後悔しないように生きる。それって、とっても難しいことだと思う。
だけど、必死に突き進んだ結果つまずいて転んでしまっても、
目線の先の地面に小さな花を見つけることだってある──。
どうも、しんみりモードの朝ドラ見るるです。
今週は、自由を求めて戦い、突き進む人の姿がたくさん出てきました。
昔、こういう活動をしてくれた人がいるおかげで今、いろんな権利が保障されてるんだって思うと、感慨深くなっちゃいます。
たとえば、女性参政権とかね! 選挙権も、この人たちがいなかったら、今の見るるは持っていなかったかもしれない。民権ばあさん、ありがとう!(←土佐弁ネイティブの島崎和歌子さん、かっこよかった!)
若者の投票率低迷が嘆かれて久しいけど、この活動家たちの意思を絶やしてはいけな〜い! 見るるは投票してきましたけど……やっぱり権利は行使し続けなくっちゃ。投票しないで後悔しても遅いんだから!(←しんみりモードはどこへ?)
というわけで、今週も元気いっぱいに朝ドラレビュー、いってみましょう!
朝ドラ見る家会議
▼議題その1>> おばあちゃん……それはさすがにどうなの? 万太郎&綾の結婚!?

東京から佐川に帰ってきた万太郎は、まるで人が変わったように家業に精を出します。
でも、植物への思いを無理やり押し殺しながら峰屋の当主として振る舞おうとする姿、事情を知ってる私たちからすると、心が痛い……。
せっかく東京で自分の進むべき道を見つけたところだったのに……。
竹雄に言われた「若はわしらを捨てるがですか?」のセリフが、相当効いちゃったんですよね。
そんな万太郎に追い討ちをかけるように、タキおばあちゃんが切り札を切ってきました。
タキ「この先はおまんら2人が、わしに代わって峰屋を支えてほしい。おまんら2人、めおとになれ」
うわああ! ついにきた、きてしまった……万太郎と綾ちゃんの結婚話!!
いやね、私、知ってたんですよ。
綾ちゃんのモデルはおそらく、牧野富太郎の従妹のお猶さんという人。
お猶さんは実際に富太郎博士と結婚していて、植物研究に心血を注ぐ博士の代わりに実家のお店を切り盛りしていたのだとか。
それでもドラマと史実は別だから、どうなるのかな〜って思ってたんですけどね。まさか、綾ちゃんと万太郎との結婚話も出てくるとは……。
(おばあちゃんが二人に結婚の話を持ちかけたシーンで)
見るる「ええ〜! このふたりが結婚!? そりゃないでしょ〜!」
姉さん「まじかー。でも確かに折衷案ではあるわな」
見るる「冷静……!」
姉さん「亡くなったヒサさんに、タキおばあちゃんが言った言葉、覚えてる? なんか違和感あるな~とは思っていたけど伏線だってことよね」
タキ「(ヒサさんに)おまんは万太郎を産んでくれた。綾の親になってくれた。充 分じゃき」
ああ! 1週目を思い返したら、言ってた……!!
確かに、ふたりともヒサさんの子どもだったら「万太郎と綾を産んでくれた」って言い方になりそうですもんね。
姉さん「もしかして、万太郎は後妻の子どもで、綾ちゃんは前妻の子ども?くらいは想像してたんだけどね」
見るる「でもさ、そこまでして“家”を守りたいって発想、わたしの価値観からすると全然理解できない。ていうかあり得ない! 個人的な自由が全然ないじゃん!」
まあ、「価値観が前時代すぎる!」って思っても、ドラマの舞台が前時代だから仕方ないんですけど。
母「家を守る感覚、わたしは分からなくはないわよ」
見るる「えっ母さん、マジ!?」
母「たとえば、万太郎たちの時代よりも後のことだけど、戦争で長男が死んだから、長男の奥さんが代わりに次男と結婚するとか。そういう時代もあったわけでしょう」
見る子「あ、話には聞いたことあるかも……」
母「でしょ。まあ、だからといって万太郎と綾の場合は、ずっと姉弟として生きてきたわけだから。それで結婚なんて急に言われても無理よね」
法律上問題はないとしても、後出しでそんなこと言われても納得いかないよ。
これまでは、自由な万太郎をどうにか諌めないといけないおばあちゃんの立場は大変だな〜って思っていたけど、さすがにこれは悪手では?
