NHKスペシャル「南海トラフ巨大地震」
【第1部】
ドラマ[前編]3/4(土)総合 午後7:30~
ドラマ[後編]3/4(土)総合 午後10:00~
【第2部】“最悪のシナリオ”にどう備えるか
 3/5(日)総合 午後9:00~


近い将来、確実に起こるとされる「南海トラフ巨大地震」。国が示す“最悪ケース”は、M9クラスの地震が一度に起こること。さらに多くの専門家が警戒するのは、東西日本で、時間差でM8を超える巨大地震が連続する“半割れ”と呼ばれるシナリオだ。

本シリーズでは、高知・大阪・東京の3拠点を“ほぼリアルタイムドラマ”で描きながら、南海トラフ地震の想定被害の全容を、それぞれの地域に暮らす家族の目線で明らかにする。また、南海トラフ特有の被害と、最新研究をもとにしたリスク、防災対策など、被害を最小限に抑えるヒントを、専門家と共に紹介していく。

2月27日、NHKスペシャル「南海トラフ巨大地震」の完成試写会がNHK放送センター(東京・渋谷)で行われ、ドラマの主人公・森澤あかり役の仁村紗和、あかりの兄・森澤貴彦役の松尾さとるが出席。番組の見どころやご自身の防災への取り組みなどを語りました。


森澤あかり役の仁村紗和、森澤貴彦役の松尾諭。

――今回のドラマに出演されて、「南海トラフ巨大地震」に対する印象は変わりましたか。
仁村:私が子どものころから、南海トラフで大きな地震が起こると言われていました。ただ、今回のドラマに出演するまでは、「今日は来ないだろう」とどこかで慢心していたような気がします。「半割れ」という現象も今まで知りませんでしたし、その「半割れ」によって巨大地震が連続で起こる可能性があるというのは本当に恐ろしいことです。私自身も実際に「南海トラフ巨大地震」が起きたときを想像すると、絶対にパニックになってしまうと思ったので、今回のドラマやドキュメンタリーをとおして、改めて地震や防災に関する正しい知識を身につけなければならないなと感じました。

松尾:最初に出演のオファーをいただいたときは、NHKスペシャルで、来るべき「南海トラフ巨大地震」をテーマに描くということは大きな意義があると思いました。僕も19歳のときに、兵庫県西宮市で阪神淡路大震災を経験しているので、そのときの体験をドラマの中で生かせればいいなと思いましたし、改めて巨大地震の恐ろしさを一人でも多くの方に伝えられたらと思いました。

仁村:今回演じたあかりは、気象庁の大規模災害課に勤める女性です。実際、南海トラフで巨大地震が起きた場合、気象庁から「臨時情報」というものが発表されるケースがあります。ドラマの中でも、その臨時情報が出されるのですが、これを出すことでさまざまな影響が出てくることも描かれます。例えば、被災地への支援が遅れてしまったり、救援隊が動きづらくなってしまったり。でも、臨時情報を出すことは多くの人命を救うために大事な判断になってきますので、そういう1つ1つの情報の大切さや正しい知識を私たちも学ばないといけないのだなと感じました。実際にこのような臨時情報があることを知っていると知っていないとでは、次につながる行動が変わってきますので、視聴者の皆さんにも学んでいただきたいです。

松尾:僕も仁村さんと一緒で、「半割れ」という言葉を今回初めて知りました。ドラマで描かれたのは、先に西で大きな地震が起きて、次に東でも同規模の地震が起こるという恐ろしいシナリオ。まさに半分ずつ巨大地震が起こる状況ですが、その被害の大きさは想像以上のものでした。実際、南海トラフ巨大地震は、ドラマのように西で起きた後に東で起こるケースや、先に東で起きた後に西で起こるケース、さらには「半割れ」が発生せずにいっぺんに巨大地震が起こるケースなど、さまざまなケースが考えられます。ただ、どのケースが起きたとしても、「南海トラフ巨大地震」は想像以上の被害が出ることを一人ひとりが認識しなければならないですし、その意識を持って生活することが大事なんだなと感じました。

震度分布から“半割れ”の可能性を危惧する大迫(高橋克実)とあかり(仁村紗和)。


――防災への意識で変わった部分はありますか。
仁村:家族だけではなく、お仕事でご一緒する方など、会う人、会う人に「どのような防災対策をしていますか」という話をするようになりました。私自身、今は東京で一人暮らしをしていて、家族は大阪にいるので、今回演じたあかりと重なる部分が多かったのですが、劇中で出てくる「災害用伝言ダイヤル」や「災害時にどこで待ち合わせするかを決めておく」など、家族とも話しましたね。

松尾:僕も家族と防災について話をしました。災害時に備えて、いつもお風呂に水を貯めておいたほうがいいなど。ただ、僕がドラマの撮影をとおして感じた危機感と、家族が僕の話を聞いて感じた危機感とでは、どうしても温度差があります。ですので、今回のNHKスペシャルを家族で見て、恐ろしいという危機感を共感した後に、改めて防災に向けてどのような準備をしていこうかを話し合いたいと思います。

仁村:あと、防災グッズも最近いろいろ買い足しました。パウチに入った保存食もおいしそうなものがたくさんあるので、一人分ではなく少し余裕が出るくらいの量を追加しました。それとお水もですね。あとは、保温してくれるサバイバルシートや寝袋も買いました。自分の家を最高の避難所にすることを目標としているので、ぜひみなさんも私と同じような思いで防災グッズを揃えていただきたいですね。

松尾:僕は、家に備蓄していた水がもうすぐ賞味期限を迎えてしまうので、今はその水を飲みつつ新しい備蓄用の水を注文したところです。あと買おうと思っているのが、ポータブル電源。太陽光でも充電できるものを購入しようと思っているので、いろいろ調べているところです。

大地震により、森澤貴彦(松尾諭)が経営する東大阪のバネ工場が被災。社員が負傷してしまう。


――番組をご覧になる方たちにメッセージをお願いします。
仁村:私自身、ドラマの撮影をしている中で、劇中の気象庁のモニターに映る震度分布図が赤く染まる西側を見たときは、本当に恐ろしい気持ちになりました。地震大国と呼ばれる日本に住んでいるから地震の怖さは十分知っているという方も多いと思いますが、改めてこの番組の中で災害の映像をご覧になると、巨大地震の恐ろしさをリアルに感じていただけると思いますし、「やはり地震は怖いんだ」という気持ちを思い出していただけるはずです。そのうえで、地震や防災についての知識を身につけていただければ、いざ大地震が来たときに考える余裕が生まれると思うんです。それが皆さんの大事な人たちや自分を守ることにつながると思うので、一人でも多くの方に自分ごととして考えながら放送をご覧いただきたいです。

松尾:以前から「南海トラフ巨大地震」が起こるかもしれないと言われてきましたが、これだけ真正面から注意喚起を促す番組は初めてだと思います。目をそむけたくなるような恐ろしいシーンもあります。でも、それだけ怖い災害が起こることを自分の中で心構えしておくことが防災につながると思います。そして、それはいつか来るのではなく“必ず来る”――。自分のためと思わず、家族や親せき、隣近所に住む人たち、遠くに暮らす友人など、多くの人たちのためにもこの番組を見ていただけたら幸いです。

3/5(日)放送の第2部ではスタジオゲストとして出演した仁村と松尾。実際に南海トラフで、時間差で巨大地震が起きた過去を知る。