ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、桜川涼子役・桜井ユキさんから!


――父親の出奔でついに家を継がなければならなくなり、婚約して弁護士の道をあきらめることになりました。どんな気持ちで結婚を決めたとお考えですか

涼子の中では、華族に生まれたからには、いつかは結婚しなければいけないということは当たり前だったと思うんです。でも、女子部でトラコ(とも/伊藤沙莉)たちに出会わなければ、多分そこまで悲しい気持ちにはならなかったと思うんですけど……。やっぱり彼女たちと出会って弁護士を目指す中で、今まで当たり前だと思っていた、結婚して家を継ぐという義務に、反発、反抗心みたいなものが芽生えていたんじゃないかなと。だからこそ、いざ結婚を迫られたとき歯がゆい思いをすることになってしまいました。

役作りのためいただいた資料にあったのですが、華族の方の中には、生まれた時から結婚相手が決まってる方だっているんですよね。何をしていても、いずれそうなることに対してなんの疑いもなかったと。「それがつらいこととも、理不尽だとも思ったこともございません」と書いてあって、涼子もきっとそう思っていたんでしょう。でもあまりにも学生生活が実りあるものだったがゆえに、苦い結末になってしまうというのは、なんとも胸がざわつくなと思いました。

――「よねさんみたいに強くなりたかった」というセリフもありましたが、このときの涼子の心情をどう思われました?

台本を読んでいると、よねさん(土居志央梨)だって本当は、決して強い人ではないんです。それでも涼子からすれば、彼女がうらやましかったんだろうなと。

たとえば当時、華族の女性には絶対に許されなかった、男性に意見をすること。第3週の法廷劇の時もそうですけど、よねさんはいつも男性に向かってハッキリ意見を言います。決して自分にはできないことをやってのけるよねさんは、涼子の目には強く映ったと思うんです。憧れのような眼差しが常にあったんじゃないでしょうか。

でも涼子だって、きっと心のどこかでは、それがよねさん本来の強さではなくて、彼女が必死で生きて行く術として身に付けたものだということはわかっていたとは思うんです。でもそれを最後の最後で「よねさんみたいに強くなりたかった」と言ってしまう。私自身としては、そこにどこか涼子の甘さみたいなものも感じましたけど、でもそれが涼子だし、あのセリフは彼女らしいなと思いました。