Eテレ 11月26日(土)午後9:30~9:59
再放送 Eテレ 12月2日(金) 深夜0:30~0:59
○ナレーター:水瀬いのり
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https://www.nhk.jp/p/naresome/ts/KX5ZVJ12XX/plus/?cid=cchk-mgqc-20220910-steranet-01
11月26日放送の「自分に正直に生きる“プレゼンの神”&生き方を全肯定する造形作家」にゲストカップルとして登場したのは、澤円(まどか)さんとお相手の奈緒さん。年間300回近くのプレゼンテーションをこなす円さんは、その卓越した能力で“プレゼンの神”とも呼ばれ、メディアへの出演や講演活動、大学の特任講師など幅広く活躍している。また奈緒さんは、造形作家としてワークショップなどを行うと同時に、幼少期の壮絶な経験などをブログで発信している。そんな2人が「なれそめ」に出演して感じた、番組の魅力と可能性とは何か? 収録後に話を聞いた。
——「なれそめ」への出演依頼を受けたときに、どのように感じましたか?
円さん これは僕たち2人の共通認識なんですけれど、「うちらが呼ばれていいの?」というのが正直なところでした。(この番組に出演するのは)それくらい特徴がわかりやすい、例えばクリスチャンとお坊さんとか、イラン人の元格闘家とアイドルとか、そういうエッジのきいた、キャッチーな“タグ”を持つカップルだと思ったので。抽象化して言ってしまうと、僕はもともと普通のサラリーマンですからね。でも、よくよく考えてみると、「いや、その考え方は、僕がいつも(講演などで)話していることと違うやん!」と思い直したんです。それが開き直りにもつながって、出演をお受けしました。
奈緒さん 自分を振り返ってみると、「結婚って恋愛の先にあるもの」と私は思っていたのですが、自分が恋をしているときは、ちょっと自分が自分でない感じを抱えながら、無理が出るような関係しか知らなかったんですね。でも人と人が出会うことで、そして一緒に生活をすることで、そっちの方が自然じゃないかなって思えるようになってきたんです。なので、こうやって“なれそめ”から今の関係を振り返るのはとてもすてきなことだと思うし、出演させていただいて自分にとってもすごくためになりました。

