き合う万太郎さんの姿はかっこいいですし、みえの気持ちとは裏腹に(笑)、すごく応援したくなります。
万太郎さんと一緒に撮影するシーンはまだあまりないので、これからの撮影を楽しみにしています。牧瀬さんも「万太郎さんとみえが対面するのを早く見たい! 二人とも我が道を行くキャラクターだから、全然交わらなくておもしろそう」とおっしゃっていて、その通りだなと思いました(笑)。
――最後に、視聴者へメッセージをお願いします!
万太郎さんと寿恵子の恋路を邪魔する存在として視聴者の方には受け止められるかもしれませんが、寿恵子が新たな世界へと踏み出すきっかけをつくる人物でもあります。鹿鳴館に行って、今までとは全く違う世界を見るという経験は、寿恵子の今後の人生にとって大きな出来事となります。ですので、みえのことを「うるさいなあ」とは思っても、嫌いにならないでいただけたらうれしいです(笑)。
今後、寿恵子が万太郎さんのことを信じてついていくという思いを深めるエピソードも増えてきますので、ぜひお楽しみにしていただけたらと思います。現代にはない恋愛要素がたくさん詰まっていますから。
11月23日生まれ、東京都出身。NHKでの主な出演作に、連続テレビ小説「おちょやん」、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」など。