夜ドラ「作りたい女と食べたい女」
11月29日(火)~12月14日(水)NHK総合
毎週月~木曜 午後10:45~11:00<全10話>


人気漫画『作りたい女と食べたい女』(作・ゆざきさかおみ)をドラマ化! 夜ドラ「作りたい女と食べたい女」は、料理を作ることが好きな女性・野本ユキと、食べることが好きな女性・春日の日常を通して、女性を取り巻く現実や、女性同士の連帯、そして2人の間で育まれる恋愛を描く作品だ。“作りたい女”野本ユキを演じる主演・比嘉愛未さんに、今作への思いとドラマの見どころを聞いた。

──「原作」を読んだ感想をお聞かせください。

比嘉 一気に読み終えるほど、とてもすてきな作品でした。穏やかに進む2人の生活模様が心地よかったです。また、レズビアンや性的マイノリティも今作の大きなテーマのひとつですが、「“自分らしさ”とは何か」を考えさせられましたし、共感しました。原作ファンの方の期待を裏切らないよう、野本さんと春日さんの穏やかで平和な世界観を表現できたらと思います。

──今作が発表されたとき、制作統括の坂部さんから「ドラマで描かれる女性像は、どんどんアップデートされています。(中略)これまでドラマとして取り上げられることの少なかった女性同士の恋愛を、ゆっくりゆっくり、丁寧に表現していきます。この物語を必要とする誰かに届けられるように、誠心誠意つくります」というコメントがありました。

比嘉 坂部さんの言葉にはとても共感をしました。私はいわゆる“男勝り”なところがありますが、だからといって、“女性らしく”しようとは思っていません。「自分らしく生きる」ことをいちばん大切にしたいので。まだまだ古いジェンダー観が根強く残っていると感じる場面にも遭遇しますし、そのたび違和感を持っていました。今回少しでも力になれることがあればと思い、全身全霊で作品づくりに取り組んでいます。

──演じる野本さんのどんなところに魅力を感じますか?

比嘉 野本さんはすごくピュアなんです。私自身もそうですが、「この枠組みから外れてはいけない」といったような固定観念が、多くの人にインプットされているように思えます。けれども野本さんは、世間の普通に疑問を持ち、「みんながこうしているから、私もそうしよう」ではなく、「自分はどうしたいんだろう?」と模索している。その姿が、とても魅力的だと思います。

——そんな野本さんは、春日さんと出会うことで、これまでの日常に変化が訪れます。

比嘉 そうですね。自身のセクシュアリティや世間との関わり方など、小さな違和感を抱えていた野本さんは、春日さんに出会ったことで、じわじわと世界が明るくなっていたように思います。料理を作って、食べてもらう喜び、そして一緒にご飯を食べる幸せを感じることで、自分の世界が徐々に彩られていくといいますか。少しずつ互いの心の距離が縮まる様子には、ぜひ注目していただきたいです。

その中で、野本さんは春日さんの人柄に好意を持ち、最終的には「春日さんのことが好きだ」という思いにいたります。印象に残っているのは、「私は自信をもって春日さんを好きでいいんだ」というセリフ。いろんな葛藤を乗り越え、「好きでいいんだ」と言い切れることは、すごいことだと思います。「天才バカボン」のバカボンのお父さんも、「これでいいのだ」っていいますよね。この言葉って最強だと思うんです。周りにどうみられても、自分が良ければ、それでいい——。ありのままの自分を肯定できる強さを感じた場面でもありました。

——野本さんと春日さんのシーンで、好きな場面はありますか?

比嘉 これは後半の話になるので、あまり詳しくは話せませんが、春日さんが野本さんを看病する場面があります。野本さんを気遣い、そっと支えてくれる春日さんの行動には、私も「これはほれるわ!」と思いました(笑)。そして春日さんがある料理を作ってくれるのですが、心もすごく温かくなりましたね。お互い大切な人だと思っていることを実感した、大好きなシーンです。

──春日さんを演じるのは、今作がドラマ初出演となる西野恵未さん。ご一緒していかがですか?

比嘉 もうすばらしい方ですよ。放送が始まったら「この役者、誰!?」ってなると思います。西野さんは、ふだんはピアニストとして活動されていて、お芝居の経験は今回が初めて。私は、西野さんと同じ年齢ですが、野本さんと同じくらいピュアで、すがすがしい方なんです。一緒にいて安心感もあって、どんな人でも受け入れてくれる方なんだと、出会ってすぐに感じました。

なかでも印象的だったのが初日の撮影。セリフがたくさんあるシーンを、朝から晩まで撮影したんですね。私だったら絶対緊張してしまうんですけど、西野さんは「楽しい!」って、終始ワクワクされていたんです。ピュアな子どものように見えるくらい、キラキラした表情で、まっすぐにぶつかってきてくれたんですね。そんな姿を見て、私も初心を思いだしました。また幼いころから音楽に触れているからでしょうか、会話が音楽のように流れる人なんです。否定的なことは言わずに、受け入れながら、自分の思いも語ってくれる。本当にすてきな方です。

——西野さんとの2人芝居が多い今作。セリフの量も多かったと思います。

比嘉 正直に言うと、セリフ量はすごかったですが(笑)、互いにしっかり集中して向かい合えることが、2人芝居の醍醐味だと思います。こんなに長く2人きりの撮影を行ったのは初めてだったので、楽しかったですね。ストーリー順に撮影を行っていったので、私たちがまとう空気感も変わっていると思います。そういったところにも注目いただけたらうれしいです。

──料理を作るのが好きな野本さんと、食べるのが好きな春日さん。比嘉さんは、いかがですか?

比嘉 私も料理するのは好きです。どちらかというと自分のために作るので、生きるための作業になっちゃうこともあるのですが(笑)、やっぱり誰かのために作って、おいしく食べてもらえるのは幸せなことだと、野本さんを演じて、より感じています。

生きるために必要な「食事」を共有することは、大事なコミュケーションのひとつだと、私は思います。ひたすら無言でガツガツ食べる春日さんを、野本さんがすごく幸せそうに見つめるシーンがありますが、まさに象徴的だなと。言葉で伝えなくても、通じることはありますし、一緒にいるだけで満たされるって、美しいことだなと思います。

──たくさんの料理が登場する今作ですが、印象に残っている料理を教えてください。

比嘉 いちばん印象に残っているのは、仙台の郷土料理「はらこ飯」です。さすが、鮭とイクラの“親子共演”だけあって、ものすごくおいしかったです。私は沖縄出身で、これまで味わってこなかった料理だったこともあり、大きな衝撃を受けました。現在、私史上3位以内に入っている料理です(笑)。

──ちなみに、西野さんの食べっぷりはいかがでしたか?

比嘉 すばらしかったですよ。西野さんが大きく口を開けて、一生懸命食べる姿がとてもいとおしくて。特に注目してほしいのは、ほおばるとき。「はふっ」「かぷっ」っていう感じが、本当に原作漫画のようで。おいしそうに食べる姿を多くの人に見てもらいたいですね。

──最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。

比嘉 この作品に関しては、こう伝わってほしいなっていうのはありません。見る人それぞれの視点で楽しんでいただきたいです。「これが正解」というのはありませんから。“優しい空間”を作ることを目指して、皆さんと一生懸命撮影を行いました。たくさんの人に受け取ってもらい、それぞれに楽しんでいただけたらうれしいです。


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