万太郎は苦しみながらも一生懸命、峰屋のために植物学のことを忘れようとしているのに……それを刺激するようなこと、わざわざ言わなくてもいいのになと。
万太郎「犠牲になるがは、わし一人でたくさんじゃ!」
家や伝統に縛られて選択肢を奪われることを、はっきり「犠牲」って言い切った万太郎。その悲痛な表情……ああ、朝からしんどすぎる。
でも、よく考えたら、綾ちゃんが幸吉を好きだったこととか、万太郎が東京で浜辺美波ちゃん(←和菓子屋・白梅堂の寿恵子さん!)に一目惚れをしたこととか、知らないもんね。
ふたりが結婚したら、綾ちゃんは峰屋に残れるし、万太郎は家業のこともある程度綾ちゃんに任せられる。これで万事解決って本気で考えていたのかも……。
愛情深いおばあちゃんが、ただ万太郎を家に縛りつけるためだけにこんなことを言い出すなんて思えない。
史実通りならふたりは結婚することになるけど、ドラマではどんな展開になっていくのか……ああ、続きが待ちきれない〜!
▼議題その2>>自由民権運動は“ロックンロール”&“ブルース”!

おばあちゃんの爆弾発言(めおとになれ!)によって実家を飛び出した綾ちゃんと、それを追いかけた万太郎、竹雄。
3人が高知で出会ったのは、自由民権運動の結社「声明社」。その集会の中心にいたのは、リーダーの早川逸馬でした。
姉さん「(『おげんさん』の)マモちゃんだ!」
そうです! 早川逸馬を演じるのは、宮野真守さん!
宮野さんといえば、数々のアニメ作品だけでなく、海外映画の吹き替えなどでも活躍、さらに歌手や役者としてなど多彩に活動している、超・人・気!声優さん。
かくいう見るるも、実は宮野さん大好き! 宮野さんの演じるキャラクターもいつも大好きなので、今回の出演、めっちゃ嬉しかった〜!
姉さん「歌がうまいことは知っていたけど、かっこいいこと言ってるからびっくりしちゃった。これが本業だったのか」
見るる「いつもホットパンツ姿だったり、おげんさんちのねずみだったりするわけじゃないんだからね! ちゃんとチェックしておくこと!」
姉さん「あんたは宮野さんの何なのよ……(呆)。でもすごいね、演説シーンとかほぼライブじゃん」
見るる「本当にね。早川逸馬が演説するシーンの台本のト書きに“ロックスターのように”って書いてあったって、今日の『あさイチ』で宮野さんが言ってたよ」
姉さん「なるほどね〜」(←姉さんは朝ドラは録画で見る派&「あさイチ」まではフォローしていない)
宮野真守さんがドラマ&役どころへの思いを語っています⇊ こちらもオススメ!
