植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く、連続テレビ小説「らんまん」。寿恵子を演じる浜辺美波が、第8週までの中から、注目を集めたシーンを振り返った。


――第34話の放送で、万太郎に“かるやき”を渡そうとした寿恵子がドキドキする場面がありました。このシーンを演じてみて、いかがでしたか?

寿恵子が持つかるやきをそのままかじるのって、ちょっと勇気がいることですよね。ですが、愛らしい万太郎さんの人柄があふれ出ていて、すてきだなと感じました。台本を読んだときは、一口サイズをかじるのかなと思っていたのですが、実際は想像以上の大きさで少し驚きました(笑)。

寿恵子としては、これまで経験したことのない異性との距離感に、びっくりとキュンの感情が入り混じっていたような感じ。思ってもいない動きをする万太郎さんを、徐々に意識し始めるきっかけとなったシーンです。

――万太郎がボタンの絵を寿恵子にプレゼントするシーンが印象的でしたね!

寿恵子が好きだと言ったボタンの絵を描いてくれたことが、本当にうれしかったです。その絵がリアルで美しいことに私自身もびっくりしたので、喜びと驚きの感情をそのまま演技に反映しました。

この時期の寿恵子は、まだ見ぬ世界に憧れを抱いていますが、今後どんな道に進むべきか、将来を確立できていません。そんなときに万太郎さんから、「やってみたいことはやるべきです。わしは応援しますき」と後押しを受けます。広い視野で世界を見ている万太郎さんに、大きな刺激を受けると同時に、尊敬の念を抱いた場面となりました。

――その後、寿恵子は憧れの鹿鳴館に行ってみたいと母・まつ(牧瀬里穂)に告げますが、反対されます。

これまでは、まつさんや叔母のみえさん(宮澤エマ)が好奇心旺盛な寿恵子をいさめるといったコミカルな場面が多かったので、新鮮でした。ふだんはおっとりとしていて、寿恵子の思いを尊重してきた母が珍しく反対するのに、深い愛と覚悟を感じました。西洋という新しい世界に娘が飛び込むのはやっぱり心配ですし、なによりおとっちゃんの過去とも関係があります。だから寿恵子も強く出られなかった。それぞれ家族を思う心が表れた場面だったと思います。

――そして寿恵子は、万太郎の来店を心待ちにするようになりますね。

万太郎さんのくしゃっとした笑顔が、忘れられないんだと思います。かるやきを焼いているときなど、その笑顔がふっと浮かんでくるのだろうなと。だから、もうすでに恋に落ちているんだと思います。けれど、寿恵子はそのことに気づいていない。なんか、かわいいですよね(笑)。

――第40話で、「日本中の草花をまとめた図鑑を作る」という万太郎の夢を聞いたときの寿恵子の表情が印象的でした。

このシーンはとても印象に残っています。万太郎さんのとてつもない夢を「ありえない」と言う人もいるかもしれませんが、おもしろがって笑顔で受け止める寿恵子はすてきだと思いました。改めて万太郎さんの魅力を感じるとともに、この場面から寿恵子は、万太郎さんの夢を一緒に歩む姿を想像し始めたのかなと思います。そのくらい、寿恵子にとっても大きな転換点となりました。

演じるうえでは、監督さんから「ものすごく驚いた表情をしてほしい」と助言を受けました。なかでも、万太郎さんが描いた絵を見て「馬琴先生だ!」と発する場面は、これまで見せてこなかった寿恵子の一面を見せられたらと思い、全力で演じました!

――第9週以降の見どころを教えてください!

ついに寿恵子は、新たな世界へ飛び込んでいくことになります。これまで関わったことのない外国の方との交流に、最初は引っ込み思案になる寿恵子ですが、ダンスの先生となるクララ・ローレンス(アナンダ・ジェイコブズ)との出会いが、彼女を大きく変えていきます。寿恵子の恩師ともいえるクララ先生との交流は、ぜひ注目してほしいです。ダンスはあまり得意ではないのですが、今回、猛特訓をして社交ダンスシーンに臨みました!

また今後、寿恵子と大きく関わることになる元薩摩藩の実業家・高藤さん(伊礼彼方)に注目。いい人なんだけれど、万太郎さんとは別方向に一人で突っ走っていくキャラクターです。「らんまん」の世界に新しい風を吹かせる人物になると思いますので、こちらもぜひお楽しみに。引き続き、万太郎さんと寿恵子の物語を見守っていただけたらうれしいです。

浜辺美波(はまべ・みなみ)
2000年8月29日生まれ、石川県出身。NHKでの主な出演作に、「ピュア! 〜一日アイドル署長の事件簿〜」「タリオ 復讐代行の2人」「オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ」など。