植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く、連続テレビ小説「らんまん」。小さいころから万太郎をそばで支えるのが、「峰屋」の番頭の息子・竹雄だ。演じる志尊淳に、役の見どころや物語の魅力、そしてプライベートでも仲の良いという神木隆之介との共演について話を聞いた。


――出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

大切な友人の神木隆之介を一番近くで支える役を演じられることができるので、すごくうれしかったです! これまで一緒に芝居をする機会は少なかったので、楽しみな気持ちでいっぱいでした。

初めて出演した朝ドラ「半分、青い。」(2018年)は、途中からの出演だったので、最初から作品に参加できることもうれしいですね。大きな作品の初動に関われる幸せを感じるのと同時に、新しいものを生み出すことの大変さも改めて感じています。

――「らんまん」の台本を読まれていかがでしたか。

それぞれのキャラクターが一生懸命前向きに生きているのが、とてもすてきだと感じました。悪い人も出てこないですしね。若(万太郎)をはじめ、それぞれいろいろな苦境を乗り越えるためにもがきますが、その姿は生きている時代を問わず共感できると思います。朝から、皆さんの背中を押すような作品になっています。

――演じる竹雄をどのような人物だと捉えていますか。

「峰屋」の番頭の息子である竹雄は、万太郎の祖母・タキ(松坂慶子)に命じられ、当主となる若の面倒を見ることになります。万太郎を支えるという使命を小さいころから背負っているので、自分の感情で周りを左右させることに、抵抗をもっているんです。若や綾様(佐久間由衣)を全力で支えることが、竹雄にとって当たり前なんですよね。けれど、少しずつ自分のやりたいことや自分の意思を貫きたいという思いも抱くようになり、葛藤することも。そんなところはとても人間らしくて、好きなところです。

もちろん、若と竹雄の間には上下関係があります。けれど、ずっとそばにいたからこそ気づいてあげられる部分もあり、「もうしっかりしてくださいよ!」みたいなことも、ちゃんと言えるんです。2人にしか築けない不思議な関係性だと思います。

――実際に神木さんと一緒に演じてみた感想はいかがですか?

隆(神木隆之介)が演じる万太郎は、すごくすてきです。意図的に竹雄の気持ちを作らずとも、万太郎を支えたいと思えるんです。本当に天真らんまんで、いろんな感情が見えてきます。一つの役に熱意を込めて演じきる才能を改めて感じますね。

こんなすてきな空気感で演じられるのは、隆だからこそ。僕の使命は、いつもの神木隆之介を引き出すことだと思っています。台本から万太郎という人物を捉えるというよりも、目の前で神木隆之介が演じる万太郎をしっかり受け止めることを大切にしています。もちろん台本に沿って演じていますが、アドリブを挟むこともあるんです。そのときどういう風に演じてくるのか、なんとなくわかるんですよね。僕と隆の関係だからこそ、表現できるものがあると自負しています。

また、隆とのシーンは全部印象的です。二人とも全力なシーンが多いので、カットがかかった後息切れする場面が自然と多くなっています(笑)。万太郎と竹雄の日々を一緒に作り上げられていることが本当にうれしいですね。

――演じるうえで、難しさを感じる部分などはありますか?

やっぱり、土佐ことばですね。クランクインして間もないころは、ことば指導をしていただく時間を作っていただいたり、僕と隆と先生で練習会を開いたりしていました。覚えないと撮影が進まないので、ひたすら頑張って覚えています。今では、言い回しが徐々になじんできて、アドリブも少しできるようになってきました。

――綾に恋心を抱く竹雄ですが、立場もあり、思いを伝えられませんね。

そうですね。番頭の息子という立場もあり、竹雄は綾様に自分の思いを素直に伝えることができません。綾様が幸吉(笠松将)に好意を寄せる様子を見るのもつらいですし、若と一緒に東京について行くか、綾様を近くで支えるかという葛藤も生まれてきます。

もちろん竹雄に限らず、若と綾様もいろんなことに縛られているんですよね。それぞれ何かに抑圧されながらも、自分をしっかり主張しようともがき、最終的には決断を下します。その過程はしっかり描かれていますので、演じるうえでも竹雄の色をしっかり出していけたらと思います。

――最後に、メッセージをお願いします!

キャラクターのチャーミングさに、今後も注目してほしいです! 今作は登場人物それぞれの魅力が詰まっている作品。脚本の長田さんが丁寧に、人物の気持ちの流れを描いてくださっているので、その思いを僕たちもしっかり伝えられるよう演じています。

僕個人としては、竹雄と一緒で支える側でもあるので、万太郎の軌跡を多くの人に焼き付けてもらいたいと思っています。ぜひ、これからの万太郎の冒険を見守っていただけたらうれしいです。

志尊淳(しそん・じゅん)
1995年3月5日生まれ、東京都出身。NHKでの主な出演作に、連続テレビ小説「半分、青い。」、大河ドラマ「青天を衝け」、「女子的生活」「金魚姫」「天使にリクエストを〜人生最後の願い〜」など。