https://steranet.jp/articles/-/1775
姉妹で話していると、母さんも参戦。なんだかテンションが高い様子です。
母「宮野真守さんってあまり知らなかったんだけど、母さん、こういう俳優を待ってたのよ! 顔が大きくて良い! 最高よね!」
見るる「出た、母さんの顔が大きい役者さん好き(松坂慶子さんに対しても言ってた……)。言っておくけど、“顔が大きい”って一般的には褒め言葉じゃないんだからね! あんまり外では言わない方がいいよ?」
母「違うのよ、他にもほら……鎌倉殿に出てた、坂東彌十郎もすごく良かったじゃない? やっぱり顔が大きいと、それだけ画面の中に占める割合も大きくなるし、その分迫力もあって魅力的でしょ」
まあ、言いたいことはわかるけどさ……。
父「3人ともそっちに夢中なのか。父さん的には何より宇崎竜童なんだが……。 それこそ本物のロックスターだぞ。迫力なんてもんじゃなかっただろ」
姉さん「言われてみたら確かに。私は宮野さんとジョン万次郎という組み合わせにばっかり目がいっちゃってた」
見るる「(姉さんもしかして、『おげんさんといっしょ』で宮野さんが演じる雅マモルの歌『恋はホップステップジャンプ』の歌詞のこと言ってる?)でもわたしくらいの年になると、宇崎さんは調べないと全然知らない人だからさ~」
父「見るる、『スモーキン・ブギ』を……知らない……!? いや、そうだよな。あれは見るるが生まれるより20年も前の曲だ」
な、なんかごめん父さん……。あとで聞いてみるから、衝撃受けないで!
(追記:聞きました! 踊りたくなる感じで好きな曲になっちゃった! 宇崎竜童さん、この曲のボーカル・作曲を手がけた人なのね……、すてき!)
しかし早川逸馬関連でもうひとつ気になったのが、音楽。
『らんまん』の劇伴(ドラマの中で流される音楽のこと)は基本的にオーケストラっぽい雰囲気のものが多いですが、逸馬さんが出てくるシーンはギターの音が聞こえましたよね。
ということで……有識者(笑)に聞いてみました。
バンドマンをやっている従兄とのLINEのやりとり!
見るる:ねえ、今期の朝ドラ見てる?
従兄:見てるよ。あいみょんが主題歌のやつでしょ。
見るる:そうそう! ちょっと聞きたいんだけどさ、今週、早川逸馬が出てきたシーンのBGM、どう思った?
従兄:よくぞ聞いてくれた!
見るる:え?
従兄:早川逸馬が登場したシーン。壇上に上がった逸馬がしゃべりだした途端、ジャ〜ンっていうエレキギターの音が聞こえたでしょ? そこから、雑草を役立たずと言われた万太郎が「それは違う!」って反論するまでの間、ずっとサウンドチェック的な音が流れてるんだよね。
見るる:サウンドチェックって?
従兄:コンサートとかライブとかの前に、会場の音響や楽器の音を調整するために、ギターの音を試しに鳴らしたりすることだよ。ちなみに、たぶん使ってるのは……フェンダー系のギターだと思う。
見るる:えっバンドマンって、音聞いただけでギターの種類わかるの!? すごいね!
従兄:いや、まあ絶対とは言えないけどさ。それで、万太郎が舞台に上がってしゃべりはじめてから、植物の話と人権の話が交差しはじめるあたりまで。あと夜のシーンで逸馬が自由について語るところもだけど……そこで流れているのはブルースだね。
見るる:ブルース? ロックンロールじゃないの?
従兄:そう。ブルースっていうのは、黒人の音楽と言われているんだ。長らく黒人音楽は、教会か労働の現場で、集団で歌うものだった。でも奴隷解放のあと、仕事を終えた後に個人の自由時間を過ごせるようになって、一人でも歌を歌うようになったんだ。その音楽が、早川逸馬の登場シーンには多く使われてる。音色はハードロックっぽい感じだけどね。
すごい!! あのBGMに、そんな深い意味合いがあったなんて……。
万太郎、綾ちゃん、竹雄は、自分たちの未来を縛る家から飛び出してきた身。
そんな3人が出会ったのが、ロックスターのようなカリスマ性を持って、ブルース的に個人の自由を重んじる精神性を持った早川逸馬だった……う、美しい流れ〜!
こういう、知っているとより楽しめる要素を教えてもらえるのうれしいな。皆さんも、これから音楽にも注目してみてくださいね!
ちなみに「らんまん」の音楽を担当されているのは、阿部海太郎さんという作曲家さんです。サウンドトラックCDも5月末に発売されるみたいなので、こちらも要チェック!
