連続テレビ小説「らんまん」で、主人公・槙野万太郎(神木隆之介)に大きな影響を与える人物の一人、政治結社「声明社」のリーダー・早川逸馬。警察に身柄を拘束されてしまった逸馬だが、果たして――。演じる宮野真守に、これまでのシーンを振り返ってもらった。


――第22回、逸馬は「万太郎は仲間ではない」と言い放ち、万太郎を助けます。拷問シーンもあり壮絶な場面でしたが、いま振り返っていかがですか?

台本に拷問と書かれているのを見たときは驚きましたが、当時リアルにあった出来事でもあります。撮影でも、腕を縛られ、水の入った桶に顔を何度も入れられるなど、緊張感のある時間が続きましたが、万ちゃん(万太郎)の心に一生残る大事なシーンでもありますので、精一杯演じさせていただきました。

逸馬は「万太郎は仲間ではない」と言いましたが、もちろんそんなことは思ってはいません。万太郎のまっすぐで純粋なところ、そして「現状から抜け出したい」という思いがシンクロし、シンパシーを感じたからこそ、彼を助けたんだと感じています。

逸馬はどんなに懲罰を受けても、自由を勝ち取ることを少しもあきらめていません。逸馬の演説シーンからもわかるように、多くの人々を救いたいと本気で思っているんです。そんな彼の信念を貫き通す部分はとても魅力的で、尊敬しています。誰もやっていないことに挑戦することが、一つのモチベーションにもなっているのかもしれませんね。僕も同じで、新しいことにチャレンジすることってわくわくする。逸馬を突き動かしているのは、冒険心もあるかもしれません。

――中濱万次郎(ジョン万次郎)との出会いは、万太郎にとって大きな出来事となりました。

万太郎のために何かできればと思い、中濱さんのもとに連れていきましたが、逸馬も影響を受けるんです。中濱さんと万太郎の会話から、自分にとって自由とは何か、何を目指していくべきかといったことを、もう一度見つめ直す瞬間が逸馬にもあって。万太郎はもちろん、逸馬にとっても大切な時間になったと思います。

ジョン万次郎を演じる宇崎竜童さんは、とてもかっこよかったですね。緊張している僕に優しく声をかけてくださって、うれしかったです。そして本番撮影前、宇崎さんに呼ばれて、スタジオのすみっこで、神木くんと僕と3人で円陣を組みました。静かな場面ではありますが、3人の心には熱いものがうごめく空気感を作ってくださったこと、感謝しています。

――そのほか、宮野さんが好きなシーンを教えてください!

いっぱいありますが、万太郎と一緒に演説を行うシーンはとても好きです。監督から「互いに同調しあうような演説にしてほしい」という言葉があって。逸馬と万太郎がどんどん熱量を上げていき、聴衆を巻き込んでいくのが、実にすがすがしいです。

現場の熱気もすごかったですね。聴衆役の方々も全力で声をあげてくださったので、僕もどんどん声の強さがあがっていきました。実はこのシーンが撮影初日。最初から飛ばしすぎたかもしれません(笑)。

――最後に、万太郎を演じる神木さんにメッセージをお願いします。

本当に尊敬しています! 長期間で大変な撮影のなか、いつも笑顔を絶やさない神木くんのおかげで、楽しい時間を過ごすことができました。彼が持つ天真らんまんさは、この作品に欠かせない要素。他のシーンでも、出演者の皆さんにすてきな影響を与えているんだろうなと思います。そして、ぜひまたお会いできることを楽しみにしています!

宮野真守(みやの・まもる)
1983年6月8日生まれ、埼玉県出身。声優・俳優・歌手。2001年に海外ドラマ「私ケイトリン」の吹き替えで声優デビュー。以降、劇場アニメ「DEATH NOTE」や「機動戦士ガンダム00」などで主演を務め、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズなどで吹き替えも行っている。NHKでは、「おげんさんといっしょ」などに出演。