【自分に正直に生きるプレゼンの神&生き方を全肯定する造形作家】
放送日:2022年11月26日(土) Eテレ 午後9:30~9:59
再放送:2022年12月2日(金) Eテレ 深夜0:30~0:59
○MC:田村淳
〇ゲスト:ryuchell、シャラ ラジマ
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https://www.nhk.jp/p/naresome/ts/KX5ZVJ12XX/plus/?cid=cchk-mgqc-20220910-steranet-01
毎回1組のカップルをスタジオに迎えて、2人の“なれそめ”を聞きながら人生のいろんな楽しみ方を語り合い、多様な価値観を浮き彫りにしていくEテレの「超多様性トークショー! なれそめ」。
SNSやネット上で、「多様性が尊重される現代社会において、さまざまな人たちの生き方を発信することに、とても意義がある」「カップルの“なれそめ”から生き方を考えさせられるスタイルが斬新。いま、いちばん楽しみにしている番組」など、多くの反響を集めている人気番組だ。
10月28日、この番組では初めてとなる公開収録が東京都の帝京大学八王子キャンパス・キュリオシティホールにて、およそ300人の来場者が見守る中で行われた。

この日は、MCの田村淳をはじめ、ゲストのryuchell、シャララジマ、そしてカップルとして、卓越したプレゼンテーション能力から“プレゼンの神”とも呼ばれる元・日本マイクロソフト業務執行役員の澤円さんと、「心の解放」をテーマにした仮装アートの制作を行っている造形作家・奈緒さんが出演。
2人の“なれそめ”を、4つのキーワード「出会い:絶対に人生で関わらない」「交際:恋心がないから」「結婚:秘密の実験」「現在:大いなる暇つぶし」(以上、2人のなれそめを語る『なれそメモ』から)を切り口にしてクローズアップし、人生に対する多様な向き合い方を、笑いを交えつつじっくりと語り合った。
今回、この番組が公開収録となったのは、多様な幸せのカタチを多くの皆さんに直接知ってほしいという理由から。その思いを、番組の制作統括を務める金丸千枝美プロデューサーは、次のように語る。
「“超多様性トークショー!なれそめ”では、これまで16組のカップルをお招きしてきました。収録は毎回とても刺激的な時間で、カップルそれぞれの人生観、価値観を伺うことで、番組スタッフも心を動かされ、生き方を前向きにとらえ直す機会をいただいてきたように思います。今回は、帝京大学にご協力いただき、学生の皆さん、そして多くの一般の皆さんにも、澤さんご夫妻のお話を直接、編集なしで聞いていただけることを、大変うれしく思っています」
この日、舞台上に組まれたセットは、いつもスタジオで使われているもの。それを目の当たりにすると、部屋のインテリアとして何気なく置かれている小物も、それぞれがペアになっているなど細部までこだわりを持って配置されていることが改めてよくわかる。
そのセットの中で、MCの田村淳は、ときに相手に寄り添いながら、ときに笑いが生まれるタイミングを測りながら、巧みな話術でカップルの澤円さん・奈緒さんから個性的なエピソードを引き出していく。田村は、いったいどんなことに気を配りながら番組に臨んでいるのだろうか?

「この番組は、2人のなれそめを聞きながら『そんな生き方もあるよね』『そんな考えもあるよね』と伝わってくるように、アプローチがすごく優しいと思うんですよ。固定概念が壊れる、というとトンカチで殴られて急に状況が変わるようなことが思い浮かぶけれど、なにか優しく解きほぐしてくれる、みたいな。
僕が気をつけているのは、毎回同じケースはない、ということ。だから、その場で相手の表情だけを見るようにしています。その質問をして相手が嫌じゃないかどうか。ある人だったら大丈夫だけれど、違う人だったら嫌かもしれない。質問を受け入れてくれるかどうか、事前の打ち合わせでも、番組が始まってからの前段部分でも、『データを取りながら』『(なれそめを)ひも解いていく』ように、同時進行している感覚がありますね。
今回は、“公開収録ならでは”というような難しさはなかったですけど、観覧されている方がどのタイミングで共感しているのか、面白がっているのか、ということがわかったので、それは今後に生かせそうだなと思いました」
ちなみに田村は、今回登場した澤円さんと、民放のテレビ番組で何度も共演。そこで多く言葉を交わしていたが、それでもここまで語り合ったことはなく、お互いに相手のことをより深く理解できたという。
「一見、満たされているように思える人でも、よくよく話を聞いてみると、その人なりの悩みや気になっている部分が見えてくる。僕は澤さんとは何度も仕事をしていたのに、その部分を感じ取ることができなかったので、改めてしっかり話が聞けてよかったです。
人って、その歴史をひも解いて、人間が見えてくる。『言葉にはできないけれど、何となく心の中で思っていて、蓋をしている』部分があると思うんです。その蓋を『開けていいんじゃない?』と開けた瞬間に、ふぁーっと感情が解き放たれるんじゃないかな。その蓋が人によって違っていて、そこが面白い。僕自身も、きょう澤さん、奈緒さんと話すことで開けてもらった蓋があるので、『そうか、自分という人間を100%理解できてなかったんだな』と思いましたね」(田村淳)
また、カップルとして出演した澤円さん・奈緒さん夫妻は、2人の“なれそめ”から社会の多様性をひも解いていく番組のコンセプトに、とても大きな魅力を感じたという。