早川逸馬には実在の明確なモデルはいないようですが、「声明社」という結社のモデルは、高知出身の政治家・板垣退助が若い頃に立ち上げた「立志社」ではないかと考えられます。
となると、逸馬は板垣退助なのかな?
逸馬はこのあとどれくらい登場するんだろう? もっと見ていたいな〜!
▼議題その3>>身分違いの恋 竹雄、まっすぐ育て……!

姉さん「それにつけても気になるのは竹雄だよ。万太郎も綾ちゃんも、そりゃあ大変だとは思うけど、いちばん生き方を制限されてるのって、竹雄じゃん。自由をこよなく愛する私としては、ちょっと信じられないんだけど」
見る子姉さん、それわたしも思ってた。
先週の幸吉との恋愛フラグが爆速でへし折れ、失恋した綾ちゃん。
彼女に気持ちを伝えようとする竹雄でしたが、綾ちゃんの言葉を聞いて、彼女に東京土産の櫛を渡すのを諦めます。
竹雄「わしは…若と綾様をお守りするよう言いつけられて育ちました。それ以外の生き方がわかりません。ほんじゃき、お二人のそばにおりたい。それだけがわしの望みで…綾様がたとえどなたとご一緒になられようとも、峰屋を出られようとも、わしの忠義は変わりません。たとえ離れても、一生お守りすると誓います」
綾「大げさやね、竹雄は。私なんかに誓うてくれんでもえいがよ」
見るる「綾ちゃんって慎ましいっていうか、自己肯定感低いっていうか、なんか自罰的だよね。自分のこと“醜い”って言ったり、今回も“強欲”とか言ってたし、“私なんか”だし。もちろん生育環境のせいもあるだろうけど、そばで見てる竹雄もキツいだろうな」
姉さん「ああ、面白い見方するね。でも、それを言ったらやっぱり竹雄だよ。万太郎が村の子らと遊べなかったのは自分のせいって。いやいやいや、そんなの背負う必要ある〜? 結局、お土産の櫛も渡さないし!」
見るる「竹雄の情緒、結構ヤバいよね。万太郎思いの一面を出したかと思ったら、姉ちゃんに告れって真剣にアドバイスされたとたんに突き飛ばすし。日常的にいろいろ溜まってるんだろうな……」
そう、竹雄は思った以上に我慢我慢の人なんですよね。
お祭りで「よしや節」を踊るときも、何にも縛られず、綾ちゃんは竹雄の手を引いてくれた。
だけど竹雄は、佐川から遠く離れた場所に来ても、峰屋から逃れられない。自分から綾ちゃんに触れることもできない。守るような位置で、隣に立つことしか……。
見るる「ああ、もどかしい〜〜!」
姉さん「もともとの性格もあるんだろうけど、竹雄は、親友で弟みたいな万太郎に対しても、思い人である綾ちゃんに対しても、まずは『身分』を強く意識しなくてはならない立場だからね〜。考えてみたら、お父ちゃんやお母さんも、峰屋の奉公人だし。仕えられてる立場の二人は前進を選べても、仕えてる立場の竹雄には、進むべき道が見つからないのも、まあ、うなずけるけどね」
見るる「うう、なんとかならないのかなあ。竹雄〜」
と、ここで、私たちの話を聞いていた母さんがぽつり。
母さん「ほんとね、心が歪まずに育ってほしいわ。まっすぐ育っていけるのかしら、この竹は……」
母さん、うまい。座布団1枚……!
さて次週、「キツネノカミソリ」。
次週、早川逸馬、ジョン万次郎に見送られて宿へ戻った万太郎が……逮捕!?
えっ、おばあちゃんとの和解はどうなるの? というか、どうして!?
今週、「鎖を引きちぎって野山に行きたい」という本心を改めて口にすることができたのに……!
ああ、来週も楽しみ!
それじゃ、今回はここまで。今週の会議、終了!
文責:朝ドラ見るる