——お2人の活動については、いろんなメディアで取り上げられていますが、“なれそめ”というプライベートな部分に特化して話す機会は、それほど多くなかったのでは?
円さん 今まであったっけ?
奈緒さん なかったんじゃない?
円さん 公のメディアの中でそこまで話したことは……。ちらっとはありましたけれど、“なれそめ”に完全にフォーカスしたものは、多分ないと思いますね。なので(取材で詳しく聞かれるまで)僕らも忘れていたことが多々ありました。
奈緒さん 私もワークショップなどの導入部分として話したりすることあったのですが、こんなに掘り下げることはありませんでしたね。
——収録の中で、取材を通して思い出したことがあるとおっしゃっていましたが、今回の出演を通して再確認したことなどはありましたか?
円さん いま「生きにくい」と感じている人がやっぱり多いんだな、ということですね。(田村)淳さんもそうだったし、(今回のゲストである)ryuchellさん、シャラ ラジマさんもそう。「生きにくい」というのは、たぶん共通項なんですよね。もしかしたら、「生きやすい」と思って生きている人は少数派なのかもしれない。そういう人たちは、ある意味で幸せかもしれないと思うんですよ。でも、もしそれに気づくタイミングが遅くなったときには、絶望も大きくなる可能性があるんじゃないかな、と。それは他の人の人生なので、僕がごちゃごちゃ言うことではないんですけれども。ただ僕は「生きにくさ」をずっと感じながら生きてきて、たまたま脱することができるタイミングが与えられたので、本当にラッキーだったと思います。
奈緒さん それでも以前に比べて、だいぶ時代が変わったなというのはすごく感じているんです。10年とか5年前、つい最近でも、私のようにADHD(注意欠如・多動症)だったりすると、「努力が足りない」「甘えてる」って、すごく怒られたんですよ。きょうの収録で皆さんの言葉を聞いて思ったのですが、世の中に“そっちの声”も拾ってもらえるようになった。だから少しずつ生きやすくはなっているように思いました。
私たちはたまたま、こういう“夫と妻”というパートナーシップですけど、お友達だったり親子だったり、身の回りのいろんな関係の中で、それぞれパートナーシップを作っていければ、それこそ多様性につながるんじゃないかと思います。私たちも2人だけじゃなくて、いろんな人にすごく助けられていると感じているので、やっぱりみんなで共生できるといいなぁと思いますね。
——番組MCの田村淳さん、そしてゲストのryuchellさん、シャラ ラジマさんという、多様性社会について深く理解されている方たちとのトークになりましたね。
円さん 本当に多様性のある人たちですよね。シャラさんは「人種のボーダーレス」を表現されていますし。ryuchellさんは、自分でも話されていましたが、いろんなライフイベントがおありになって。淳さんなんか、もうお笑い芸人の枠を超える生き方をされていて、そこでも活動が多様化していますよね。いろんな視点を持っている人たちと話せて、すごく安心できる空間でした。
——田村さんとは、民放番組などで何度か共演されているんですよね。
円さん 今回でもう7、8回目かな? でも、こういう話をしたことはなかったんです。対象が外側にあって、それに対して僕がコメントする、という形での関わり合い方だったので。
——じっくりと話をされて、お気づきになったことはありますか?
円さん 本当に、なんて言うんだろう? やっぱりすてきですよね。人生を楽しむことに対していい意味で貪欲、かつ、そのロールモデルにしっかりなっている感じがしますね。活動の幅がどんどん広がっているというのと、ものすごい謙虚さを持っていて、知らないことを学ぶことにぜんぜん後ろ向きな感情を持っていない。ああいう方が増えてくると、いいですよね。
彼はお笑い芸人という職業の中で、どんどん頭角を表して、そこから自分の殻を破っていろんなことに挑戦している。お笑い芸人なんだからひな壇で盛り上がっていればいいじゃないかという、ステレオタイプの考え方から脱している。そういう生き方を選ぶ人が増えると、世の中はまた面白くなるんじゃないかなと思うんです。

奈緒さん 私はちゃんとお話するのは、今回が初めて。淳さんがHSP(敏感な人)だと伺って、励みになりました。私自身もそうなので。あんなふうに番組をゴリゴリと引っ張っていくような方たちは、やっぱり神経が図太くないとやっていけないんだろうなと思っていました。でも、「自分も大変なんですよ」みたいにおっしゃったときに、そういう人でもこうやって活躍できるんだと。また、ryuchellさん、シャラさんも、出てくる言葉に共感しかなくて、すごくあったかい時間を過ごすことができました。

——そんなふうに、多様性や人と人の関係を“なれそめ”から考える番組が、土曜日の夜にEテレで放送されることを、どう思いますか?
円さん すごく意味のあることですね、これは。特に、予定調和ではない、要するに生き方をピックアップして、それもカップルになって新しい生活を始めるところにピンポイントで焦点を当てているところが、まずユニークですよね。かつ、その後の生活の中で見えてきたものを踏まえて、番組が作られている。完全な成功例としてキラキラしたものを見せるための番組じゃないと僕は理解しているんです。
最近のネット記事を見ていると、“パワーカップル”なんていう言葉がありますよね。要するに、年収が高い人同士が結婚して、世帯年収がすごくあがって、それこそ港区のタワーマンションに住んでいるようなカップル。キラキラしてることが成功例である、みたいにステレオタイプになっていて。それで幸せになる人がいるかもしれないけど、その“手段”を“目的”にしたら、幸せってあんまりやってこないような気がするんです。
生きていく中で、すったもんだ、いろんなことがあるのを、どうやって乗り越えていくのか。そして、それが人生をいかに面白くしているのか。「なれそめ」はそこにフォーカスしている、すごくユニークな番組だと思います。そこから、今を生きる人たちの多様な価値観や発想が社会に広く受け入れられる時代になりつつあることを感じとってもらえればうれしいですね。
本放送から1週間見逃し配信しています。見逃し配信はこちらから↓
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