3月22日(金)にNHK BSで放送された「島根マルチバース伝」が、総合テレビで全国放送決定!
ドラマに出演した佐野史郎さんの生き方や考え方を掘り下げた番組「インタビューここから 俳優 佐野史郎」もあわせて放送する。
下記記事はNHK BS放送時のものを再掲。


2月26日、島根県松江市のNHK松江放送局で、島根発地域ドラマ「島根マルチバース伝」の完成試写会と会見が行われ、出演者の桜庭ななみさんと佐野史郎さん、演出のNHK松江放送局・岡村祭さん、脚本の竹田モモコさんが出席した。

左から、竹田、桜庭、佐野。
【物語のあらすじ】
高校演劇で神童と呼ばれ、かつて女優になることを夢みていたひかり(桜庭ななみ)。だが、今では地元のスーパー・ましまやでアルバイトをしながら、「自分が輝けないのは島根にいるせいだ!」と家族や友人に愚痴を吐きながら過ごしていた。
そんなある日、怪しい男(佐野史郎)の営む占い店のような酒場に入ると、「あなたが輝くはずだった人生を見てみますか?」と不気味な提案が。なんとそこで、別のバース(異なる選択をした自分の人生)に生きる自分を目撃することになる。ところが、そのどれもが理想とは程遠い姿ばかり。そんなとき、妹から地元の市民劇に誘われて……。

主人公のひかりを演じたのは、桜庭ななみさん。鹿児島県出身で、自身も地元を飛び出して俳優として活躍している。島根県での撮影や、島根のことばを使う役柄は初めての挑戦となる。

一方、雑居ビルで怪しげな酒場を営むかたわら、客にいくつもの人生の岐路を見せる、不思議な男を演じる佐野史郎さんは松江市の出身だ。

「俳優の道を歩み始めて、今年でちょうど50年になります。このドラマを見ていて、終盤で不覚にも胸が熱くなるというか、涙が出そうになりました。若き日の自分と重ねていたこともありますし、映像の世界に足を踏み込んでから、いつかこの島根を、松江を舞台にドラマができたらな、と思っていました。

この地での映画やドキュメンタリーの撮影は何度もあるのですが、ドラマは初めて。夢が一つ叶いました」(佐野さん

本作では、ひかりが「自分が輝けないのは島根にいるせいだ」とくすぶっているが、桜庭さん自身、ひかりの気持ちがわかると話す。

「ひかりを演じながら、 私自身もどこかで(思い通りにいかないことを)何かのせいにしたくなる気持ちがあると感じました。島根にいるせいだっていう理由をつけるひかりという女の子に、なんとなく感情が入ってきちゃうというか

だからこそ、この役を演じながら、私もこれから頑張ろうって思えたし、この環境だからできることっていうのもたくさんあると思うし、この作品を通して、新たな目標が自分の中でも見つかった気がしました。なので、この作品を見た方も、何かを見つけていただけたらうれしいなと思います」(桜庭さん

佐野さんは、夢を抱く瞬間こそが幸せだと話す。

「『青い鳥』じゃないけど、夢が大きなものであれ、些細なものであれ、思いを抱いているその瞬間こそが幸せなんだなと思います。ドラマを見て、そのことを感じていただければ、この仕事をしている甲斐かいもありますし、皆さんと共感したいところでもあります」(佐野さん

脚本を担当した竹田モモコさんは、普段は舞台の戯曲を書いており、テレビドラマの脚本執筆は今回が初となる。「島根の若者にエールを」ということで執筆の依頼を受けたが、「うそをついてはいけない」と思ったという。

「地方に住む若い人がどういうモチベーションで、どういうメリットを感じて地方に生きていくかって、とても難しいことだと思うので、田舎の自然であるとか、人のあったかさみたいなことできれいにラッピングして書くのも、ちょっとうそっぽいなと思いました。若い人にも、自分の全部を使ってトライしてもらえたらうれしいですね」(竹田さん

島根で生まれ育ったひかりを演じるにあたって、島根のことばに苦労したという桜庭さん。その上、監督から「アドリブで“だんだん”(島根のことばでありがとうの意)を入れてほしい」と言われたという。

「口が島根のことばに全然なじんでいない段階で監督にそう言われました。けっこう難しかったんですけど、あるシーンでめちゃくちゃ小さな声で言いました」(桜庭さん

地元出身の佐野さんは、桜庭さんの島根のことばについて、ネイティブのようだったと絶賛。

「僕もいろんな地方のことばで演じてきましたが、確かに本当に苦労します。イントネーションより大事なのが、しゃべっているときではなく、その間の息遣い。桜庭さんはクランクイン前の本読みで、その息の吸い方、吐き方や間合いが絶妙だったんですよね。

完成した作品を見たら、案の定ネイティブでした。僕は、出雲弁はネイティブなはずなのに、そういうセリフは1つもありませんでした(笑)」(佐野さん

島根県のさまざまな場所で撮影された本作だが、桜庭さんが印象的だったのは、ひかりの実家がある大根島。撮影中、地元の人が出演者やスタッフにしじみ汁を作って振る舞ってくれたという。

「ここで食べるしじみ汁が美味しすぎました! ドラマの中で私が宍道しんじのしじみになるというシーンもあるので、そこにもぜひ注目してもらいたいです」(桜庭さん


3月1日に島根県域で先行放送され、このたび22日にNHK BSで全国放送される本作。桜庭さん、佐野さんが視聴者にメッセージを送った。

「笑って楽しく見られる作品ではありますが、そんな中、今日から頑張ろうというメッセージが伝わる作品になっていると思うので、ぜひ見ていただけたらと思います」(桜庭さん

「BSで、全国でご覧いただくことができます。島根は神話のふるさとですし、ファンタジーとして楽しんでいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします」(佐野さん

島根発地域ドラマ「島根マルチバース伝」

6月22日(土) 総合 午後4:15~5:15

島根発地域ドラマ「島根マルチバース伝」NHK公式サイトはこちら


インタビューここから 俳優 佐野史郎

6月22日(土) 総合 午後3:52~4:15

「インタビュー ここから」NHK公式サイトはこちら