現在放送中の夜ドラ「超人間要塞ヒロシ戦記」は、ごく普通の青年・田中ヒロシと、大学生・しずかが繰り広げる、純粋なラブコメディードラマ……と思いきや、実はヒロシは、母星を失ったスカベリア姫国の人型要塞戦艦「緋炉詩(ヒロシ)」で、彼の言動はスカベリア人に操縦されたもので……。スカベリア姫国の存亡をかけたSF政治劇も含んだ、新感覚ドラマだ。

今回、人型要塞戦艦ヒロシの乗組員、アケミ・バルドー役の高山一実、田中ヒロシ(超人間要塞・緋炉詩)役の豆原一成、ヒロシに恋する大学生・雅しずか役の山之内すずに、役の魅力と今後の見どころを聞いた。


――このドラマの出演オファーを聞いたときはいかがでしたか?

高山 うれしい気持ちと、「私にできるのかな」という不安な気持ちが両方あて、その気持ちを正直にスタッフさんに伝えました。「できることは何でもしますので楽しんでください」とおっしゃってくださって。その言葉にとても救われました。

豆原 僕はドラマを見るのも演じるのも好きなので、とてもうれしかったですね。(人型要塞戦艦という)ヒロシ役について、最初全然想像がつきませんでしたが(笑)、今後の自分にとってもプラスになると思ったので、ぜひやりたいと思いました。

山之内 原作がすごくおもしろくて、そのワクワクした気持ちのまま、毎日撮影に臨んでいます。実は、恋する役を演じるのは今回が初めてなので、不安な部分もありますが、日々の撮影はとても楽しいですね。

――皆さん特徴的な役どころですが、実際に演じてみていかがでしょうか。

高山 私が演じるアケミは、スカベリア姫国の要塞戦艦“緋炉詩(ヒロシ)”の乗組員で、あることをきっかけに新艦長になります。国の運命を背負っているアケミは、本当に大変で。危機を回避しても安心できないから、基本笑わないんですよ。常に緊張感が走る世界で生きる過酷さを実感しました。

豆原 要塞戦艦であるヒロシには感情がなく、乗組員の皆さんの思いが、ヒロシのセリフとして発せられます。なので、しずかちゃんとのやりとりでも、どこか抜け殻のような感じもあって。その演じ方は難しくもありますが、乗組員の思いをしっかりと表現するため、スカベリア姫国パートの台本を読み込んで、気持ちを作ることを心がけています。

山之内 しずかは、運命を重荷に感じている少し不思議な女の子。「ご先祖様がそれぞれ運命の人と出会って、私が生まれてきた。でも私は…」と、運命の人に本当に出会えるのか、妙な焦りを感じています。だから、運命的な出会いをしたヒロシに惹かれていきます。ちょっと変わってはいますが、だれに対しても真摯に向き合うしずかを、愛おしく感じていただけたらうれしいです。

――共演された印象などもお聞きしたいです!

高山 ヒロシとしずかちゃんと一緒に撮影がほとんどないんです。なので、ふたりがどのように演じられているのか、放送が待ち遠しいです。

豆原 そうなんですよ。アケミさんが、ヒロシをどういう風に操縦しているのか、僕もとても楽しみです。

山之内 高山さんとは、こういう機会でしかお話しできていないので、スカベリア姫国がどんな世界となっているのか、楽しみです! 豆原さんは、現場の皆さんにとても愛されていて、毎日ほんわかしています。アーティストとしてのかっこいい豆原さんと、ふだんのすこしおっとりした豆原さん、そして要塞戦艦のヒロシと、いろんな雰囲気を感じられて、毎日が新鮮です(笑)。

豆原 山之内さんとは、撮影を重ねるごとに、コミュニケーションをしながら、しずかちゃんとヒロシの関係性をどんどん作り上げられていると思います。僕も毎日楽しく撮影させていただいていますね。

――要塞戦艦であるヒロシの動きは独特で、演じるのが難しそうですが。

豆原 そうなんですよ。手や首の動きなど、一つ一つ動かしてくれている人が、ヒロシの中にいることを、とにかく意識しています。また、ぶるぶる震える動作などもあるのですが、ダンスと通ずるような動きが、ドラマでもできてうれしくなりました。ふだん、日常では絶対にしない動きなどもするので、姿勢がよくなった気がします、ヒロシのおかげですね(笑)。

山之内 笑っちゃうくらい、とんでもない動きをされているシーンもあるので、ぜひ見てほしいですね。普通だったら違和感を抱くヒロシの動きですが、ピュアなしずかは、そういう動きも含めて、ヒロシを目で追いかけてしまうんだと思います。

――スカベリア姫国の乗組員も、個性的なメンバーがそろっていますね。

高山 本当に皆さん優しくて、たわいもない話で、いつも楽しい撮影現場です。特に、艦長のトオル・マキシム役の斎藤工さんは、スカベリア姫国の艦長にしか見えなくて。工さんご自身が実践されている台本の覚え方を教えてくださるなど、本当にたくさん助けていただいています。

――印象に残っているシーンや注目の場面を、ぜひ教えてください。

豆原 僕はやっぱり1話です。しずかちゃんと図書館でぶつかるシーンですね。初めて2人が会う印象的な場面で、僕自身もすごくドキドキしました。そしてとにかく暑かったです(笑)。

山之内 本当に暑かったですね。豆原さんはずっと本棚を支えなければいけなかったので、私は楽で申し訳ないなと思いながらも(笑)、キュンとするシーンなので、早く完成映像を見たいです。

高山 私は、しずかちゃんがセクシーな服で登場する回があると聞いているので楽しみです(笑)。アケミとしては、しずかへの対応をどうするのかを迫られる場面、ヒロシに恋心を抱くしずかに、適当に接し続けてもいいのかと悩みます。ただスカベリア姫国の平和を守ることが一番大事。場面によって、アケミの心情はコロコロと変わっていくので、そんなところにもぜひ注目していただけたらうれしいです。

山之内 スカベリア姫国の人から見たら、しずかは国に危害を及ぼすかもしれないよう要注意人物ですもんね。その中でのアケミさんの葛藤は、個人的にいろいろと考えさせられました。スカベリア姫国の人々やしずかたちの思いを、視聴者の方がどのように捉えていただけるのかも、楽しみです。

豆原 あと、ヒロシの「間」にも注目してほしいですね。しずかちゃんへの返答も、アケミさんたちが議論してセリフを決めるので、その間、僕はずっとほぼ無表情で、ちょっとにやついたり、ぎこちない笑顔を見せたりと、これまであまり見せたことのない表情をしています(笑)。そんな現実世界とスカベリアの世界観のギャップも面白いと思います。

高山 そうですね、ヒロシのバイト先で餃子を作る動きひとつとっても、スカベリアの人たちは、平和存続のために、本気でヒロシを動かしています。その必死さにも笑ってほしいです! ぜひ多くの方に「超人間要塞ヒロシ戦記」を見ていただけたらうれしいです。


高山一実(たかやま・かずみ)
1994年2月8日生まれ、千葉県出身。乃木坂46の元メンバー。番組MCとして、「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」(テレビ朝日系)や、TBS系「オールスター後夜祭」(TBS系)に出演中。


豆原一成(まめはら・いっせい)
2002年5月30日生まれ、岡山県出身。JO1のメンバーとして活動中。主な出演作に、映画『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』など。


山之内すず(やまのうち・すず)
2001年10月3日生まれ、兵庫県出身。主な出演作に、「束の間の一花」(日本テレビ系)、映画『藍に響け』など。