「これ、本当にいいアプローチだと思いました。僕は講演などでも『他人の人生を生きるより、自分の人生を生きましょう』という話をするのですが、カップルのあり方って、『こうあるべき』『これが正しい形』という決めつけが、いろんな人を苦しめていると思うんですよね。あるいは、他からそれを強烈に“インストール”されてしまったり。
そういうことを『しんどいよね』と感じる人は多いと思うのですが、今まではなかなか表立って言えない世の中だったんじゃないかな……。それをNHKのEテレ、一部の人たちが話題にするネットメディアではなく、多くの人たちが触れることができるEテレで“ゆらぎ”を起こすのは、非常に意味深いことだなと思いました」(円さん)
「私の周りには、障害のある人や性的マイノリティーが割と多くて、私自身も性別がちょっとグレーだったりするので、(少数派ゆえの)生きづらさを実感していたんです。でも世の中がだんだん変わって、生きやすくなってきたな、という思いもあって。だから『超多様性トークショー』というタイトルを聞いたときは、『なんて、すてきな番組なんだろう!』と、もう感動しました。
私たちも結婚14年目に入るので、昔のことを結構忘れていたのですが、この番組の取材をきっかけに思い出したこともあって、自分たちの関係を振り返る、いい機会をいただけたと思っています。自分の“なれそめ”というのは、とても恥ずかしい部分でもあるし、ちょっとした言い方で誰かを傷つけたりすることもあるので緊張していましたが、淳さん、ryuchellさん、シャラさんがすごくいい感じでサポートしてくださったので、とても話しやすかったです」(奈緒さん)
ゲストとして、この番組には何度か出演しているryuchellとシャララジマは、公開収録に参加した感想やカップルに対する印象を、それぞれ次のように語ってくれた。

「きょうは観覧の方もいて、いつもと違う雰囲気が新鮮! 楽しかったです。(澤夫妻は)お互いに全く恋心がない状態から、こんなふうな関係になるなんて……。きっかけ一つで人生が大きく変わるなんて、すばらしいなぁと思いました。最初の印象で相手のことを判断して『かかわらない!』と決めてしまうのは、もったいないなぁ、人のことを決めつけすぎずにちゃんとかかわっていかなきゃなぁ、と改めて思いました。
“多様性”を考えるとき、相手の意見や生き方に“理解”できないところがあっても、それはしかたないことだと感じています。でも、たとえ理解できなくても、相手の意見や生き方を“認めてあげる”ことから始めていって……。まずは自分から、そんな本当の多様性を実現できるような生き方をしていけたらいいな、と思っています」(ryuchell)

「やっぱり恋愛は偶然から生まれるんだな、と感じましたね。今の時代は、みんな恋愛を“スペック”で考えて、『この人は優しい⇒だから好き』みたいに、チェック項目を確認しながら進めていく印象があって。でも、そうではなくて『恋愛は自然発生的に作られる』という学びがありました。
今回の2人の“なれそめ”を聞いて感じたのは、他人にはわかってもらえないような特徴や個性がある人は世の中には本当にたくさんいるし、当事者が『えっ、みんなは違うの?』と思うようなことがたくさんあるということ。表からは見えない特徴を持っていて苦しみながら生きている2人が、どうやって出会い、どうやって結ばれたのか、なかなか知ることができない。人の内面に迫るようなプライベートな話が聞ける貴重な番組です!」(シャラ ラジマ)
今回の公開収録について、帝京大学広報課・佐々木隼人さんは、このように話してくれた。
「収録の準備段階から、本学の社会学科の学生たちが携わらせていただきました。本学は教育の方針として『実学』というものを大事にしていて、教室の中の勉強だけではなく、実際の現場に立ったり、企業の方を多く教員に迎える取り組みを行ったりしています。会場になったキュリオシティホールに、今回のような美術セットを作り込んだのは初めて。たくさんの番組スタッフが参加され、学生たちにとってはすごく貴重な経験となり、非常に有意義な学びの場をいただきました」
そして、公開収録を観覧した学生からは、以下のような感想が寄せられた。
・「いろいろな事情、境遇を持つ2人が出会い、結婚するまでの道のりが個性的で、『超多様性って、こういうことか』と理解でき、とても勉強になった」
・「人の個性を尊重し、交流を通じて人生観をいかに高めていくか、体験談を通じて学べたと感じています」
・「トークが自然体で、共感できる部分が多々ありました」
・「世情に合っていて、かなり進歩的な番組だと思います。これからもすてきな番組を作ってください」
この日、収録された番組は「自分に正直に生きるプレゼンの神&生き方を全肯定する造形作家」として、11月26日(再放送は12月2日の深夜)に放送。
お互いに幼少期の経験から自分に自信を持てなかった澤円さん・奈緒さんは、どのようにしてカップルになり、「世間の型にはまらない生き方」をするようになったのか。その“なれそめ”から見えてくる“超多様性”とは!? 放送をお楽しみに!